子供の頃の怪

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真夜中のトイレ

ベタなタイトルで恐縮ですが。こんなお話を聞きました。


「私の実家は、某有名な温泉地にあります。といっても、親族で温泉旅館をやっている者は無く、

大体が、農家や林業を営んでおりますが。昔は養蚕もやっていたそうです。

親族の慣わしで、盆や正月、法事の時等には、本家に一族が集り、一泊すると言う物がありました。


私が、まだ小学生の1〜2年生位の時の思い出なのですが、やはり、法事か何かで、本家に泊まった事が

ありました。夏の盛りでした。


何せ、親族の数が多く、子供だけでも30人は下らなかった。

それだけの子供が集ると、昼から夜から大騒ぎをします。

よって、夜は子供達は、離れの大広間に布団を敷き詰め、雑魚寝させられておりました。


本家は所謂、豪農で、離れと言っても小さな体育館ほどの大きさがあり、一階は広い土間の納屋になって

います。2階には幾つも座敷部屋があり、その中に、40畳程もある広間があるのでした。

何でも、一階は昔は蚕から絹糸を紡ぐ作業場で、大勢の女工さんを雇っていたとの事です。

その女工さん達の中には家が無い人も多く、2階はそんな人達の住居だったそうです。


さて、その夜、遅くまで騒いでいた私達も、やがて一人、二人と眠りに落ちていきました。

何時頃でしょうか、私は、尿意に目を覚ましました。真夜中です。


トイレに行きたいが、そこは子供の事、怖くて一人では行けません。

何しろ、トイレは1階にあり、そこに行くには2階の長い廊下を抜け、下の真っ暗な土間まで降りて行か

なくてはなりません。


(誰か、起きないかな…、誰もトイレに行きたくならないのかな…)

私は、布団の中で聞き耳を立てますが、すやすやとした寝息や、ずずずと言う鼾しか聞こえてきません。

我慢すればする程に尿意は高まります。

この世の中で、起きているのは自分だけじゃないか…と言う、変な孤独感も持ち上がり、私は泣きそうに

なりました。


その時、スーッと誰かが枕元を過ぎていく気配を感じました。

布団を跳ね除けると、男の子が一人、そーっと布団の間を歩いていくのが見えました。

暗くて、誰だか判りませんが、私は急に心強い仲間が出来た気分になりました。

『トイレ、行くの?』私が小声で声を掛けると、その子は『うん』と小声で応えます。

『一緒に行こ!』私もそそくさと布団を抜け、その子の後について行きました。


さっきまでの恐怖感も何処へやら。べそを掻きそうになっていた自分が可笑しくなりました。

その子は、怖がる様子も無く、落ち着き払っていたので、私も余計に安心したのだと思います。


廊下の電気も消されているので、窓から入る月明かりが頼りです。

ギシ ギシ ギシ と、廊下がびっくりする程大きく軋みます。

私は、月明かりに照らされるその子の背中に向かって話しかけます。

『怖いねえ…』あんまり、その子が淡々と廊下を歩いていくので、わざとそんな事を聞いてみました。

『うん』   

『トイレ、2階にあったらいいのにねえ』   

『うん』


何を言っても、その子は うん と言う生返事しか返しません。

(この子、どこの子だろう?)私は頭の片隅でぼんやりと思っておりましたが、何せ従兄弟の数が多く

全員の顔と名前も一致しない程だったので、余り気にはなりませんでした。背格好は、私より1つか

2つ位、年上の様でした。


階段を下りると、真っ暗な土間の隅に、そこだけぼんやりと裸電球の灯った、トイレに着きました。

トイレの前で、その子は立ち止まったままです。

『入らないの?』   

『うん』   

『じゃあ、先に入っていい?』   

『うん』

既に限界だった私は、トイレに飛び込みました。

外にあの子が居てくれるので、怖くはありませんでした。


トイレを出ると、その子に『いいよ。ここで待ってるからね』と言いました。

その時初めて、裸電球に照らされたその子の顔を見ました。

目の大きな、おかっぱの様な髪型をしています。

『うん』 その子はすっとトイレに入りました。


その子の用足しを待っている間、私は(今の子、さっきまでいたかなあ?初めて見る子だなあ…。)

と思っておりました。

(―あ、もしかして、皆が寝てしまった後に着いた家の子かもしれない。)

