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秋の夜長は落ちついた音楽でもと思い、本作を紹介します。ルパートといえば翌79年に発売した「PARTNERS IN CRIME」収録の『ESCAPE(THE PINACOLADA SONG)』が全米1位の大ヒットを飛ばしたことで一躍有名になったソングライターですが、本作はその直前に出された通算4作目の作品になります。 正式な音楽教育を受け、最初はソングライターとして雇われたルパート。バニー・マニロウやディオンヌ・ワーウィックらが彼の曲を取り上げ、徐々に頭角を現していきます。75年に念願のソロ・デヴュー。しかしそれほど話題になることはありませんでした。その後もバーブラ・ストライザンドと関わったり、イギリスでのプロデュース・ワークなど様々な経験を重ねていきます。もともと正式な音楽教育も受け、スタジオ・ワークも学んでいた彼としては、裏方としても十分通用していくだけの才能がありましたが、やはりソロ・アーティストとしての成功を夢見ていました。 本当の成功は本作の後にやってきますが、本作からのシングル『LET'S GET CRAZY TONIGHT(今夜はメロウに)』が全米72位と本当に小さいながらもヒットを出すことにようやく成功しました。やはり最初に聞くべきは次作ということになるでしょうが、本作も自身を持ってお勧めします。 本作のプロデュースも当然セルフ・プロデュース。流麗なストリング・ワークも手伝い、非常にドリーミーでポップな作品に仕上がっています。1曲、1曲の完成度も高く、時代的にたくさんの競合相手がいます。なので次作での突然の成功というのは何が起こったのかというのはよく判りませんが、彼の作品は一貫しています。 曲によってはジャクソン・ブラウンをほうふつとさせるなど、非常にメロディが決め細やかで、さらに先に述べたようにバッキングのドラマティックさが彼の楽曲を際立たせています。若干そのアレンジが過剰かなという曲もありますが、本来あるべき骨格のメロディも優れており、それをアレンジにより効果的に聞かせるツボが判っているのでしょう。歌詞はブラウンのような真摯な歌詞とは違い、ある種映画的な、情景を思い浮かべさせるようなものが多いですね。時々哲学的な歌詞が出てくるのものあり、知的なイメージがあります。 この作品を聞いているとヒットした『ESCAPE(THE PINACOLADA SONG)』のような陽気なイメージというよりは、ジャケットのような幻想的な部分も見受けられます。ジャケットのルパートも渋いファッションで決めており、本作のサウンドとマッチしていますね。 ルパートはAORシーンで語られることも少なくないですが、やはり本質的にはソングライターといった肩書きがぴったりきます。
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