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「調子にのりすぎなんじゃないですか?」
僕、この言葉って嫌いなんですよね。
言われると嫌な気持ちになるし、そもそも調子にのっている事を否定される事がおかしい。
物事がトントン拍子に進んだり、凄く愉快な出来事があったら、
誰だって少しくらい調子にのる事ってあるじゃないですか。
それにそんな風に調子にのってる人を見ているのもなかなか微笑ましい部分があったりして、
決して他人から完全に敵意を持って潰されるような事とは思えないのです。
ただ勿論それは常識の範囲内の事であって、
他人に迷惑をかけたり、心配させるような行動で調子にのるような人はNGです。
で、今日はNGな調子ののり方をした人の話を1つ・・・。
あれは僕が小学生の頃でした。
僕のクラスの担任の先生は、当時35歳前後の荒木先生と言って、
毎日同じブルーのジャージに無地の白Tシャツを着ている、少し髪が薄い先生でした。
今考えると、ムキムキの身体に無地の肌着のような白Tシャツという、
確実にホモっぽいオーラを漂わせている先生だったのですが、
当時の僕等にしたら何でも出来るスーパーヒーロー。
運動もでき、勉強もでき、ドラクエ3のゾーマの倒し方まで教えてくれた先生です。
先生もきっと、そんな僕等の尊敬の眼差しを浴びるのが好きだったんだと思います。
先生は僕等の期待に答えるかのように、様々なことをしてくれました。
図工の時間に凄く似ている自画像を書いてくれたり、
国語の時間に教科書の文章を読まずに暗記して話したり。
そんな田舎のおばちゃんストリップ嬢並にサービス精神旺盛な荒木先生は、
勿論体育の時間も僕等を魅了してくれました。
その日の体育は体育館でバスケットボールをやる事になっていて、
まだまだ下手な僕等と一緒に荒木先生もチームに入っていました。
授業自体は滞りなく終わり、休み時間になった途端、荒木先生は、
「じゃあ先生がダンクシュートを決めて見せよう!」
と、誰も頼んでないのにそんな事を言い出し、
いきなり子供用のバスケットゴールに向かって走り出しました。
ドゴォーン。
体育館中に響き渡るダンクです。皆憧れのまなざしで先生を見つめます。
まぁ子供用のゴールにダンクをして優越感に浸る大人は、今考えるとどうかと思いますが、
当時の僕等は皆、ダンクを決めた荒木先生に夢中でした。
格好いい荒木先生。
スポーツ万能な荒木先生。
なんて素敵な先生なんだろうか、と皆が思っていたものです。
ところが、どうやら様子がおかしいんです。
ダンクを決めて着地した荒木先生は無言でうずくまり下を向いてしまったのです。
僕等は一体何が起きたのかわからずに、様子を覗おうと、
みんなで荒木先生の元に集まったその時でした。
「うわぁ!!せっ先生!!!」
ピューーーーーーー。
あのね、手首からピューーピューー血が出てるんです!!!
それを見た皆の空気が一瞬止まり、風船が割れたかのように一気に弾け飛びました。
気の弱いN子ちゃんは奇声をあげて、何故か泣きながらぐるぐる猛ダッシュしてるし、
他のクラスメイト達も先生から逃げたりで、阿鼻叫喚の大混乱。
自閉症だったT君まで驚愕の表情を浮かべたいたもんね。
うん、なんかショック療法みたいになって、回復してた。
どうやら力強くダンクを決めた時に、ゴールの金具に思いきりぶつけたようなのですが、
先生も先生で、
「みんな落ちつくんだ!!大丈夫!先生、慣れてるから!」
とか何に慣れてるのか全く不明なことを言ってました。
手首から流血するのに慣れてる人間なんて、逆に心配です。
てかもう明かに強がってるんですよね。
手首から血がピューーーーって出てて、
脂汗浮かべてテッカテカになりながら強がってるんです。
血と汗の結晶って何もそういう意味じゃない。
まぁとりあえず、すぐに救急車が到着して先生は病院に運ばれて無事だったのですが、
なんというか人騒がせな話ですよね。
「荒木先生、調子にのりすぎなんじゃないですか?」
あ、言っちゃった。
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