古生代のページ

奇怪な古代生物のページです。 一般には目にすることの少ない実物の化石を中心に紹介します。

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東京国際ミネラル秋のフェア2015
≪特別展≫ジュエリー作家「稲吉 正一とその仲間」

2015年10月2日(金)〜5日(月)午前10時〜午後6時(最終日は午後5時迄)
ハイアットリージェンシー東京/小田急第一生命ビル1Fスペースセブンイベント会場他
出展社リスト(→こちら


なる展示会が開催されています(新宿)

こちらの展示会は、「東京国際ミネラル」とは言え、ジュエリー中心のミネラルショーIMAGEが名前を変えただけという事もあったのですが、名前を変えるくらいだから化石もあるだろうという事で行ってきました。

結果、化石はあまりにも少ない (; ´Д`)
予想できたことではあったのですが。

ただ一階のブースに、カンブリア紀ものを置いているお見せがありました。
澄江が4点と、イタリアのナラオイア?を置いていました。
素晴らしかったのが、メゾンクリークの海サソリです。実物は初めて見ました。
澄江は、アノマロカリス(巨蝦)の10㎝くらいの腕の対物がありました。
非常に、高かったですが…。
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ネクトカリスとは?
ネクトカリス類(Nectocaridid)は、当方の知る限りネクトカリス、ベツストベルミス、ペタリリウムの3属が知られており、澄江とバージェス頁岩、エミュベイ頁岩(豪)で記録があります。それぞれは非常に類似した構造をしており、英語版wikipediaの記述(2015.8現在)によると実質的に属レベルでは同じで、ひょっとしたら種レベルでも同じではないのか?という認識もあるようです。確かに、化石を見比べてみても非常に類似しており違いがよく分かりません。
ネクトカリスもベツストベルミスも、古生物学者は極めて少ない標本を基に分類に頭を悩ませ、節足動物、刺胞動物、環形動物、軟体動物と動物門レベルでの行ったり来たりをしていたようですが、2010年のネクトカリスの研究によると、どうやら軟体動物(頭足類)として扱うのが適切であろう、との研究が為されています。

曰く、外殻はないにせよ、頭部最先端部に2本の器用そうな長い触手を持ち、漏斗をもち、漏斗を介して水を体の全域に及ぶ体腔に吸い込み、そして吐き出せる。化石化された標本を調査すると、漏斗の向きはランダムに向いており、この動物は漏斗の向きを自在に操れた可能性が高い。つまり史上初のジェット噴射という訳です。もしこの種が頭足類なら、これまで確認されていた頭足類の記録から3000万年さかのぼる事になるそうです。
また漏斗から体腔に水を案内することで呼吸を兼ねていたようです。なお初期のジェット機らしく噴射は弱弱しく、メインの推進力はコンベンショナルな鰭によるものであっただろう、コンピュータのシミュレーションにより推定されているそうです。

写真の標本は、おそらく腹側から見たものとなり、漏斗と思われる物体がハッキリ写っています。ひと昔前の澄江の図鑑には叶形虫として、このような謎の『頭部』をもった前方後円墳のような形状の記載がありますが、まさにこれの事です。まさか頭部ではなく漏斗だったとは…
ベツストベルミスは背中にイボイボを持つことが指摘されています。この標本は腹側からのものだと思うのですが、イボイボが見えます。ナゼでしょう????ちなみに腹側に肢を持つそうですが、私の標本では確認できませんでした。どれでしょう????謎多き標本です。

ネクトカリスは生命大躍進でも展示されているので、足を運べる方は是非科博まで見学されては如何でしょうか(本物のネクトカリスが日本で見られるのは次は何十年後になるやら…)。
本物は、写真のネクトカリスより数段綺麗に見えます。

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復元図はNatureより抜粋(著作権が原因で表示できない場合は↓を踏んでください
#99367

