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昭和オーディオブームの頃のオーディオメーカーとなれば、良い音質より、見た目の派手さ、豪華さ、何より売れてナンボだったのですねえ。

消費者も良い音というより、見た目に左右されていた?
 
ドラムを叩けば、ベースと両輪でリズムを作って行かなければならないので、楽曲を耳コピーするのに、中学生のときにうちにあったONKYO M55というスピーカーや、バンド仲間のSONY、トリオらのシスコンではその聴き取りが困難を極めました。

ベースのピッチ、リズムが生のように聞こえないんです。
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当時流行ったYAMAHAの1000番や国産アンプに繋がれたJBL4343も大なり小なり同じで、ドラムやベースの音ではなかった記憶が今でも蘇ります。

以下はメーカー技術者から見た、当時のオーディオブームの頃の日本メーカーのスピーカーの音質評価らです。

写真は平蔵がネットから拾ったものです。

かつて日本のオーディオ界には「ゴッキュッパ」スピーカというのがありました。ハーベスと同じくらいのサイズの箱に30センチウーファをつけて3WAYにしたスピーカ。箱は頑丈。吸音材はグラスウールをギュウギュウに詰め込んで、形式は密閉で低音を無視するか、長いポートで無理矢理共振させてなんとか低音感を補強。
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 でも、基本的にユニット径に対して箱が小さすぎるので、どう頑張っても低音は出ていませんでした。それでも日本人には大丈夫。日本人は基本的に低音を知らない民族ですからね。

実はかないまるは、当時欧米人が「ゴッキュッパ」スピーカを聴いて絶句している現場を何度か目撃しています。「壊れているのか」とかないまるに質問した外人もいます。「リズムがないじゃないか」というのです。

当時は評論家も「低域は100ヘルツくらいから落ち始めてもダラさがりで延びていればそれはそれでよい」みたいなことを平気で書いていた時代です。そんなんだから日本のスピーカは世界的に孤児になるんです。パイプオルガンの開放管はかろうじて (それも単独音を出したものは) 聴こえても、ベースが聴こえないのでリズムがとれません。「いざとなったらトーンコントロールでグイと持ち上げれば一丁あがり」みたいな乱暴な記事も読んだ覚えがありますが、それではコーンがひしゃげて音が歪んでしまいます。

ブランドを外したらどこのメーカ製か全くわからない、そっくりスピーカが氾濫したのも実に日本的でしたね。他社のコピーを恥じることなくやる。全社横並び。今はそれほどではありませんが、20〜30年前は今の中国並みにハズカシイことをやっていたのが日本のオーディオ界でした。

ところでこのころ、ソニーにはラボーチェ (SS-A5) というウーファ径が20センチでハーベスに近い設計のものがありました。ハーベスと箱のサイズとユニット径の関係、ダクトの大きさなどはとても良く似ています。
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(このスピーカーの解説は http://kameson.net/audio/SS-A5.htm
実は「ゴッキュッパサイズの箱には20センチくらいのユニット径が適している」という考えは社内にずっとあって、30センチスピーカをもつ3ウエイの「ゴッキュッパ」スピーカを発売していないのはソニーくらいのものでした。当時のスピーカ屋さんが考える理想を具現化したスピーカがラボーチェだったのでしょう。

ボーカルがよく聴こえることを売りにしていて、それは間違いなく実現していたと思います。かないまるの記憶では日本製のスピーカとしてはよい音がしたと思います。

しかしウーファ径が大きくないし、2WAYでユニットが二つしかついていないスピーカでは、お買い得感が全くなかったですね。ステレオ誌のベストバイで一位をいただいた数少ないスピーカでしたが、30センチフーファが氾濫する状況では見劣りがして全く売れず、販売的には惨めな結果になったと記憶しています。 

