華人経済研究所

2014年も、毎週末更新です!

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平日の業務がちと忙しく、約1か月ぶりの更新になってしまいました。申し訳ありません。気合を入れて、フンドシを締め直したいと思います。

さて、日本で巻き起こっている「異次元の金融緩和」は、日本の株式市場と円ドル為替レートだけでなく、もはや社会現象として世界に完全に認知されています。政権与党の政治家が最近好んで使用する「日本が世界の中心に戻った」という表現さえ、もはやBluff(虚勢やはったりの意味)ではなくなりました。

英国の経済誌「The Economist」が日本特集を組み、米国では日本株式専門の投資信託に資金が怒涛の如く流入し、為替市場も円の値動きに世界が注目し続けるようになりました。

そんな中、日本経済新聞社が毎年開催している恒例の「アジアの未来」が先週開催されましたが、ここでも話題の中心は「黒田緩和」でした。

日銀による「異次元の金融緩和」、すなわち「黒田緩和」によって日本国債が日銀に吸い上げられることによって、それまで国債を買っていた機関投資家の資金が弾き出され、結果としてアジアに流入している事実が既にあります。

今回の「アジアの未来」では、シンガポールのリー首相、タイのインラック首相、ベトナムのニャン副首相、カンボジアのキエット副首相、ラオスのトンルン副首相、フィリピンのデルロサリオ外相、ASEAN事務局のスリン前事務局長、そして常連メンバーでもあるマレーシアのマハティール元首相など、ASEAN地域から錚々たるVIPが揃いました。注目のインドネシアからは、現役閣僚が登壇する代わりに、現在世界銀行専務理事を務めていて次期大統領の有力候補とも言われているスリ・ムリヤニ・インドラワティ元財相が登場しました。

ASEANから登壇したVIPのほぼ全員が「アベノミクス」もしくは「黒田緩和」に直接・間接的に触れ、なおかつ環太平洋経済連携協定(TPP)への期待と懸念を述べました。

御存知の通り、インラック首相はタクシン元首相の実妹で、若さと美貌と財力と実兄からの強力なサポートに恵まれた、ASEANの歴史の中でも新しいタイプのリーダーです。その可憐さから、首相としての力強さや政治力への不安をよく耳にしますが、今回彼女が基調講演で語った内容は(タイが開発を進めているミャンマーの「ダウェー経済特区」の話を除けば)現在の日本とASEANの関係を非常に現実的に捉えていますし、何より彼女がセールストークとして語った「日本とタイが投資で協力すれば共に成長できる」というくだりは、中国や韓国と難しい局面を抱え続けている日本にとってはこの上ないラブコールであったでしょうし、タイにとっても日本を抱え込むことは他ASEAN諸国との競争でもある、という戦略的な意図が明白に見えていました。

実際、黒田緩和や米国の継続的な緩和策によってタイをはじめとするアジアへの資金流入が増えている一方、タイ政府が5月20日に発表したGDPは1-3月期の実質国内総生産(GDP)は前年同期比5.3%増にとどまり、市場予想の6%を下回ったことは懸念として報道されています。

タイ政府自身も、国家経済社会開発委員会(NESDB)が同20日、今年のタイの経済成長予測をこれまでの4.5-5.5%から4.2-5.2%に下方修正したことを明らかにしました。下方修正理由については、「第3、第4四半期の成長には不安がある。世界経済は先行きが不透明で、バーツ高も続きそうだ。とりわけ、『初めてのマイカー購入支援』も終わって、国内消費が大きく落ち込むと予想されることが大きなマイナス要因」と述べていました。

このため、タイ政府は景気を下支えするために利下げを検討していますが、タイ中銀が躊躇しているために、中銀総裁を更迭してでも利下げを断行しようと圧力をかけていると見られています。ここまで来ると、「どこかの国」では首相の意を汲むヒトが中銀総裁に選ばれましたが、こっちのやり方のほうが見た目は少しスマートですね(笑)。

そのような景気減速プレッシャーがある中で、「アジアの未来」という毎年恒例の機会を巧みに利用(活用)して、聴衆全員の前で「タイは日本とwin-winになれる」といったニュアンスで日本の政治家たちを魅了したインラック首相は、そのひときわ目立つ美貌も手伝って、明らかにセールストーク面では他のASEAN諸国からの参加VIP達から首一つ抜け出した感じでした。

やはり、最も建設的なwin-winの法則としては、日本からはじき出されたマネーが漂流して金利の高いASEAN諸国に流入し過ぎないように当局同士で監視を強化し、必要に応じてASEAN諸国側で金利を速やかに下げていくなど流入抑制をしつつも国内景気を刺激していく両面コントロールの難しいかじ取りを、ASEAN側が主体的にやっていきながら日本側でもマネー漂流に対するウォッチを怠らないことでしょう。仮に過度の流出入が確認された場合には、即座に市場で警告を発して、特に為替の変動について急激な変化に対してはサーキットブレーカーを発動させて強制的に取引を一時休止させるなど、監督の厳格化が必要不可欠だと思われます。

ちなみに、インラック首相は基調講演の冒頭で、「2050年までに世界の国内総生産(GDP)に占めるアジアの割合は51%に倍増します」と述べて、改めてアジアの時代が到来したことを強調しました。

一方、この「51%」という予想値は、アジア開発銀行(ADB)が2011年5月の年次総会で発表した有名な数値を引用したのだと考えられます。当時のADB総裁は、黒田・現日銀総裁です。インラック首相が、「黒田緩和」に敬意を表しつつ引用したのだと思われます。間違いなく、黒田日銀総裁と日本政府関係者はニンマリしていたはずで、インラック首相のセールストークはバッチリ効いていました。

良いスピーチライターを抱えているのだとは思いますが、さすが民間企業CEO経験者だけあって、なかなか顧客の心をくすぐる術をもっているなか、と感心しました。

( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2013

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私も時々タイに出かけますが、あの国は、過去の歴史からも分かるように、非常にの〜んびりした国のようですが、外交術は、したたかな国民だと思います、インラックさんの、あの美貌で、かすかに日本さん一緒に経済活動進んでいきましょう〜と言いつつ、又韓国には、すり寄り、中国とも付き合っていくしたたかさを持っています・・・、余談ですが、韓国のノンビザ滞在は、3ヶ月ですが、日本はわずか1ヶ月です・・・タイは、良い国ですので、私としては、もっと経済発展して行って欲しい反面、今のままで居て欲しいと言う気がするんですが・・・^^;

2013/5/27(月) 午前 9:51 きくちゃん

まいどきくちゃんさん、申し訳ございません、こちらへのコメントバックが大変遅れてしまいました。お詫び申し上げます。
タイの外交術、おっしゃるとおりしたたかだと思います。生きている術のひとつなのでしょう。土地も肥沃で、地政学的にも良い位置に立地しており、戦略的な港(レムチャバン港)も有しており、仏教徒として価値観が国民全体に浸透している、まさに日本に近い地理的条件を持っている貴重な国ですね。望む望まずにかかわらず、まだまだ発展すると思います。またお立ち寄りください。

2013/6/11(火) 午後 8:37 [ tknaito ]


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