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古いスピーカーですが、温故知新。
あのサンスイのアンプでダイヤモンド差動回路、Xバランス回路、自身のブランドでZバランス回路を開発したあのイシノラボの平野氏も最近JBL SA600アンプ回路を追試されて再評価されているのと同じ感覚です。

過去、自分で所有するスペンドール BC2の分析をしたことはありましたが、箱の秘密については元SONYスピーカー、アンプ、SACDプレーヤー設計者かないまる氏のサイトを読むまでは、ここまで気づかないまま今日に至ります。

かないまる氏はSONYのAVアンプ、藤田恵美さんのカモミールシリーズのハイレゾの音決めに今でもハーベス、HL-4をお使いで、BBCモニタースピーカーは現代にも通用する音質を確認しております。

Spendor BC-2

板厚はどこも10ミリでした。すごく薄いですね。Harbeth HL-4も11ミリでほぼ同様だそうです。
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側面
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底面
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裏板
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Harbeth HL-4
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Harbethがごく薄い制振材のタッカー打ちに対して、Spendorは物凄く密度が高くて固いフェルトのようなものがフロント板以外の裏に接着されて制振されています。

板の積層合板の積層数からはスペンドールの方が多く、別物の板材と思われます。
いずれも北欧材とされています。寒い地方の密度の高い木材というのは触ればわかりました。

かないまる氏によると、
ハーベスは箱鳴りを利用したスピーカだと思われがちですが、それは正鵠を射ていません。最低域はきちんと延びていて、エアもよくだします。箱なりでエアが出るということは絶対にありませんから、箱の振動はよくコントロールされているんです。そして無理のない低音の延ばし方が抜群のリズム感を生み出しています。

ハーベスの箱が薄いのは、全体を柔構造にしたい、とりわけウーファのリアクションをコーン紙に返したくないというハーウッドの意志でしょう。

注目してほしいのは、ウレタンのさらに内側。箱の板面にダンプ材が貼り付けてあることです。タッカが併用されていますが、接着されていて、フロントバフル以外の5面の振動をおさえています。

・フロントバフルは鳴っても構わない

欧州にはフロントバフルやユニットは動いても構わないという考えがあります。動いても歪むわけではないので、音調さえ整えてあれば構わないという考えです。

日本では「フロントバフルはユニットのメカニカルアースでなければならない」という信仰があります。だれが流布したか知りませんが、もちろんそういう設計もあってよいと思いますが、それ以外を否定するのはまちがいです。

欧州ではユニットをゴムで止めものがあります。かないまるが会社で使っているB&W 801 MTX-S3は、ウーファをゴムブッシュを介してバフルに取り付けていて、ウーファのフレームはコーン紙の動きの反作用で常に動いています。

15年ほど前に欧州で大ヒットしたタンノイの低価格モデルもバフルは非常に弱くできていましたが、もすごくいい音がしました。

なぜか。

それはガチっと止めると、スピーカユニットのフレームの振動がバフルで反射して硬い音を作るからです。サスペンションのない車に乗りたいですか。ガチガチでいやでしょう。

もちろん圧倒的なマスと剛性で箱を造り、ユニットもガッチリしたフレームで造り、スピード感溢れる低音を出すものもあります。

しかしフレームをあまり丈夫にしないで、全体を柔構造にしても、作用・反作用で発生する振幅の周波数特性がチューニングされていれば、それでも全く構わないという考え方があるということは知っていた方がいいでしょう。

基本的に日本では、オピニオンリーダ達が頑丈・メカニカルアース信仰に偏っていたと思います (アンプ、プレーヤもしかりです)。なのでユーザも柔構造を一般に啓蒙されていないので受け付けない。設計する人間も、低価格の強度の低いモデルが、高額モデルよりよい柔構造であるがゆえに、むしろよい音を出すこともあるということに気付かない。
(逆にメカニカルアース命の現代音場スピーカーを使いながら、これとは逆の思想で床や壁は響きと、これらを積極的に鳴かせようというエンドユーザーもいますね)

これは困ったもので、日本のオーディオ界はもう少し柔構造の良さを勉強したほうがいいと思います。ただし柔構造アンプを仕上げるには、ものすごいバランス感覚が要りますが。

