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1986年のライヴDVDが発売されるニュースを聞いてから、やはりその前に発売された本作を最近はよく聴いています。全英チャートでは3位という成績を上げたものの、全米チャートではあまり振るいませんでした。しかも非常にフィル・コリンズ色&コンテンポラリー色が強く、時代を感じさせるアレンジ等もあり、現在ではあまり振り返られることのない作品ではありますが、何度も聞き返すと意外と、いやかなり良いなと思って聴いています。プロデュースはフィル・コリンズ&トム・ダウド。本作からはブラッキーは引退させ、新しいシグネチャー・モデルを使用しています。
しょっぱなから80'Sシンセがバリバリのナンバーで映画「ハスラー2」でも起用されたロビー・ロバートソンとの共作ナンバー『IT'S IN THE WAY THAT YOU USE IT』ですが、ロビー色は感じず、非常にコンテンポラリーなサウンドに仕上がっております。現在ではコンテンポラリーなクラプトンの方が本筋になっているような昨今ですが、この当時にこれを聞くと、クラプトンのイメージがダウンしていたんじゃないかと思うほどの仕上がりです。個人的にはこの80'S的なシンセサウンドが懐かしくて、逆にうれしくなってきてしまいました。
次の曲『RUN』では、本作からの長い付き合いとなるネイザン・イースト、グレッグ・フィリンゲインズ(TOTOに加入しちゃいましたね)、そしてフィル・コリンズで、ブラック・コンテンポラリーといってもいいくらいの都会的なソウル風に仕上がりました。でもフィルのドラムのチューニングが妙に硬いのが気になります。
『TEARING US APART』ではティナ・ターナーがゲストで参加しており、ハードなナンバーになっています。エリックの中間部のスライド・プレイがきらりと光りますね。
『BAD INFLUENCE』はロバート・クレイ作のポップなブルーズ・ナンバーで、クレイの発表したこの曲が気に入り、本作に収録したようです。フィリンゲインズのちょっととぼけたビリー・ジョエル風のシンセが面白いですね。
『WALK AWAY』はタルサ・トップスで一緒だったマーシー・レヴィーが作曲に関わっています。これもコンテンポラリー色強いアレンジがなされており、打ち込みが好き嫌いを分けてしまうかもしれません。
でも曲としては地味ながら良いナンバーだと思います。エリックのギターも弾きまくることなく、非常につぼを押さえた、控えめなプレイをしています。
続く『HUNG UP ON YOUR LOVE』はラモント・ドジャー作のナンバーです。先の『RUN』もそうですし、後に発表するラモント・ドジャーのソロ作にも参加していることからも、ラモントに対して非常に評価していたようです。シンセが分厚いミディアム調の曲で、ホーンも入っています。これもコンテンポラリー・ソウルといった感じで、時々入るエリックのオブリガードがアクセントになっています。
『TAKE A CHANCE』はホーンの入ったファンキーな曲ですが、これは個人的にお気に入りの曲です。サビ前からのメロディが非常に秀逸で、ネイザン&グレッグが本作で関わったのが一番意味があったのが本作だったんじゃないかなと思います。でもライヴじゃあほとんどやらなかったんだよな。もったいない。
『HOLD ON』はフィルとの共作で、フィルのダイナミックなドラムから始まるのですが、メロディアスなナンバーです。エリックのバッキングもなかなか良いですね。エコーがかかったエリックのヴォーカルも爽やかな感じです。でも非常に80年代的な曲ですね。
『MISS YOU』はエリックのギターが堪能できるブルージーなナンバーです。フィルのタイトなドラムとホーンもしっかりいい味出しています。この曲はエリック・ファンも納得のプレイが聞けます。
そして名曲『HOLY MOTHER』ですが、これは自殺してしまったTHE BANDのリチャード・マニュエルに捧げられています。本作はスティーヴン・ビショップとの共作で、AOR色の強い作品を当時作っていたスティーヴンが関わっていることからも、非常にメロディアスでコンテンポラリーなナンバーに仕上がっています。バック・コーラスも重厚で、ゴスペルを意識しているのでしょう。エリックもスティーヴンのソロ作にゲスト参加しています。
『BEHIND THE MUSK』は前にも書きましたが、マイケル・ジャクソンが本作をカヴァーしようとしていたようで、結局はカヴァーしなかったのですが、気に入ったグレッグが自身のソロで本作をカヴァーしています。それを聞いたエリックも気に入って本作に収録したのでしょう。オリジナルは歌詞はありませんでした。コーラスとシンセは原曲と一緒ですが、やはりエリックがオブリガードをはさんで、エリック・ヴァージョンに仕上げています。ギターレスのバンドだったYMO(といってもツアーではギターがいましたが)なので、ギターとの相性がありますが、まあ何とか曲にあったプレイをしていますね。
『GRAND ILLUSION』はミディアム、スロー・ナンバーで、地味な曲ですね。フィルのドラムが淡々としていながらも、力強く本作の屋台骨を支えています。エリックのソロもいいトーンで鳴らしています。
以上全曲解説でした。
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