参考:
SMITH, M. AND J.-B. CARON. 2010. Primitive soft-bodied cephalopods from the Cambrian. Nature, 465: 469-472.
CHEN, J.-Y., D.-Y. HUANG AND D. J. BOTTJER. 2005. An Early Cambrian problematic fossil: Vetustovermis and its possible affinities. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 272(1576): 2003-2007.
英語版wikipediaの関連ページ(実によくまとまっています)
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コティレディオンとは?
ディノミスクスのような形態をした動物です。海底に固着するディスク状の固着部と、ストロー状の柄と、体本体であるガク部からなります。最大の特徴は、ガクと柄の部分を覆い尽くす骨片です。この骨片は立体的に化石化することが多く、生体鉱物であった可能性があります。また保存の良い化石から、ガクの上辺に30本以上の腕が等間隔にならんでおり、腕に囲まれた上面に口と肛門が仲良く並んでいます。口と肛門はU字系の消化器官によって接続され、ガクの内部に大きな胃があります。
以上のように、動物の形態としてはディノミスクスと非常に似ています。しかし決定的な違いがあり、ディノミスクスの花弁は硬質のようであったのに対し、コティレディオンの触手は伸縮性に富みどうやら引っ込めることも出来たこと、あとは捕食機関のフィルタ装置の構造も違うようです。

コティレディオンは、かつては断片化石のみが見つかっており、ディノミスクスと同じく分類不明種(プロブレマティカ)のカテゴリに放り込まれていました。その後、数十個の標本を基にした研究が行われ、刺胞動物だとして扱われていたようです。で、2013年の研究(下記参考文献)の段階で、海口にて大量の標本が出土(おそらく固まって取れたのだと思いますが)し、400個の標本を詳細に検証した結果、内肛動物なるカテゴリに含めるのが妥当ではないかと考えられているようです。現存する内肛動物の写真を見ていただければ分かるように、確かに似ている…。
私も古い情報に基づいて「イソギンチャク」として1〜2個譲渡したような気もしますが、ご勘弁を。

参考文献では、冠輪動物を構成する多くの種に共通に骨格があるのだから、骨片はそれらの類縁関係を示している、というくだりは面白いと思いました。
例:腕足動物(ハルキエリアのこと?)、軟体動物(ウィワクシアなど)、環形動物(カナディアなど)、内肛動物(コティレディオン)

以上の情報はすべて参考文献の要約です。SSFの中身がこのような動物の可能性があるとは正直オドロキです。論文は「ディノミスクスもたぶん内肛動物に違いないんやで(根拠はないけど)」という空気を醸し出していました。

私が持っている標本もちょっと見ましたが、触手は見当たりません。自由に引っ込められるんじゃどうしようもないですね。ちなみにディノミスクスも私が観察した限りは可動式だと思いますが、花弁の付け根のアングルをかえるのみで確かに花弁それ自体は軟体性組織のようには見えません。写真の個体はガクの部分だけで3㎝弱とこの手の標本としては超大型の個体であるようで、左下のミニサイズのものと比較すれば巨大さがうかがえます。柄の部分も母岩を掘れば出てきそうな雰囲気で保存がよいのでラクにクリーニングできそうな気がします。
#137025

参考文献:
Zhang, Zhifei et al. (January 2013). "A sclerite-bearing stem group entoproct from the early Cambrian and its implications". Scientific Reports 3.   http://www.nature.com/srep/2013/130117/srep01066/full/srep01066.html (フルテキスト)

関連:
ディノミスクス(奇妙高足杯虫)
フロギテス(火炬虫)

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カンセロリアとは?
海底に固着し、星形の防御用骨片に守られた軟体部で、海中の栄養やプランクトンを濾しとって食べていたと見られています。消化器官など臓器らしきものは今のところ確認されていないようです。近縁種としてはユタ州の化石をよく見かけることができますが、標本によっては灰色の母色にカラフルな橙〜黄色でとても美しいです。