スピーカを鳴らすのもそうです。柔構造スピーカはバフルが振動します。最低スパイクを使って床との接触を点接触にする必要があります。

バフルが弱くてもいい。それはまちがいありません。柔構造なんです。でも正面のバフル以外の五つの面は、フロントより相対的に振動が小さくなくてはいけません。少なくとも高い周波数で鳴いてはいけません。

なぜなら正面バフル以外の面が正面バフル並みに鳴くと、バフル面とは位相の違う音が部屋の壁に反射して聴こえてしまうため、
  • 音が濁る
  • 位相感が聞きとりにくくなり奥行き感や広がり感、高さ感がわかりにくくなってしまう
からです。

ハーベスは制振により5面の余計な振動をおさえることで、この処理を行っています。制振材はよくないものを使うと音がよごれてしまいます。ダンパ材は車用にいろいろなものが開発されていますが、オーディオ的にはよくないものがほとんどです。たとえばPタイルなんかものすごい制振力がありますが、ものすごく音がよごれます。

しかし、ハーベスにはそういうよごれ音は全くありません。たぶん制振材を徹底的に選んだのでしょう。BBCモニター時代に作った特注品かもしれません。

かないまるもかつて非常に音のよい制振材に出合ったことがあります。潜水艦の外側の鉄を制振する素材でした。

シート材に加工してもらったら音がいいのでCDプレーヤ用に提案しましたが、当時の機構設計者に一蹴されて採用できませんでした。今なら無理にでも使わせるんですが…。できることならもう一度出合いたい素材です。


まあ、そんなわけで、古くはJBLのコントロール・ワン、最近ではモニターオーディオの安価なスピーカが、ボックスがモールドでできていて、チープに見えるのに鳴りのいいスピーカがありますが、これらはボックスは明らかに鳴いています。しかし高域がカットされているので邪魔しないし、中低域は呼吸球のように低音を出すので、以外にリッチな音がするのだと思います。これに対して中途半端な強度の木製ボックスは、きちんと防振処理をしていないとクセのある感じになってしまいます。

ハーベスモニターHL4は、大型で柔構造なのにバランスがよく、ダッドリーハーウッドの名チューンによるスピーカだと購入当初より実感していましたが、こうして板厚を計ってみると、想像以上に薄くて驚きます。

以上

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    こんにちは
    昔から海外製のオーディオの方が、国産のものより良いと言われています。
    オーディオも車もそうですが、海外製のものは、実際に人が聴いたり乗って見たりしてチューニングするからだろうと思います。
    国産品の多くは、あいまいな測定値重視で人間の感覚を重視していません。
    いくら測定した数値が良くても、聴いて味気ない音ではつまらないですね。

    [ 定年おやじの日記のブログ ]

    2019/2/13(水) 午前 10:05

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    > 定年おやじの日記のブログさん
    こんにちは。

    まさに箱の工夫も耳と経験から調整したもので、中を見ると自分で自作出来るレベルを超えていますね。

    まだ連載は続きます。その細かな音質的工夫に驚くばかりです。

    ハーウッドもスペンサーも凄かったですね!

    ゴルゴ平蔵

    2019/2/13(水) 午前 10:48

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    昔オーディオフェアーでSPの前にマイクを置き周波数特性を表示していたのを見ました。ブリュエル・ケアーの測定器が導入された頃からSPの設計が変わったように思います。
    メーカーさんも真っ直ぐなF特性を見れば信用してしまい耳で聞いていなかったようです。スイープ速度や紙の送り速度でF特性はガラガラ変わるのですから。
    メーカーはベリリューム、チタン、カーボンと新素材に走りすぎて音を聞いていなかったようです。

    [ 雪だるま ]

    2019/2/13(水) 午前 11:49

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    > 雪だるまさん
    こんにちは。
    このサンスイのBC2復刻の経緯を見ると、サンスイ社内でスペンドールを知っている者はなく、実際に聴かせても、ヨーロッパトーンはわからなかったとありました。
    https://www.ishinolab.com/modules/doc_serial/audio_history_japan/serial001_071.html

    案外メーカーそのものも音について深い理解もないまま、JBLからサンスイブランドスピーカーを開発、販売していたようです(-_-メ)

    ゴルゴ平蔵

    2019/2/13(水) 午後 4:35

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