将棋記者八雲のノート

将棋中継記者です。モバイル中継と順位戦中継をしています。

中継後記

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 このところ中継後記を書いていなかったので、ここ2週間分をまとめて日記風に。
 
1月17日(月)
 新人王戦から長岡裕也五段−及川拓馬四段戦。
 若手らしい横歩取りの最新形、△8五飛戦法から△5二玉の形でした。感想戦も研究会の検討を見ているかのような雰囲気で、研究の最先端がどのようなものか垣間見えました。
 
1月19日(水)
 飯塚祐紀七段−佐藤紳哉六段戦。
 一手損角換わりでこちらも最先端の形で、仕掛けのあたりまでは研究勝負の気配。しかしそこを過ぎてからは腕力勝負となって、最後はお互いに泥沼に入り込んでの根性勝負となりました。若手棋士とは一味異なる、中堅実力者同士の勝負に懸ける思いを見せつけられました。終局は0時過ぎで始発を待って帰宅することになりましたが、その分時間を気にせず感想戦をみっちり取材できたので充実した中継となって満足の一日。
 
1月25日(火)
 片上大輔六段−佐藤天彦五段戦
 矢倉の△5五歩急戦です。私は個人的に矢倉が最も好きな戦型のため大変興味深く対局を見ていました。その分コメントがやや難解で長くなってしまったかもしれません。矢倉の魅力をわかりやすく伝えたいものです。佐藤五段の新手は研究会レベルでは指されていたようです。片上六段はあまり研究していない形だったようで、その場で対策を考えたものの、作戦負けにしてしまったとのこと。佐藤五段は感想戦でコンコンと咳き込んでいて風邪気味のようでした。このところ風邪気味の棋士をよくみかけるので、少し流行っているようですね。
 
1月26(水)
 先崎学八段−山崎隆之七段
 昨日の中継です。山崎七段が関西から来訪しての対局は、相掛かりから山崎新手の▲7六歩。昨年のJT杯決勝で放たれた新手、と言えばピンと来る方も多いでしょう。先崎八段が真っ向からとがめに行ったので、その内容はそのまま今後の定跡となりそうな見応えある展開でした。プロ的には早い段階で勝負は決していたようですが、それは後で振り返ってのこと。大差ではなく、微差だが変化の余地がない、という結論のようです。
 
 深夜の泥沼劇から定跡最先端まで、盛りだくさんの内容でした。しかし、いずれの対局も今後のプロの対局に確実に影響を与えるであろう内容で、こうした日々の対局の積み重ねが、プロ将棋の礎となっていることが実感できました。
 
 中盤のねじりあいや、終盤の妙手は将棋観戦の醍醐味ではありますが、派手な手の出なかった対局も、戦法の進化の歴史と合わせて考えると、また違った面白さが味わえそうですね。
 
 さて、今週は土曜日も中継をいたします。
 竜王戦6組から金井恒太五段−武田俊平アマ戦です。1回戦を見事な将棋で快勝した武田アマに注目が集まっています。
 
 中継は竜王戦将棋道場日本将棋連盟モバイルで同時中継されますので、よろしくお願いいたします。

中継後記 順位戦祭り

 昨日はA級、B1、B2の一斉対局で順位戦中継がお祭り状態でした。
 控室も私の経験では過去最多の人数が詰めかけて大盛況。
 
 私が中継を担当した▲木村−△渡辺戦は、木村八段の新手が実らなかったようです。写真撮影をしながら感想戦の端々を聞きかじった限りでは、新手を放った直後には木村八段はもう悪いと思っていたようです。もちろん致命的な差ではなく、実戦の終盤も控室の評判通り相当に難解だった模様。最後は先手が勝ちそうな変化も見つかりました。
 
 先手よしの変化が見つかったあとの木村八段はぼやくことしきり。「そっかー」と言いつつ、例の体育座りも一瞬ですが見せてくれました。カメラを構えたときにはあぐらに戻ってしまったので皆さんにお伝えできないのが残念です。
 