このカンセロリアはカンブリア紀の奇天烈動物のうちのさらにキワモノの一つ。カンセロリア類(Chanceloriid)は漢字だと開腔骨類と書きますが、カンセロリアを構成する星形の骨編の中が空洞であることから来ています。この構造は、ウィワクシア類やハルキエリア類と言った軟体動物的な動物の骨片の構造や材質に類似しており、海綿とは異なります。また骨片内側の軟体部の構造も海綿らしからぬより高等な動物のものが持っているような結合組織を持っているそうです(ただしウィワクシアの骨片については情報により中空・密と両方あり、どれが最新の情報かはよく分かりませんが)。
要するに、海綿状の原始的な動物のくせに高度な形質を持っていてけしからん!という事です。問題の解決には、両者をつなぐ生物の化石の発見が待たれます。

ウィワクシア、ハルキエリア、カンセロリアは完全体の姿ものの化石は特殊な条件下(Lagerstatten)でしか化石化せず、たいていは骨片のみがバラバラの状態で化石化します(いわゆるSSFの一類)。カンセロリアの星状骨片は、それ同士が骨格のように組み合わされているのではなく、伸縮性のある膜状の軟体性組織に付着する形で形を保っています。下記に掲載の文献に、軟体性組織について詳しく記載されているようです。
"The integument of Cambrian chancelloriids" by STEFAN BENGTSON and XIANGUANG HOU https://www.app.pan.pl/archive/published/app46/app46-001.pdf

写真の標本は、カンセロリアの一種、アロニアと思われます。かなり大型の個体です。カンセロリアは最上部に”口”のような開口部を持ちますが、その部分がきれいに残っています。星状の骨片の密度は少な目で、骨でない部分には軟組織が見事に保存されています。
部分化石ながら、強烈に美しい標本でした。
復元は『動物世界的黎明』より。

参考:
陳均遠(2004) 『動物世界的黎明』 江蘇科学技術出版社

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エディアカラ生物とは?
最初期の多細胞生物と目される生物群で、特殊な巨大単細胞生物、群体、エアバッグ状生物など諸説ある謎の化石生物の総称で、その時期には「捕食関係がほぼなかった」とも言われています。
エディアカラ生物は動物とは限りませんが、そのうちのいくつかは明らかに動物と目され現在の生物との類縁関係が指摘されているようです。
類似の化石はオーストラリアのエディアカラやナミビアのナマが有名ですが、市場に出回ることは非常に稀で、ほぼロシア白海産のものが出てきていると思います(もっとも、ロシア白海産のものが最も明瞭かつ種類も多様のように感じられますが)。

ロシア・白海産のキンベレラです。
大きさは3.5㎝とそこそこあります。
裏側から見た標本のようで、腹側らしきものが明瞭に見て取れます。またこの『動物』は、前後があるというのもよくわかる標本です。キンベレラ、殻のような構造がありある程度厚みがあったと見られていますが、そのような三次元構造があったであろうと推測させるほど明確な盛り下がりがあります。この手のエディアカラ動物は、生物の体が泥や砂の型に押し付けられた、単なるインプレッションが残っているとされる事が多いようですが、この標本を見る限り甚だ疑問です。もしそうだとすると、黒い染みは何なのかと…。
ちなみにクリーニングは、化学的方法を駆使して行われるそうです。ますますインプレッションではなさそうに思いますが。


現在サプライヤーから、いくつかのエディアカラ生物を買わないか、と言われています。もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、メール(ご存知の場合)か、このフォームにてメールアドレス等をご連絡ください。メールアドレスはそのまま書き込まれると悪徳業者のクロウラーに拾われる恐れがありますので、置換文字列を必ず使って記載願います(例:xxxアットマークyyy.comなど)。このフォームにご連絡いただいた場合、連絡がつきましたら書き込みを削除させていただきます。価格は種類、大きさ、保存状態によりピンキリで数百ドルから1万ドル近くまで、だと思います(欠けていたり小さかったり、または保存が悪かったりするとそれなりに安いですが、種類によってはとんでもなく高いです)。

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