華人経済研究所

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世界的に、市場が活気を取り戻しつつあります。

ニューヨーク・ダウ平均株価が、1年半ぶりに11,000ポイントを一時記録し、日経平均株価もリーマン・ショック前レベルの11,000円台を回復し、中国やインドも軒並み上値を探る展開です。

日本の報道を見ても、例えば不況の中で一人勝ちといわれていた「ユニクロ」の3月売り上げが急落し、代わりに大手百貨店の客足が少しずつ戻ってきたなど、“景気回復を匂わす”報道が出始めています。

しかしながら、失業率や消費者物価指数、需給ギャップなどの実体経済統計数値は相変わらず改善されておらず、「株価は先を見て反応する」とは言われつつも、大方の金融関係者はいまだ二番底への警戒を緩めていない、というのが周囲を見ると実態的です。

そんな中、ひっそりと静かに恐ろしい影を落とし始めている不気味な数値があります。
原油価格です。

先週、原油価格は2008年10月以来の高値である87US$/バレルを記録しました。これは、過去8ヶ月間に70〜80US$/バレルのいわゆるボックス圏内をさまよっていた動きから急激に上昇気流に乗った感じで、一気に伸びてきている現状です。

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英投資銀行大手のバークレイズ・キャピタルは97US$/バレル、ゴールドマン・サックス証券は110US$/バレル、そしてモルガン・スタンレー証券も100US$/バレル、と2011年の原油価格を予想しているほどです。

しかし、原油価格が上昇すれば、当然の如くインフレ誘発要因にもなりかねず、各国中央銀行の政策金利上昇圧力にもなり得ます。そうなると、国債金利も上昇して株式売買と競合した場合に取引低下の悪影響も想定されます。そんなこんなで、原油価格の上昇はマクロ的には良いことばかりではなく、需要総量が不透明な現在の世界経済の中では、特に日本では不安要因がむしろ増幅します。ただし、原油価格の上昇=自動車燃料用ガソリン価格の高騰、という風にはすぐには繋がらない、なぜなら世界の石油精製能力自体は増加しているか、という事実もあります。

ご存知のとおり、リーマン・ショック前の2008年前半に原油価格は急上昇し、同年1月に史上初めて100US$/バレルを突破した後は一気に7月に記録した過去最高値147US$/バレルまで上昇し、その後のリーマン・ショックを経て同年末には32US$/バレルまで急落しました。なんともアップダウンの多い1年だったのは、わずか1年半前の出来事でしたが、いまでは遠い過去のようにも感じられます。

では、一体、原油の適正価格はいくらぐらいなのでしょうか?いくらくらいであれば、世界が戦々恐々とせずに過ごせる持続的安定性を保てるのでしょうか?

エコノミストの間では、「80US$を下回ると、IMFが予想している4%の世界経済成長はスローダウンする」というのが定説化しています。

ミシガン大学経済学者のLutz Kilian氏は、「原油価格の適正な上昇抜きに、世界経済の本格的回復はありえない」と断言していますが、ここに“いくらくらいが適正”という具体適議論はありません。

2009年の世界的経済復興の兆候は、実は原油価格が60US$/バレル程度で安定的だったことが、世界的な市場の回復に寄与した影響度合いは決して小さくない、というのも市場関係者では一致している見方です。

そうすると、先週の原油価格の動き、すなわちボックス圏内から抜け出て上値を試すかのような動きは、やはり世界経済全体にとっては少し恐ろしい起爆装置だと考えて注意深く見張る必要があると思われます。

私が今までに、東南アジアで多く出会った華人資本家達には色々と経済について教えていただきましたが、彼らは「金利」「先物価格」「キャッシュフロー」に関して、常にアンテナを高くしているのが共通的だったように思えます。

そういうセンスで考えると、最近の長期金利や先物価格の上昇について、彼らはどういう手を打ち始めているのでしょうか。最近、実はとても気になっていることです。

( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2010

Note: 本日の記事と画像は "Will oil be the kiss of death for recovery?" Financial Times(2010年4月9日付)を参考にしています。

閉じる コメント(6)

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とっても難しい話ですね〜
原油の適正価格?いくら?
大昔はアラブの王族がいくらぐらいとかって結構適当に値段をつけていたと思ってました〜

2010/4/12(月) 午後 3:27 [ woman in kasugai ]

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いつも見てます。 色々参考になりますがもっと早くから見ておけば良かった! ここ数年でアメ株で20万ドルくらい損しましたから。(泣)

2010/4/12(月) 午後 11:18 D J フォックス

woman in kasugaiさん、いつもコメント有難うございます!
原油の適正価格は、本当にわかりづらいですね。今でも、生産量をOPEC参加国で密室的に協議して決めているので(もちろん生産設備の状況を勘案してでしょうが)、結局需要に対して自然と価格が設定されてしまい、大昔の「王族」による値付けと構造的にはあまり変わらないのかもしれません…。インターネットの時代においても、需要側に値段を決めるパワーがまだ与えれらない、数少ない商品の代表格ですね。またお立ち寄りください。

2010/4/18(日) 午後 0:59 [ tknaito ]

フォックスさん、コメント有難うございました!
>ここ数年でアメ株で20万ドルくらい損しましたから。(泣)
− って、損の額も凄いですが、それだけ資産をお持ちであることも凄いですね(汗)。でも、ダウ平均は(昨日は落ちましたけど)復活傾向にありますね。巻き返し中でしょうか?またお立ち寄りください。

2010/4/18(日) 午後 1:02 [ tknaito ]

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1週遅れですが、自分の商売に関係あるもので書かせてもらいます。
エネルギー資源は、発熱量が同じ他の資源と競合するので、あまりにかけ離れた価格にはならないはずですが、石油は取り扱い(運搬や燃焼装置など)が良いために、他より高価格の傾向があります。
また、エネルギー資源は、見つかりやすく低いコストで生産できる所から生産してきたので、今後は価格が高くないと生産できないような所を開発していくことになります。
高価格→増産へのインセンティブ→価格低下 とは中々いかないので、途上国の経済発展が石油の消費増に繋がると、価格上昇は免れません。中国は、国家が懸命に資源確保に走り回っているのに、日本は子供手当や農家の所得保障の財源を出すために政策予算を削ってますから、見通し暗いです。

2010/4/19(月) 午後 7:35 [ お染 ]

お染さん、コメント有難うございました。
原油価格がなかなか需給で価格低下とならない事情、大変勉強になりました。いわゆる、人気商品の原理なわけですね(^^)。そんな難しい商品の関係に携わっているとは、シビアで大変でしょうがエキサイティングなお仕事でしょうね!また色々と教えていただければ幸いです。

2010/4/25(日) 午前 11:50 [ tknaito ]


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