そういえば、その後SS-AL5MK2がベストバイ一位をとっていますが、販売的にはやはり苦戦したようですね (SS-AL5MK2は相当いいスピーカだと思います)。
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    では、オーディオは重量の故長岡鉄男氏は、当時の598スピーカーを振り返って同じ趣旨のことを書かれている。

    すこし前に、長岡鉄男氏の文章の一部をコピーして送ってくださった方がいた。
    1993年に音楽之友社から出た「長岡鉄男の日本オーディオ史 1950〜82」掲載の一文である。
         *
     80年代に入って59800円のハイCP機が続々登場、世にいう「598戦争」である。当初20kgぐらいからスタートした598スピーカーはやがて重量競争に入り、最終的には鉛や人造石まで入って35kgに達した。鉛や人造石といってもコストはユニット一本ぐらいかかってしまうのでコストアップは免れない。ウーファーも30cmからスタートして、30・5cm、31cm、31・5cm、32cm、33cmと少しずつ大型化、また素材競争で高剛性化が進んだため、コーンの重い大口径ウーファーをドライブするには144φ×20mmもの大型マグネットが必要になり、これを支えるフレームは10mm厚、15mm厚、20mm厚と強力になり、正気の沙汰とは思えない無茶苦茶な競争になった。十万円のものを六万円で売るような激安合戦、新宿のカメラ屋なみである。これで音がよければいうことはなしだが、大口径化、高剛性化でバランスを失い、低音不足、ハイ上がりの硬質な音になってしまった。容積からすると25cmウーファー向きのキャビネットに30cm以上のウーファーを取付けたので理論的にも低音は出にくいのである。コスト面では完全な赤字、音質面ではユーザーの好みから離れ、87年を頂点に多くのメーカーは598スピーカーから手を引く。終わってみれば勝者なき戦いだったのだ。

    • おはようございます!
      メーカーは売るため
      購入者は、スペック市場主義
      評論家は…
      こんなもんだったんですね

      [ ひでじ ]

      2019/2/5(火) 午前 7:05

    • おはようございます。
      やはり、日本向け製品は見た目重視なイメージがありますね〜
      最近流行りの自転車のルック車が良く売れるのと同じ理由なのでしょうね。ちなみに自分も自転車に詳しくない時に買って後から専門家の意見を聞いてかなり後悔しました。
      やはり、良い品物を購入しようと思うと適切な知識、勉強が大切になると思う今日この頃です。

      3ウェイが良く売れたのは見た目以外にも中域が綺麗に出るスピーカーが良いスピーカーとされていたからかもしれませんね。

      [ endlessproject ]

      2019/2/5(火) 午前 8:08

    • おはようございます。

      売れるスピーカーが正義。笑

      本質を見抜く力がなかったので

      評論家に踊らされたわたくし。自爆

      まあ、高校生の頃ですけどね。笑

      今は、スペンドールに絞りました。
      後は、A7を組み直す予定です。

      [ にっぱー ]

      2019/2/5(火) 午前 8:59

    • 顔アイコン

      > ひでじさん
      こんにちは。

      オーディオブームというのは欧米にはなく、日本特有の現象と聴いたことがあります。

      このスピーカー一つとっても、こんな欧米人が首を傾げるリズムも鳴らないもので、欧米の音楽メインとは一時の流行に過ぎなかったというのも仕方ないですね。

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/5(火) 午前 11:53

    • 顔アイコン

      > endlessprojectさん
      こんにちは。

      中域が綺麗にといえば、本文のSONYも、また2ウェイベースの男性声の忠実な再現を重視したBBC系も、そうしてブラインドテストを今も昔も欠かさないNHKモニターもすべて2ウェイですね。

      ミッドがあるから、声=中域がいいということはなさそうに思います。

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/5(火) 午前 11:55

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      > にっぱー△気
      どうりで、本文のSONY技術者どころか、本物の音楽をドイツの音大まで留学されて勉強された、元SONY会長の大賀氏もSONYら国産スピーカーは使わなかったのも審美眼だったのですねえ。

      日本のスピーカーは音楽からのアプローチではなく、技術者からの測定アプローチだったのか。

      またエンドユーザーも今もこちらで流行の空気録音からはベースらリズムが抜けている例も散見します。

      日本人の耳という民族的なものか、日本家屋という環境的なものか、調べてみる必要がありそうですね。

      リズム帯域のトランジェントが重視されていないのは、クラシック派が多いせいでしょうか?

