華人経済研究所

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シリア問題に対する米国、オバマ大統領による発言と対応方針の紆余曲折は、結局「国際社会による監視」という超民主主義的な結論に落ち着き、しかもそれを誘導したのが旧共産主義の代表国ロシアだったというところが、まるで悲劇的な映画の終幕を見ているかのように感じたのは、当研究所だけではなかったと思います。皮肉以外の何者でもないですね。悲しさすら感じます。

これに関連して、オバマ大統領が9月10日の演説で「米国は世界の警察官ではない」と公言したことに対し、本日(16日)付けの日本経済新聞で奇才イアン・ブレマーが −

「世界が『Gゼロ体制』にあることを明確にした」

− と数年来の自らの主張が裏付けられたことを強調しています。

同時にここで、ブレマーは −

「すべての人がシリア問題への対応を見て、米国が弱いと理解した。日本は世界第3位の経済大国であり、環太平洋経済連携協定(TPP)にも入り、安倍晋三首相という強い指導者がいて、米国とつながっている。しかし、ベトナム、フィリピン、シンガポールのようなアジアの小国はどうだろう。おそらく「米国は我々を守ってくれない」と思うだろう。いずれ、日本の民主党のような考えにたどり着くかもしれない。「現実を見つめよう。そして、中国の側に入ろう」ということだ」

− という、ある種の極論を展開しています。非常に興味深く、現実的ともいえるかもしれません。

もちろん、ベトナムは同じ社会主義の中国に対して常に呑み込まれまいと注意深く接していますし、どちらかといえば親日国家です。フィリピンは南沙諸島問題で、富に最近中国と関係が悪化しています。シンガポールは代表的な華人国家であり、指導者達は中国とも近い関係にありますが、建国の父としていまだ影響力を保つリー・クワンユーなどは「日本が牽引するアジアの発展」を健全な姿だと公言しています。

それでもなお、ブレマーが主張するように『Gゼロ後の世界』が既に始まっているのだとした場合、米国と中国という新しい2大パワーバランスの中で、彼が言うようにアジアの小国は困った暁には「遠くて頼りにならない国とその同盟国」よりも「近くてパワーのある国とその従属国」を頼っていくという構図は、やはり十分有り得るシナリオであるといわざるを得ないでしょう。

このあたりが、ブレマーが「稀代の天才」と世界中から評価されている一面でもあります。

このような『異次元の国際関係』がアジアに大きな影響を及ぼしていく中で、アジアを主要な市場としている華人資本家たちは、どのような先読みをしながらビジネスを展開しているのでしょうか。

彼らアジアの華人資本が常にアジアの市場を大きく動かしているという事実からも、彼らの動きをできる限り正確に把握し、その背景を分析し、その先行きを見通すことはアジア全体、引いては世界全体の経済を見通すことにもつながっていきます。

例えば、香港の不動産最大手、新鴻基地産発展(サンフンカイ・プロパティーズ)は先日、中国・上海の一等地で5000億円を超す不動産開発投資に乗り出すことを発表しました。

サンフンカイと言えば、長江実業と並んで香港を代表する不動産コングロマリットでありながら、1年半ほど前に政府高官と同社代表者の汚職疑惑が摘発されて政治的な逮捕劇が世界中を騒がせたことでも記憶に新しいと思います。

そんな政治的障害を乗り越えて、上海を含む中国の経済成長先行きも難しいと言われているこのタイミングで、高層オフィスビルやショッピングセンター、ホテルなどを備えた大型の複合施設を建設する計画に5000億円という巨額を投じ、上海で同社にとって過去最大の投資に踏み切る賭けは、華人経済研究者ならずとも興味を引かれるはずです。

同社の郭炳江(トーマス・クオック)共同主席は12日、香港で開いた決算発表記者会見で「どんな投資にもリスクはつきもの。上海が投資に値する都市かどうかを長期的な視点でみられるかだ」と語り、上海の発展に自信を示したそうです。まさに、華人資本家の真骨頂たる「底値買い」をやっているのだ、と言わんばかりです。ということは、少なくともトーマス・クォックだけは、今の上海は地価が底値に近い、と考えているのです。

もともとこの建設プロジェクトは、上海市政府が実施した競売で中心部、徐家匯の土地(総面積は計10万平方メートル弱)使用権をサンフンカイが総額217億7千万元(約3550億円)で落札したもので、阪神甲子園球場が約2.6個収まる広さに建設費用などを含む投資総額約400億香港ドル(約5120億円)をかけて、一大商業コンプレックスを新たに開発するという大プロジェクトです。

香港のスーパーマンと呼ばれる李嘉誠(リー・カシン)もそうですが、中国共産党幹部と太く強いパイプを持つトーマス・クォックなどが今回このようなタイミングで、このような社運を賭けた大型投資を行う背景には、やはり「ピンチはチャンス」「誰も買わないときが買い時」「底値で買って高値で売る」という、華人資本家としては基本中の基本であり、勝利の方程式ともいえる投資の鉄則を貫いている、信念がそこに見えます。

ちなみに、サンフンカイが12日に発表した2013年6月期決算の売上高は前の期に比べて21%減の537億9300万香港ドル、純利益も6%減の403億2900万香港ドルとなっており、前期比で減収減益でした。香港政府の不動産投資規制などが影響した、と言われています。

そんな完全逆風の中で、成長の機会を攻撃的に求めていく。華人資本家の真骨頂だといえます。

長江実業も、逆風ですが、着々と投資案件を増やしていると伝えられています。インドネシアの華人系財閥(インドフード、シナール・マスなど)も、資本流出が伝えられている中で積極性を無くしていません。

周囲が逆風になればばるほど、投資の機会としては最大のリターンを得られる可能性が逆に増えてくる。そういう投機ではなく投資の基本を華人資本家達がアジアで相変わらず実行している限り、アジアのダイナミズムは失われることはないのだろう、そんなことを改めて実感する今回のサンフンカイの投資報道でした。

( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2013

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中国の経済下降は、確実だと思いますが、そうかと言ってあくまで今日明日の事では無いのでしょうから、華人達は、まだ買いだと踏んだのでしょうね。
アメリカの世界の警察官は、終わったのでしょうか?オバマと言う大統領の方針で有って、次の大統領ではどう変わるのか分かりません、シェールガスでのエネルギー革命で強いアメリカが帰って来るような気がしてなりません。

2013/9/17(火) 午前 9:18 きくちゃん


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