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今は還暦をとうに過ぎた、Sさん夫妻のお宅にある、二つの小さな石が、このお話の発端です。 Sさんは、私の旧いお客さんで、私の駆け出し時代に車を買ってもらって以来のお付き合いです。 昔、Sさん宅にお邪魔した際、「TO君、コレ、見てよ」と差し出されたのが二つの小さな石でした。 ヒスイの様な、淡い緑色の小石が二つ。 揃って、小指の先程の小石でした。 何やら地質学的に価値のあるものかいな…と思いつつ、綺麗な石ですね〜とか何とか相槌を打ちながら お聞きしたお話です。 Sさんが、奥様と出会ったのは、高校時代だそうです。 転校生だったSさんは、たまたま入ったクラスにいた、一人の女の子に心を奪われたと言います。 特段、美人だった訳でもない、と言うのはSさんの謙遜でしょう。 Sさんの奥様は、十人並み以上の美人ですから。 兎も角、Sさんと「たまたま入ったクラスにいた、一人の女の子」は、色々ありながらも、出合から10 年程の後、教会の鐘を鳴らしました。 新婚の内は、何がどうあれ何とでもなる物ですが、それが3年、5年と時を経る毎にわだかまりになり、 澱が溜まって、何時しか「夫婦」の会話は、業務連絡となる。 気がつけば、Sさんの所も、掃いて捨てる程ある、冷え切った夫婦―となっていた様です。 まあ、それはそれでそんなもんだろう。 −と、そんな感じで日々を過ごしていたSさんですが、ある日、自室の片づけをしていた折に、 机の引き出しの片隅に転がる、淡い緑色の小石を見つけました。 あ、これ、まだあったんだ…Sさんは、微かに自分の感傷に触れるその小石を、ひょいとつまんで 光に透かしました。 随分以前。子供の頃から、いつの間にかその石は、Sさんの手元にありました。 社会人になり、何度か転居をしても、いつもその石は、ある。 大方、いつも何となく、荷物に紛れてついてきたんだろう。 そんな事を思いながら、Sさんは何の気なく、淡緑の小石を、引き出しの中に転げ入れました。 その数日後、奥さんが財布を買い換えたらしく、居間のテーブルでカードや何やらの入れ替えをしている 所に、遅くに帰宅したSさんが出くわしました。 「お帰り…」と、気の無い言葉を吐きつつも、財布の整理に夢中の奥さん。 宵っ張りの子供達は、珍しく、寝てしまっています。 風呂を浴びようと、そそくさと居間を出かかったSさんの目が、ふと奥様の手元にとまりました。 そこには、キャッシュカードや各種ポイントカードに紛れて、見慣れた淡緑色の小石が無造作に転がって いました。 ―よぉ、その石…? ―ああ、これ?何か、昔からあるのよ。いつも手元に。今はお守り代わり。 ―俺も、同じ様な石、あるよ。見せた事、無かったっけ? ―え?知らない。 そう?ちょっと、待ってろ… と言い、自室への階段を昇りながら、家計と子供の話以外の会話をした のは、いつ振りだっけ?と、Sさんは思っていました。 机の引き出しから、小石を拾って、奥さんの石と並べて置いてみました。 ―ほら、これ。 ―???同じね…?何でパパが持ってるの? Sさんの脳裏には、小さな頃か、どこかで見た光景がフラッシュ・バックの如くに甦って来ました。 奈良時代か、平安時代か知らないが、えらく昔の時代に生きている自分。 その時、惚れあっていた娘と、持ち合った二つの石…。 ―子供の頃から、時々見る夢で、この石が出てくるのよ。 ―それ、昔の時代の場面じゃない? ―え、そう。何で?何で判るの? ―好きな男と、一つずつ、同じ石を持つ…それが、この石だろ? ― … ―俺も、同じ記憶があるんだよ…。 え…!? と、絶句した奥さんだったそうです。 それから、二つの石に纏わる二人の記憶を互いに辿っていくと、驚くほどに一致し、調べていくと、それ はどうやら平安期の記憶であるのではないかと、そう思われました。 1200年位前に、二人は、既に出会って、恋していた。 そう言う事らしい。 ―と、言う事で、Sさん夫妻は、今は人も羨むおしどり夫婦です。 夫婦は、本当に色々ですが、こんな夫婦もいるんだなあ、と、ちょっと思った次第です。
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あ・・・・・・・・・・・・・・
私にもこんな出来事がないかしら。。
いいなぁ〜、
私の赤い糸は、もう赤くなく薄茶色に変化してるのじゃないかと。
私って、、○乳なのに。
関係ないのね(T_T)
あっ、、中年のオバハンの愚痴になってしまった!!
冷酒でも飲んで寝よっ!!
あっ、、女を捨てたオッサンの行動を・・・
2008/9/30(火) 午後 9:49 [ sut*_*ora ]
赤い糸ってほんとにあるんですね〜!!素敵なご夫婦ですね〜!!by旦那
2008/10/1(水) 午前 0:10
本当に神秘的で美しく素晴らしいお話ですね!
不思議系の実話が3度の飯よりも好きなのですが、
「千年の恋」はこれまで出会った中で
個人的に一番好きなお話になるかも知れません。
2008/10/1(水) 午前 4:00 [ けんちゃん ]
sut*_*oraさん、大丈夫です!!赤い糸は変色しません。
ただ、相手とめぐり合うまでに千年ほどかかる場合があるらしいので、今しばらくお待ちを…。
2008/10/1(水) 午前 10:33
旦那さん、千年前から繋がっていると言う事は、赤い糸って余程丈夫なんですね〜。カーボンケプラーか何かで出来ているのでしょうか?
2008/10/1(水) 午前 10:35
けんちゃんさん、お気に入り頂けてとても嬉しいです!!
それにしても、人の縁って、不思議なものですね…。
2008/10/1(水) 午前 10:37
いいですねぇ・・・ロマンチックなお話です。
本当の赤い糸なのですねぇ。
だから、宇宙狸も繁殖したのか・・。
2008/10/1(水) 午前 11:23
ゴロウさん、ご覧の通りの子沢山です。これから先、養育費や教育費で大変でしょう。
がんばれ宇宙タヌキ!!
2008/10/1(水) 午後 0:58
いい話ですねぇ。
こんなことは自分にはないと暗示をかけつつ・・・
2008/10/1(水) 午後 2:31
いやいや、ぽっぽやさん、とりあえず机の中を探してみて下さい。
綺麗な小石が入っているかも…。
2008/10/1(水) 午後 2:43
これはいい話ですね〜^^
たまにはこの手の怖くない系もお願いしますw
2008/10/1(水) 午後 3:16 [ - ]
(*'ω'*)・・・ポッ そのお話、信じます!私の場合は白い石ですが・・・。
(相方が持ってるはずだ!私が持ってないだけだ!)
意味不明でごめんなさい(笑)
2008/10/1(水) 午後 5:43
生まれ変わってもお互いに恋し合おうと約束したのですかねぇ。
それにしてもロマンチックでいい話です^^
2008/10/11(土) 午後 0:00 [ 琴詠 ]
琴詠さん、「♪き〜っと〜、何年た〜あ〜っても〜」と言う歌が流行りましたが、千年経っても続くのは珍しいのではないかと。
2008/10/11(土) 午後 5:12