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混迷を深める旧ソ連圏のウクライナで、ロシアがオバマ大統領の「忠告」を完全に無視した形で軍事介入をしていることが明らかになり、ウクライナの南部クリミア半島という日本人にはほぼ馴染みのない遠い地域において、欧米諸国とロシアの間で緊張が高まっています。
軍事介入を伴う米ロの間接的な緊張が久しぶりの事態であるので、世界各国は一斉に「すわ21世紀の冷戦危機か?」と騒ぎ始めています。
事前の不安をよそにソチ五輪を無事に成功させ、6月にはG8サミットを同地でホストする予定を控えるロシアのプーチン大統領にしてみれば、もちろん世界からの反感を買ってまでウクライナへの軍事介入をプレイアップしていくつもりは毛頭ないでしょう。
各種報道によれば、クリミアというウクライナの南端部地域は居住する半数以上がロシア系住民であり、それらの人々を混乱から守ることをロシア国内保守派から強く求められたため、半ば「同族保護」的な措置として致し方なく軍事介入した、という背景があるようです。真意は、近々に判明していくのでしょう。
このような新たな国際安全保障上の重要な出来事も注目すべき一方で、当研究所がより注目しているのは、最近の中国人民元の急激な動きです。
現在、中国人民銀行は元の1日の変動幅を制限していて、同銀行が自ら毎日公表する基準値から対米ドルで上下最大各1%までに制限しています。
それが、2013年末までは対米ドルで緩やかに「元高ドル安」の流れを汲み、1米ドル=6.05元まで上昇していたのが、今年2月28日までには一時6.1808元まで一方的に「元安ドル高」の方向を見せています。下落幅は、2か月間で約2%に上っています。
この急落の状況に対して、報道各紙は共通的な見方として、以下の3段階に連なる要因が作用していると指摘しています −
(1)米量的金融緩和の縮小・新興国不安・中国金融リスク不安などを原因とする中国への資金流入の勢い減速
(2)元高によって輸出競争力が低下し苦しんでいる国内輸出企業へ配慮し、人民銀が市場の元安を容認している
(3)3月5日開幕の全国人民代表大会(全人代)を見据え、輸出企業からの不満を抑え込むべく、さらに元安を加速させるために、人民銀が為替介入(人民元売り・米ドル買い)による元安誘導を実施中
− G20がちょうど2月23日に終わっているので、人民銀としても日米欧などから批判を浴びずに済むタイミングとして、G20閉幕直後から為替介入を本格化させているという見方もありますが、おそらく間違いないでしょう。
ここで注目すべきは、短期的に共産党当局が人民銀を駆使して、自国輸出企業への目くらまし的に元安を「演出」していることではなく、全人代後に元レートが米ドルに対してどのように動いていくか、という中期的な想定です。
なぜ、人民銀が2013年末まで元高を容認していたかと言えば、2010年6月に人民銀が一部広東省や上海市、香港などで実施していた人民元貿易決済の対象相手国・地域を、全世界に拡大すると発表したことことにまで遡ります。
2010年と言えば、この年のGDP総額で中国が日本を抜いて世界第2位に躍り出たことを思い出す年ですが、人民元は欧米を始めとする国際社会からの強い要求に配慮して「強すぎる人民元」の交換レートを元高にしていくことを容認し始めた年でした。
ただし、単に国際社会に配慮するだけのはずもなく、人民元高を容認しながらも人民元を国際通貨として世界に広めていくことを中国政府は目指しはじめ、その手始めに2010年6月の人民元貿易決済対象国・地域の拡大が開始された訳です。
したがって、基本路線としては、中国共産党も人民銀も一枚岩となっているはずで、中長期的に人民元を米ドルやユーロに匹敵する国際基軸通貨にしていく方針は変わっていないことから、対米ドルでの人民元高という交換レートのトレンドはまだまだ全人代後も有り得る、と考えるべきでしょう。それが、包括的には中国の世界制覇戦略のひとつのツールでもある、と考えられます。
ただし、経済は通貨だけで割り切れるものではなく、上述した「理由(1)」のように、仮に世界のマネー自体の中国への流入が中期的に減っていく場合、すなわち中国が世界からのマネーを引き付けるほどの安定的な経済成長を担保出来なくなった場合、どうなるのか、というクエスチョンは常に持っていなくてはなりません。
中前国際経済研究所の中前忠代表は、「中国経済の最大の問題は、キャッシュフロー不足である」と明言しています。そうであれば、世界のマネーが期待するほど流入しなくなった場合、中国経済はどうなるのか、人民元はどうなるのか、短期金利はどう動くのか。
これらが悪い方向のシナリオ(資金流出、人民元安、短期金利上昇、インフレ上昇)に振れはじめるサインがもしも見えたら、世界経済は再び混乱期に陥るでしょう。
ウクライナへのロシアの軍事介入も緊張度は相当高いですが、全人代後の人民元の動きと中国経済の行方は、世界経済全体の観点から決して目を離せません。
( tknaito 研究主幹 ) Copyright © tknaito 1999-2014
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人民元の行方は、目が離せませんね、それもそうですが、今共産党の行く先がどうも、政治的に不安定で、習さん国内対策に大わらわで、どうも、文化大革命を彷彿させる方向に持って行っているように、思われて仕方無いのですが、爆撃機に例えるなら、パイロット習さん、銃撃手人民軍は、外に向かって、撃ちまくってます、尖閣や、南沙諸島へ、プロペラ経済は、少し、パワーが落ちて、プスンプスンと推進力が無くなってます、一方機内国民は、飲めや歌えのドンチャン騒ぎ、中で、取っ組み合いの喧嘩する奴、隅っこで、お金をくすねて、数えてる奴、パラシュートを用意して、脱出しようとしてる奴、習パイロットは、大声あげて、これらをやめさせようと一生懸命!この爆撃機を何処に着陸させようかと、必死です!私は、このような構図が今の中国だと思います、日本もこれに近いですか?(^^;;お粗末な比喩で、済みません。
2014/3/3(月) 午前 8:36
まいどきくちゃんさん、コメント有難うございました。
全人代終了後、人民元の動きは加速していますね。中国経済の先行き不安が好転すると、人民銀の介入が終わって今度は元高に振れると考えられています。
しかし、ご指摘の通り、肝心の中国経済がどうなっていくのか、習主席の舵取りは本当に大変になってきていますね。お手並み拝見、というところでしょうか。。。 またお立ち寄りください。
2014/3/23(日) 午後 2:55 [ tknaito ]