昼間、大人達が、東京に出ている一家が夜遅くに来る、と言っていた事を思い出したのです。






―それにしても、長い用足しです。

私はだんだん心細くなってきました。真っ暗な土間は、シーンと静まり返っています。

物陰から、誰かが見ている様な…。不意に顔や手が飛び出てくるんじゃないか…。

心細さは、徐々に恐怖へと変わっていきます。


あの子は、一向に出てくる気配がありません。

もしかして、中で倒れてるかも…心配になった私は、『ねえ、大丈夫?』と声を掛けました。

返事はありません。

トントントンとドアを叩いても、反応が無い…。


10秒ほど戸惑った末、私は思い切ってトイレのドアに手をかけました。

『開けるよ…』と言いながら、きいいい とドアを開けると、トイレの中には…




淡く光る、オレンジ色の人魂が浮かんでいました

人魂は、ふわふわと漂いながら、私の左脇を通り抜けていきました




『〇×△*+!!』後から聞くと、私は奇声を発しながら気絶して倒れたらしく、

気が付くと、トイレの前で、従兄弟達に抱き起こされておりました。

私は、皆に介抱されながら、2階まで連れて行かれました。



一番年長の従兄が、『お前、どこ行ってたんじゃ!?皆で探したんじゃけど、どこにもおらんから、

母屋のオヤジを起こしに行こうかと相談しよった所よ。そしたら…』私の悲鳴が聞こえたので、慌てて駆

け下りて来た、と言う事でした。


私が事の顛末を話しても、皆口を揃えて、真っ先にトイレを見に行ったが、誰も居なかったと言います。


そもそも、何故私を皆が探したかと言うと…。

ある従兄弟が、ふと目を覚まし、オレンジ色の人魂の後に付いて広間を出て行く私を見たと。

驚いて、皆を起こして…と、そう言う話でした。


結局、あの夜、何が起こったのかは良く判りませんが…そう言えば、本家のお婆さんが、こんな事を

言っていました。


『お盆じゃけ、変なモンも集ってくるから、皆尻の穴に力入れて、気を張っとけよ』


―アレが、お婆さんの言う、変なモノ、だったんですかねえ…。」

閉じる コメント(21)

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ZIPPOさん、この話をしてくれた方も、何となく悪いモノでは無かった印象だった様です。
「うん」としか言わなかったのは、たぶん口下手だったのでしょう。

2008/11/12(水) 午後 0:17 TO7002

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こんにちわ。
尻の穴に力を入れたら
別の方がしたくなって、
余計怖いことに・・・
(私を含め食事中の方、ベタな上不快ですいません。)

2008/11/12(水) 午後 0:27 janglepocketto

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じゃんぽけさん、トイレの話だけに尻の…
(じゃんぽけさんを含め、食事中の方、ベッタベタですみません。)

それにしても、お食事中は、もっと爽やかなブログをお読みになった方が良いのではと…。老婆心ながら。

2008/11/12(水) 午後 0:40 TO7002

途中までこわい話だったのに、おばあさんの「皆尻の穴に力入れて」に吹き出した〜。
ゴロウもお盆になったら、尻の穴に力を入れるようにします(爆)

それにしても、出てきた子は・・・子供が集まっていたから
つられてきたのかねぇ。
ちょっと切ないかも。

2008/11/12(水) 午後 0:44 ゴロウ

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ゴロウさん、私もこれから「取材」の時は尻の穴に思いっきり力を入れて行きます!!
今までは、のんべんだらりで、良く無事だったものです…。

それは兎も角、この子、何はともあれトイレまで連れてってくれたのだから、良い幽霊では?おかげでおねしょをせずに済んだ様だし…。
(従兄弟の前でおねしょしたら、一生言われそう…。)

2008/11/12(水) 午後 1:09 TO7002

ご無沙汰しています。

なんとなんいい話?

田舎に行った、都会の男の子の、小さな冒険?

何も無くてよかったですね。

2008/11/12(水) 午後 1:35 [ 気まぐれ ]

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すっかり座敷わらしちゃんかと思って読んでいましたが、違ったのかな?
最初は親切心で恐がるボクと一緒にトイレまで行ってくれたのに、消えちゃったら逆効果ですよねぇ♪
私もオレンジ色の光を二個・・ひとだまといってもまん丸でしたけど(;^ω^)見たことがあります。

2008/11/12(水) 午後 2:04 minami♪

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KANATAさん、お久しぶりです!!
確かに、スタンド・バイ・ミーのBGMが流れてきそうな気もします。

2008/11/12(水) 午後 2:37 TO7002

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ミーさん、随分栄えている家の様ですから、わらしちゃんだったのかもしれませんね〜。
座敷わらしも、元は亡くなった子供の幽霊だと言うし。

ところで、ミーさんが人魂を見たお話、詳しく聞かせて下さいまし!!