 さて、来週のC1以外は残り2戦となって、昇降級も絞られてきましたので、ちょっと整理してみたいと思います(文中一部敬称略)。
 
 まずはA級から。
 挑戦権争いは森内九段が1敗でトップ。渡辺竜王が2敗で追走、谷川九段、久保二冠が3敗で続いて、目があるのはここまで。次回8回戦で森内勝ちなら3敗の2名は脱落です。
 
 残留争いのほうは大激戦。2勝は藤井九段、木村八段の2名。藤井九段は次戦敗れれば即降級決定。また2名とも残り2連勝でも残留は他力です。挑戦の目のある谷川九段、久保二冠でも残り2連敗すれば降級の可能性があって、まさに大激戦ですね。
 
 B1は佐藤康光九段が昇級を決めました。残り1枠は3敗の屋敷九段、4敗の松尾七段、山崎七段と続き、屋敷、松尾は最終戦で直接対決があって松尾七段が順位上位のため、2名とも自力です。山崎七段は残り2連勝でキャンセル待ち。屋敷、松尾がともに1敗以上すれば山崎昇級。その確率は50%です。
 
 その山崎七段との対戦を残している5勝5敗の深浦九段は残り2連勝で自動的に山崎七段の上を行きます。屋敷2連敗、松尾1敗のときのみ昇級できるので、確率は1/8の12.5%になりますかね。残る5勝5敗の中村修九段と中田宏樹八段のベテラン組は順位が悪く昇級の目はありません。
 
 残留争いは豊川七段がすでに降級が決まっています。もう1名は大激戦。中村修九段と中田宏樹八段もまだ安心できません。順位3位の深浦九段は2連敗でも大丈夫です。
 
 B2は1敗が中川八段と橋本七段、2敗が阿久津七段、北浜七段、島九段、戸辺六段で昇級争いはここまで。3敗の畠山成七段と飯島七段は順位が悪くすでに昇級の目がありません。
 
 降級点争いのほうは、森下九段がどうしたことかここまで信じられない全敗で降級点が決まっています。田中寅彦九段も1敗でピンチ。他は激戦でまだまだわからない状態です。
 
 というところで今回はこのへんで。 
 すっかり遅くなってしまいましたが今年の最初のブログ更新となります。
 本年もよろしくお願いいたします。
 
 今年の将棋関連の仕事始めは一昨日の順位戦C級2組の中継からとなりました。
 東京の対局は全12局。これを牛蒡記者と折半して6局ずつの担当で、仕事始めとしてはなかなかハードです。
 さらに私の担当した6局からは、千日手がなんと2局も発生!ということで、全8局中継という過去最高中継数を記録することになって嬉しいやら、大変やらの1日となりました(笑)
 
 C級2組の中継では関西所属の棋士が多数東京で対局するのが普段とちょっと異なるところ。大広間の中央、棋峰の間は上座がわかりにくく、朝、対局室に入った関西棋士が迷うようなそぶりを見せるのも恒例です。
 
 深夜の23時を回るころには対局と感想戦を終えた棋士が控室に集まりだします。特に関西からの遠征組の若手は、ホテルも取らずに朝まで控室で時間を潰す棋士が多く賑やかです。関東組も体力のある若手は、せっかく交流する機会の少ない関西勢が来ているのだからと、朝まで控室にいることが多いです。若者同士で様々な将棋の研究をしたり、ときにはプライベートな話で盛り上がったり。
 
 今回は阪口五段と菅井四段が連れ添って関西人らしい軽妙なトークで場を盛り上げます。関東勢のトークは永瀬四段がムードメーカーで関西勢に対抗します。遅れて澤田四段も登場しましたが、こちらは想像通り口数が少ない関西勢では珍しいタイプ?でしょうか(笑)
 
 さらに翌日対局で恐らく連盟に宿泊していた里見香奈女流三冠も顔を出します。控室に顔を出しているところは時々見たことがありますが、この日は関西勢が多かったので里見さんもリラックスした雰囲気で、阪口さんのトークにケラケラと笑っていました。翌日の対局は珍しく居飛車を持って快勝していましたが、前夜のリラックスが効いたのかもしれませんね(笑)
 
