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昨日のマーケットは、ちょっと、というか、かなりビックリしましたね。 ニューヨークでは、ダウ工業株30種平均は一時前日比998US$も値下がってしまい、円ドル為替レートも瞬間的ではありましたが、1US$=87円台をつける超急速な円高を記録しました。 日本がGolden Week最終日だった5月5日(水)の時点で、ギリシャの政情不安からドルが買われて一時は1US$=95円近くまで行っていたことを考えれば、わずか2日間で瞬間的に8円も円高に触れた、という恐ろしい混乱があったわけです。もしも、これをつぶさに観察して底値買いして高値売り抜けを実行した人がいれば、わずか2日間でとてつもない取引を実行できたわけですが、これはジョージソロスでも大きなリスクをとれるような状況ではなかったでしょう。 それにしても、ギリシャの財政不安問題は、市場ではすでにスペインやポルトガルへのドミノ倒しリスクを相当織り込みはじめた、というのが昨日の市場からのメッセージだったわけですが、昨夜緊急的に行われたG7財相間での電話協議によって、「IMFを通じたギリシャ+αへの財政支援は国際社会全体で取り組みのだぞ!」というカウンター・メッセージが明示的に出されたように思われます。 ギリシャの財政不安、スペインやポルトガルへの飛び火不安、タイでの政情不安、中国での不動産バブル不安、日本の普天間問題不安、…世界は不安だらけになっており、不安なマネーは行き場を失いつつあります。 ギリシャ問題で日本の報道各紙における国際面が大きく賑わっている中、実はインドネシアでは全く違う内政問題が大きな不安として取り上げられています。 それは、今までユドヨノ政権における経済安定成長路線の最大の貢献者として国民から圧倒的な指示を受けてきた、スリ・ムルヤニ・インドラワティ蔵相(47)が、5月5日に突然辞任することが決まった件です。 すでに日本経済新聞の5月6日付け夕刊にも報じられているとおり、世界銀行のNo.2ポストである専務理事への「名誉ある転出」ということで、現職蔵相がスカウトされるという異例の出来事に対して、インドネシア国内では様々な憶測が報じられています。 というのも、前回の本欄記事でも取り上げたとおり、インドネシアの今後の持続的な経済成長に対して不安点を挙げた場合に、昨年来から最も深刻化している内政問題としてのユドヨノ大統領の汚職関連問題、つまり経営破綻危機にあったセンチュリー銀行の救済に関する公的資金の注入問題があります。 これに対して、救済資金の拠出を判断した蔵相として汚職撲滅委員会(KPK)にも参考人扱いされているスリ蔵相が、これ以上政争の具にはされたくないという個人的思い、問題を早く片付けて自身の立場を守りたいユドヨノ大統領、そして問題を追及している元与党で現野党のゴルカル党との間で、「スハルト時代からの汚職構造を色濃く残す既得権益を守りたいゴルカル党が、厳しく汚職問題に攻め入るスリ蔵相を蹴落とすために、センチュリー問題を梃子に相当切り替えしていたが、国際的評価の高いスリ蔵相をユドヨノ大統領が世銀のぜーリック総裁に売り込んで、全員の利害が一致するように今回の『名誉ある転出』を調整したのではないか」との見方が国内では広がりつつあります。 5月7日のインドネシア国内新聞各紙は、残る4年半の政権安定を図りたいユドヨノ大統領の思惑や、「名誉ある転出」を選んだスリ蔵相自身の決断、スリ氏の追い落としを図ってきたゴルカル党などの政治家の圧力などが絡み合った「辞任劇」という見方が大勢、と報じています。 インドネシアで、主に在留邦人向けに発行されている「じゃかるた新聞」には、以下のような非常にわかり易い相関図が掲載されていました − ここで当研究所が興味を持っているのは、もちろんスリ蔵相無き後のインドネシア経済の行方なのですが、それ以上に、スリ蔵相はインドネシア華人資本家達と本当はどのような関係にあったのか、という真相です。 インドネシア国内の報道では、「(センチュリー銀のオーナーであり、逮捕された華人資本家の)Robert Tatularとスリ蔵相には取引関係があった」と警察幹部が公言していたり、それ以上に、ユドヨノ大統領-ブディオノ副大統領が担当した昨年の選挙戦で、センチュリー銀行を通じてユドヨノ組を支援していた華人資本家たち(サンプルナ一族のBoedi Sampoeruna、国営投資銀行DanareksaのCEOであるLin Che Weiなど)が、Robert Tantularと何らかの関係をもって選挙支援資金(約US$200mil.)の洗浄を行っていた、等々の事実が徐々に暴かれ始めています。 しかしながら、今回のスリ蔵相による『名誉ある転出』によって、こういった華人資本と政治の関係もまたうやむやにされてしまう可能性が高い、と思われます。 華人資本の大半が、ユドヨノ政権を良い意味でも悪い意味でも支えていることは、間違いないのですが。 新興国代表としてG20にも選出されたインドネシア、特にスリ蔵相の評判はお世辞抜きで国際的に高いものなので、世銀の専務理事として途上国向けの支援にその才能を如何なく発揮して欲しいのは個人的にも期待するところなのですが、インドネシアの持続的な経済成長の見通しについては、後任に誰が就くか、で相当評価が分かれるかもしれません。 ( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2010
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お晩です!。インドネシア経済は、急速な発展を遂げている反面、不安要素もいろいろある中で、海外投資が盛ん・・・それだけに、動向には非常に興味がありますね。貴重な情報有難うございます。
2010/5/15(土) 午後 11:52 [ コロン ]
コロンさん、コメント有難うございました!
本当に、「意外なほど頑張っている」というのが、今のインドネシアに対する評価です。外的要因に対して構造的に強くなったのが、最大のポイントでしょうか。またお立ち寄りください。
2010/5/16(日) 午後 5:07 [ tknaito ]