レヴュー(ロック:#s)

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 いかにもイギリスらしいひねくれた感性でポップ・ミュージックを作り上げた音楽集団のメジャー・レーベル第1弾、3作目としてリリースされたアルバムです。

 架空のサウンドトラックというコンセプトを用いて製作された本作は、ひねくれ者の彼ららしくいかにも人を食ったタイトルを考え出しました。いまだレコード屋をのぞくと、サウンドトラックに分類されているという笑えるというか、笑えない状況になっていますが、そんな状況を彼らが見たら、喜ぶでしょうね。

 もともとスチュワート&グールドマン組とゴドレイ&クレーム組に作曲チームが別れており、のちに分裂するのは必然的だったのでしょう。スチュワート&グールドマン組は元々ソングライティングを職業としていたこともあり、楽曲重視の考えであったのに対し、ゴドレイ&クレーム組は様々な実験的アイデアを楽曲で実践することを得意としており、本作辺りまではそれがうまい具合に機能していました。

 本作ではなんといっても永遠のエヴァー・グリーン・ナンバー『I'M NOT IN LOVE』が有名です。全英1位、全米2位という実績は快挙であり、元々彼らが考えていたこと以上のことが彼らの身に降りかかったと言う感じでしょうか。

 この曲の背後に分厚いコーラスが重ねられていますが、これはゴドレイ&クレームが考えたギズモというアタッチメントを利用したもので、コーラスやギター・トーンを永遠に持続させるものであり、今で言うループに近い構造をもっています。そして『I'M〜』の成功により、ギズモの可能性に自信を持ってしまい、これが原因で分裂してしまうのは皮肉という他ありません。

 全体としてはサウンドトラックというコンセプトを持つ通り、実際のサントラのような流れでアルバムが構成されています。

 10CCが彼ららしかったのは、個人的には本作までと考えています(次作「HOW DEAR YOU!」までは4人ですが)。この後の彼らの分裂と活動を考えるにつけ、非常に残念に思えます。やはりスチュワート&グールドマン組の作曲能力と、ゴドレイ&クレームのアレンジメント能力が合わさっていたからこそ素晴らしい作品を作れたのであり、分裂後の両者の作品を聞くと、“帯に短したすきに長し”ということばを思い出してしまいます。

 

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