 検討組の棋士は、佐々木慎五段や伊藤真吾四段のいつもの最強検討陣の他に、松尾歩七段も参戦して高度な検討が行われました。さらに佐藤康光九段と先崎学八段もいて、この二人が継ぎ盤を挟んで検討しだしたときには、控室の空気もピリっとするほどの緊張感すら漂いました。さすがの迫力ですね。
 
 最後は千日手指し直しとなった▲村中−△増田戦を皆で検討してもらい、この日の中継を終えました。
 
 今週は明日金曜日に順位戦をもう一度担当します。A級1局に、B1とB2まである大変ハードな一日ですが、私はA級の▲木村−△渡辺戦を専属で担当することになっています。多数の対局を同時に担当するのとはまた異なる難しさがありますが、対局者の当日の息吹をお伝えできるように心がけたいと思います。
 前回からの続きです。
 8日水曜日は王位戦予選から▲遠山四段−△渡辺竜王戦。
 
 ブログ研メンバー同士の対決ということで、最新の研究のぶつかりあいになること必至の本局。期待通り相穴熊の勝負となりました。中盤に入ってかなり早い段階で先手の遠山四段が優勢になったようで、この戦型がまだ熟成されていない研究途上にあることが伺えます。
 
 圧巻だったのは感想戦。序盤の終わりのところから中盤に入ったあたりで、二人の感想戦は本譜の変化の域をはるかに超えて行きます。まるで研究会での検討の様子を見ているかのようで、高度な変化はとても聞いているだけではついていけませんでした。
 
 このあたりの雰囲気をもっとうまく感想戦コメントに取り込めると、観戦してくれる方々にお楽しみいただけるのでは、と思うのですが、私の力量ではまだそこまで至りません。次回はもっとうまく書けるように精進せねば。
 
 続いて1日空けて10日金曜日は順位戦中継。

 A級1局とB級2組が同時にあったため、B2東京の7局は私が一人で担当することに。さすがに7局もあると、棋譜入力と写真撮影に追われて、1局1局の内容を検討する余裕がないのがつらいところです。
 
 それでも、この日の控室は超が付く豪華メンバーで賑わいました。
 ざっと記憶にある限り名前をあげますと、屋敷九段、三浦八段、鈴木八段、松尾七段、片上六段、宮田六段、長岡五段、瀬川四段、伊藤真吾四段、永瀬四段、中村真梨花女流二段といったメンバー。そして遅れて中村修九段も参戦します。
 
 継ぎ盤も4面ほど同時進行で検討されて、取材も追いつかないほど。一番盛り上がっていたのは鈴木大介八段と片上大輔六段の「だいすけ」コンビのところです。噂には聞いていましたが、鈴木八段がちょっとここでは書けないような面白話を連発。控室中を笑いの渦に巻き込み、検討しているのか漫才を聞いているのかわからないぐらいでした。
 
 その賑わいも23時半頃には徐々に落ち着いて、検討の棋士も少なくなっていきます。代わりに当日対局だったメンバーが対局を終えて控室に集まり出します。谷川戦で敗れてしまった丸山九段は控室に顔を出すのは珍しいそうですが、この日は30分ほど検討の様子を見ていました。
 
 1時近くになると順位戦組が集まり出します。まず窪田六段が来て、関西の対局を確認していました。私相手にもざっと見解を教えてくれます。それから飯塚七段と佐藤秀司七段、さらには堀口一史座七段らがちらりと控室に顔を出します。最後に戸辺六段と飯島七段が顔をだし、2時頃には窪田六段と飯島七段、そして仕事を終えた塾生たちで四方山話に花が咲いていました。
 
 3時近くになって飯島七段に自戦のポイントを解説してもらって、コメントに追加し、この日の作業をほぼ終えました。始発は5時前ぐらいですが、棋譜やコメントの見直しをしていると2時間ぐらいはあっというまで、帰りの電車まで暇を持て余すようなことはありません。
 
 こうして多忙な一週間は幕を閉じましたが、今週も早速月曜日から中継があります。年末も押し迫りましたが、棋士たちのしのぎを削る戦いはまだまだ続いていきます。
 今週はまれにみる将棋の仕事で多忙な一週間。
 
