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先日11月20日、岩手17歳女性殺害事件公開捜査差止請求裁判の第13回口頭弁論が行われました。当初は10月16日に行われる予定でしたが、台風26号の影響で延期になりこの日の開廷となりました。 私は今回も傍聴してまいりましたので、その報告をこれから簡単に行います。口頭弁論終了後原告側の十河弁護士から簡単な説明は受けたものの、前回の傍聴報告でも申し上げました通り何分法律に関して全くの素人ですので、細かい部分で誤りや曖昧な部分、記憶違いがあるかもしれません。何卒ご了承下さい。この裁判の「私なりの解釈」と取って頂ければ結構です。また年明けに詳細を文書で確認する予定ですので、その時に捕捉・訂正する部分が出てくるかもしれません。 この記事を書いている2日前に特定秘密保護法案が衆院で可決され議論を呼んでいますが、今回の口頭弁論は、まさに"証人尋問における「秘密」の扱いについての争い"が主だったと思います。 前回の口頭弁論では、岩手県警や警察庁で公開捜査や報奨金適用に関わったとして原告側から「氏名不詳」で証人申請があった人物について、裁判所は被告側に対し、それらの人物を具体的な名前を挙げて証人申請するよう要請しました。前回の口頭弁論終了後、その申請を被告側が行い、その後それらの人物に対して原告側からも申請が行っております。 前回の段階で原告側から申請があった「指名不詳の警察官」は当時の県警担当者1名・警察庁担当者1名でしたが、最終的に「公開捜査や報奨金適応の決定に関わった警察官」として申請されたのは次の3名でした。(なおこの場では、具体的な氏名を公開しても問題ないか判断しきれなかった為、ひとまず伏せる事にしました。) ・A氏 当時の岩手県警本部刑事部刑事企画課手配・共助・捜査支援係長(階級:警部補) 公開捜査に関わる手続きを岩手県警側から国に対して行った担当者 ・B氏 当時の岩手県警本部刑事部刑事企画課手配・共助・捜査支援係長(階級:警部補) 捜査特別報奨金対象事件の申請を岩手県警側から国に対して行った担当者 ・C氏 当時の警察庁刑事局刑事企画課情報分析支援室係長 捜査特別報奨金広告の実施の担当者 ※証人尋問は、上記の3名と原告ご本人の計4名に対して行われる事になります。 前回の口頭弁論で、警察官に対する証人尋問についてには「手続的な違法性の立証に限る」とした上で行う事となりましたが、この点について、あらためて裁判長は「捜査の内容や進捗状況についての尋問はせずに、あくまでの公開捜査や報奨金に関する手続きについてのみ尋問するものである」といった旨の説明を行いました。 この後の展開については、素人の私には分かりにくい部分があったり、内容が聞き取れなかったりしたところもありましたが、簡単に言えば、原告側と被告側の間で尋問の実施方法についての争いがありました。 被告側の主張は、「民事訴訟法191条」や「平成5年の最高裁判決」を理由に「原告側からの証人尋問は許されるべきものではない。(3名の警察官に対する)主尋問は被告側からのみ行い、原告側はその反対尋問のみという形式にすべきだ」といったものだったと記憶しております。 それに対し原告側が、「"秘密"に触れるかどうかは、質問してからでないと分からない事もある」「被告側の主張は"職務上の秘密"の話と"捜査上の秘密"の話が混同してしまっているものだ」というような反論を行っておりました。 結局この被告側の主張については、裁判途中に裁判官の間で協議が行われたものの、認められませんでした。 また、国側の代理人が「C氏は、今は全く関係のない別の職場にいるので、尋問は1回だけにしてほしい。」と言った要望も述べられましたが、これについても特に裁判所側からの回答はありませんでした。 裁判ではその後、証人尋問の期日を来年の2月7日に、最終弁論の期日を3月6日と決定して、閉廷となりました。証人尋問の日程の詳細については、あらためて別の記事にアップします。 ここで、被告側の主張で出てきた「民事訴訟法191条」「平成5年の最高裁判決」について考えてみたいと思います。「民事訴訟法191条」の条文は次の通りです。 (公務員の尋問)
第191条 1.公務員又は公務員であった者を証人として職務上の秘密について尋問する場合には、裁判所は、当該監督官庁(衆議院若しくは参議院の議員又はその職にあった者についてはその院、内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職にあった者については内閣)の承認を得なければならない。 2.前項の承認は、公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがある場合を除き、拒むことができない。 つまりこれは「職務上の秘密」について尋問する場合は、監督官庁の承認(今回の場合で言えば警察庁長官の承認)が必要ですよと言った話です。 また、「平成5年の最高裁判決」とは、どうやら以下の判例の事を言っているようです。 損害賠償 平成1(オ)548 平成5年01月25日 最高裁判所第二小法廷 (原審は、損害賠償請求事件 昭和62(ネ)3829 平成1年01月24日 東京高等裁判所) しかしこの判例は、「逮捕状を取る・発行する」事に対する損害賠償を求めたもので、極々簡単に言うと「刑事手続には密行性があるので、捜査機関や逮捕状を発行した裁判官の判断を審議して判決を下すという事はできない。」といったもの。今回の裁判は公開捜査という、いわば「密行性」とは真逆の手段を使用する上での妥当性についての争いですので、この判例が今回の裁判での原告側から警察官への主尋問を否定する材料には成り得ないように思います。 ちなみに、「職務上の秘密」の具体例をネットで調べたところ、税務署職員においての「税務調査開始基準や税務調査の方法」などが該当するようです。今度の尋問で触れる可能性がある「警察官の職務上の秘密」が具体的にどういうものなのか今一想像できないのですが、「公開捜査や報奨金適用を決定する過程で、どのような会議が行われるか」といったようなものになるかと思います。(これが「秘密」にあたればですが) 具体的に次回の尋問でこの「職務上の秘密」に触れると裁判所側が判断した場合については、その尋問を止めて警察庁長官の承認を得る手続きを裁判所が行う事になります。 「捜査上の秘密」は、文字通り「捜査の進捗状況や本事件の捜査で得た情報」などが挙げられるかと思われます。これについては、そもそも前回裁判所のほうから「(警察官に対する)尋問は手続的な違法性の立証に限る。捜査内容などには触れない。」としておりますので、もし「捜査上の秘密」に触れると裁判長が判断した際に、具体的に「この件については質問しないように」というように指示を出す事になるでしょう。 いずれにせよ、次回の証人尋問ではこの「職務上の秘密」「捜査上の秘密」がひとつのキーになるように思います。 |
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