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小学校の時、担任の女先生が話していた、旅先での体験談です。
その宿に泊まったのは、オフシーズンだったので、宿泊客は先生達だけでした。
母屋から別館に渡る廊下からは、小ぢんまりとした中庭が望め、そこには古い井戸があったそうです。
夜中、先生は赤子の泣き声で目を覚ましました。友達も、訝しげに起きてきます。
「何かしら…。」「他にお客さんは居ないのに…。」気味悪く顔を見合わせていると…。
何処から入ってきたのか、赤ん坊が何人も何人も、床を這って近付いて来ます。
二人は悲鳴を上げ、一つの布団に潜り込みました。声も出ず震えていると、赤ん坊が掛け布団の上まで
這いずり上がるのが判ります。その数は次第に増え、終いには耐え切れないほどの重さになりました。
成す術なくじっと耐えている内、眠ってしまったのか、気を失ったのか、気付くと朝になっていました。
赤ん坊達の姿はもう在りませんでした。
早々に宿を発ち、駅まで歩く中、村人のおばあさんが居ました。「あの宿、何か曰くがありませんか?」
と聞くと、おばあさんは「昔、あそこが宿になる前、気がおかしくなった村人が、赤子を攫っては、
中庭の井戸に捨てていた…。」と言う様な話をしてくたそうです。
この先生は良く授業をほったらかしては、怖い話をしてくれる、とてもいい先生でした。当時は若かったけど、もう定年する頃ではないかなあ。
因みにタイトルは「旅の宿」に引っ掛けました。
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