 月〜水は携帯中継3連投。1日はさんで金曜日は順位戦B級2組。中継の事前準備〜中継〜終了後の内容のチェック、を繰り返しているうちに一週間が過ぎ去ってしまった感じです。さすがにバテましたが、三度の飯より将棋が好きな私には夢のような幸せな一週間でもありました。
 
 ということで、記憶の新しいうちに今週の中継を振り返ってみたいと思います。
 
 6日月曜日は、棋王戦挑決トーナメントの本戦決勝▲窪田義行六段−△広瀬章人王位戦。
 
 最近の広瀬王位は対局室で見ると王者の風格が漂い始めている印象です。感想戦も堂々と自信を持って発言し、相手の棋士も広瀬王位の発言には敬意を表します。
 
 10年ほど前に、「対局日誌」などでお馴染みの河口俊彦七段が、「棋士には格があって、それは周りの棋士からの評価で決まる」といった趣旨のことを書かれていました。プロ棋界では、単に「タイトルを取った」というだけでは駄目で、「取って当然」と思われるような将棋を普段から指していなければ、「格」は上がらないようです。
 
 広瀬王位に関しては、王位リーグを戦っているときから、控室の評価が非常に高く、挑戦者に決定したときも驚きよりも「ついに出てきたか」という雰囲気のほうが上回っていたように私は感じました。そしてタイトルを奪取、その後も他を圧倒する内容で勝ち続けている広瀬王位は一流棋士としての「格」が認められ、自然に風格も備わってきているようでした。
 
 窪田六段は個性溢れる方でファンからの人気も高い棋士の一人です。実際の人柄は真面目で思いやりのある方で、われわれ記者にも気さくに話しかけてくれて、ときには中継中の将棋を詳しく解説してくれることもあります。自身の対局が中継されて勝者となったときは、序盤から終盤までみっちり詳細に解説をしてくれますので、棋譜コメントも大変充実した内容になります。
 
 今回は残念ながら敗れてしまいましたが、本当に根が優しい、面倒見のいい方なので、敗れた時でもお願いすれば詳細な解説は間違いなくしてくれます。が、もちろんそれは記者のルールとしてNGです。今期は個性溢れる将棋がついに花開いたようで好調を維持していますから、近いうちに勝局を中継させてもらうこともきっとあると思います。詳細な解説はそのときまで楽しみにとっておくことにします。
 
 さて、次の日の火曜日は王位戦予選から▲村山慈明五段−△中村太地四段戦。
 
 若手のバリバリの研究家同士の一戦は、期待に違わぬ横歩取り最新形に進み、終盤詰むや詰まざるやの大熱戦で大いに盛り上がりました。感想戦も相当に深いところまで行われたため、私は話についていけずいったん中継室に戻ります。
 
 そして感想戦が終わったところを見計らって、帰り際、勝者の村山五段に勝利者インタビューを依頼。すると村山五段から「よかったら桂(かつら・控室のこと)で並べながら解説しましょうか?」とのお言葉。もちろん喜んでお願いしました。深夜で誰もいない控室に盤駒を引っ張りだして、後手番を私が持ち初手から並べてもらいました。
 
 大熱戦を制した興奮もあったのでしょう、村山五段はハイテンションで、本譜にはあらわれなかった水面下の変化まで詳しく解説してくれました。特に会心の詰み筋を含む手順のところでは「ここは絶対書いて欲しいんです!」と熱い依頼をされました。それはまるで次の一手として作られたかのような「詰めろ逃れの(難解な)詰めろ」の手順で、相手が詰めろと気がつかずに村山玉に必至をかけていれば、芸術的な詰みで終局していたようです。
 
 中村四段も残り時間僅かの中、その難解な詰めろを読み切ったわけではありませんが、そこは嗅覚を発揮。「この手順は危険」と察知して回避したとのことでした。その素晴らしい手順は棋譜コメントに反映してありますので、中継アプリにてお楽しみください。→日本将棋連盟モバイル
 
 次は水曜日・・・なのですが、思ったより長くなってしまったので今回はここまで。
 機会があれば続きを書きたいと思います。

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