2008/11/12(水) 午後 2:39 TO7002

ウッ・・・

トイレ行ってこよ・・・(食事中の方、すいません)

2008/11/12(水) 午後 3:52 ef_end_63

そうか。”ボク”をトイレまで、連れて行ってくれたのね。だったら、ついでに、布団のところまで、連れ戻ってくれてもよさそうなのに。どうして、トイレのなかで、姿、消しちゃうの? この時代、地方のことだし、水洗トイレじゃななかったんだろうな。

2008/11/12(水) 午後 7:40 [ gol*enl*ly3* ]

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ひょっとしてお婆さんは幽霊さんがオカマさんと知ってたのでは・・・・(大変失礼しました)by旦那

2008/11/12(水) 午後 8:53 おかっち

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トイレまで連れて行ってくれて、悪さはしてないから良い霊でしょうね〜!(^^)!
ただ 最後までちゃんと連れて帰ってくれたら心霊体験とは思わないでしょうけど・・
私も初めての体験は便所からみでした^_^; 10歳の夏休み・・田舎の家で
夜中眠れず起きていたら ぼんぼん時計がぼ〜ん・・と3回なったら
便所の(離れの)方から草履の足音が縁側をずっと歩いて来て・・・
窓際で寝ている私の横まで歩いてくる・・・下の家の人かな?って思ったけど
下の家 500m程離れてるし・・・

2008/11/13(木) 午前 1:02 [ こー(*^^)v ]

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続き・・・私の横まで来ると・・足音は消え・・・また・・
トイレの方から足音が・・・また私の横まで来るとトイレから歩いて来る・・
何度も何度も繰り返すので、隣に寝ていたバーちゃん起こして
誰かずっと外を歩いてる!って こんな時間に誰も来るわけなかろう!
と外を見てもらい安心して、バーちゃんが寝たとたん!また便所から
歩いて来る!怖くなって掛け布団頭からかぶって気が付いたら朝でした^_^;
それから見るようになりましたね〜^_^;

2008/11/13(木) 午前 1:08 [ こー(*^^)v ]

夜中のトイレは怖いのに昔のトイレだなんて益々怖い
泊まりに行ったときに限って行きたくなるんだよね
人魂一度だけ見たことあります
子供の頃の夏祭りの帰り道でした

2009/3/15(日) 午前 6:43 [ - ]

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ええ〜っ!!MoMoさん、どんな感じでした!?
宜しければ、詳しく教えて頂ければ嬉しいです!!

2009/3/15(日) 午前 10:42 TO7002

確か…小学3年か4年の頃夏祭りが神社で行われ帰り道…
親戚の人と数人で帰宅道
なぜか?靄がかかって前が見えない
昔の外灯なんてそんなに明るくないし家まで周りは田んぼだらけです
自分の家の墓が山側にあるんだけど その間にある田んぼの上にそんなに明るくない人魂が浮かんでいて他の人に教えようとしたらきえちゃいました
子供だったから怖かったです

2009/3/15(日) 午後 5:40 [ - ]

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MoMoさん、有難うございます!!
早速「コメ怖」に載せさせて頂きます!!

2009/3/15(日) 午後 11:51 TO7002

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すいませんファザコンでw

人魂…なのかな?わてくしも見たことありますよ〜。
忘れもしない小学校5年生の時。
父に連れられて、お犬様の散歩がてら近所の本屋まで行きました。
日付も忘れもしない11月24日でした(当時、毎日連絡帳というのに日記を書かされていたので覚えてます)。

ふと空を見上げると、クリーム色のまんまるい火の玉が、オレンジ色の尾を引いて
南から北へと飛んでゆきました。
結構上空のようなカンジだったので(4階建ての文房具屋のビルの上を飛んでったので)
火の玉ではなくてUFOだったかもしれませんが(^^;

すぐ父に言って、父も一緒に見たので、間違いないですよ〜。

2009/5/29(金) 午前 11:10 ねこじょて

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今、トイレに誰も入ってないのに鍵が・・・

ただの故障だと思うけど怖くては入れません。><;;;

2010/1/30(土) 午前 0:27 [ kim**ure_g*m*_neko ]


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