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/5(火) 午後 0:00

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      エンクロージャー幅いっぱいのウーファーが付いて見栄えはしますが見かけ倒しの低音、というスピーカーが多かったですね。
      はじめて自分でスピーカーを買った時は、NS-1000Mの低音に満足できず、バスレフのONKYO MOnitor 100Rにしましたが、低音の質・量を考えるとエンクロージャーに対してもっと小さめのウーファーの方がいいと気づき、次のスピーカーからはTANNOYの同軸2ウェイが続き、サブにMonitor AudioのSilver RX2を買い、今使っているのはHARBETH HL Compact 7ES-3です。

      [ haiku_ginga ]

      2019/2/5(火) 午後 0:03

    • 顔アイコン

      > haiku_gingaさん
      こんにちは。

      ESOTERICのSACDのマスタリングはお読みいただけましたでしょうか?

      今は日本人も海外勤務や出張も増えて、紙、木、草でできている家屋で鳴る音と、欧州は民家ですら石を積んだだけで100年住めるという家屋が多いので、低音の意味が全然違うことの認識が徐々に深まっているように思います。

      ただ、こちらの部屋録をたまに聴かせていただくと、リズムがすっぽ抜けて中高音で聴いているんだろうなという再生音に多く出会うのは、民族か、日本家屋のなせる業か考えさせられます。

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/5(火) 午後 0:10

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      こんにちは。長岡氏はオーディオ雑誌では「本当のことは書けないこともあるけど、文脈で察して欲しい」と書いていましたが、著作でははっきり書いていたのですね。学生時代は分不相応にパイオニアCS-T7を使っていましたが、長岡氏は「低音は出ているけれど軽い」と評されていて、がっかりしましたが、本音はもっと辛辣だったかもですね。卒業後先輩のソニーSS−G5aを聴いたとき、重低音の伸びに気分が悪くなったことがありましたが、ソニーは結構低音に拘っていたメーカーだったのかもしれません。

      [ ファミリーヴィラ ]

      2019/2/5(火) 午後 0:15

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      > ファミリーヴィラさん
      SONYといえども、このBBCモニター影響系の前はお書きのスピーカーらは技術重視の重厚長大路線だったようですから、今からでも褒められたものではなかったかもしれませんよ。

      本文の20センチウーハーの下位モデル、1990年に16センチコーンユニットを採用した下位機種SS-A3について長岡鉄男氏は

      「また長岡鉄男氏は同雑誌で以下のようにコメントされている。
      4面チーク材突き板仕上げ、前後バッフルは米松合板、フロントバッフルは段差構造で全面フェルト張り、内部の吸音材処理も複雑、見えないところに手間隙をかけた音楽性重視のスピーカー。強力なユニットによる2ウエイで、F特性は20KHZに鋭いピークを持つが、それを除くと40HZから30KHZまでフラットで、低音の質が良く、しまりもあり、中高域は美しく、きめが細やかで、気品があり、雰囲気が良い。KENWOODのLS-11と比較すると地味だが、本機も高級感抜群である。」

      見かけの立派さがなかったので、売れなかったそうですが、よいスピーカーであったことが想像されますね。

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/5(火) 午後 0:34

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      日本のソースがショボいだけ。
      ミキシングエンジニアの腕が悪すぎる
      せいもある。

      image line2

      2019/2/19(火) 午後 10:21

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      > image line2さん
      音を入れる側も出す側も両方なんでしょう。

      ゴルゴ平蔵

      2019/2/19(火) 午後 10:42

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