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「へぇぇ!!じゃ、出たんですかね〜???」 「まあ、それは、その辺のおっさんかもしれないけどさ。その後が面白いんだよ」 「ふんふん」 「で、やっとこ臭いも抜けたって、そろそろ売りに出そうかと言っても、『瑕疵物件』だからさあ。相当 下がる訳だよ」 「そりゃ、そうでしょうね。1年も死体が転がってた部屋なんか、誰も住みたがらないでしょ」 「だろ?しかし、ババァにはそれが判らねぇんだよ。幾らで買ったのに、そんな金額に下がる訳がないとか言ってさ。いや、これこれこうだからって説明しても、理屈が通らない。人一人死んだ位どって事ない、いちいちそんな事を気にしてたら、世の中回っていかないとか言っちゃってさ〜。回ってないのはお前の頭だってんだよ」 「難儀ですね〜。さすが、Uさんの伯母さんですね」 「難儀なんだよ。―て、今のどう言う意味だよ。え、褒めてる?どう褒めたらそんな風になるんだよ? ―まあ、で、仕方ねえから、薄めようって事で、丁度遠縁の若いのが東京に住むとこ探してるって言うんで、ソイツを住まわそうって事になってさ」 「へえ。その人、部屋の曰くを知ってたんです?」 「知らないよ。言ってないもの。言ったら住まないだろ」 「酷い話ですね〜」 「酷かないよ。本人は大喜びだよ。結構なマンションだし、おまけに家賃は格安だしね」 「金取ったんですか!?そいつは更に酷い話だ」 「酷くないって。むしろ、良心的だろ?で、早速、去年の秋口くらいから住み始めたんだけどさ」 「だけど…?もしかして、出たんですか、やっぱり」 「出たんだよ。夜中に台所でガサゴソするんで、何だと思って見に行ったら、見た事ない爺さんがうろついてたんだって。泥棒かと思って大声出したら、消えちゃったって。そんなのを何度か見たって、ビビっちゃってさ。ソイツは旦那と面識は無かったんだけど、面相を聞いたら、ああ、やっぱりと思ったね。 死んだ旦那なんだよ、ソレ」 「ははぁ。リアルな話ですね〜」 「リアルも何も、ホントだもんな。ソイツ、それで一ヶ月もしない内に出て行くって言い出してさ。可哀想に」 「可哀想にって、全部Uさんが仕組んだんじゃないですか。この小悪魔」 「小悪魔って何だよ。何で小が付くんだよ。人を売れっ子キャバ嬢みたいに言うなよ。―まあ、悪いと思って、代わりにいい部屋斡旋してやったんだけどさ。で、次に人入れてもまたすぐに出て行かれるとヘンな噂が立って困るし、空き部屋のままでも良くないしで、困っちゃってさ。そしたら、ババァが自分が住むって言い出しやがって」 「何だ。最初っからそうすれば良かったのに。でも、怖くないんですかね、そのくそババァ」 「怖がるタマかね。って、人からくそババァって言われると意外に腹立つな。一応身内だし。しかし、だんだん口が悪くなってくるね」 「有難うございます」 「言っておくけど、褒めてないからね。―まあ、ババァは、私の所には出ないよって。出ても、あんなの幽霊になっても怖くないって。箒ではたいてやるなんて言っちゃってさ。まあ、確かにあんなくそババァの所になんか、頼まれたって出ないだろうがね」 「はあ。さすがにUさんの伯母さんですね」 「また言いやがった」 「まあまあ。で、出たんです?その後」 「出ない出ない。出ないよ。出る訳ないって言っただろ。でもさ、この間笑っちゃってさ〜」 「鏡でも見たんですか?」 「何で俺が鏡見て笑うんだよ!!そんな面白顔じゃねえだろ」 「いや、十分面白い…」 「うるさいよ。俺はひょっとこか!!」 「ひょっとこってツッコミが世代を感じさせますね」 「いいって、そんな事。―でな、ババァ、そこ気に入っちゃってさ。便利がいいし、眺めもいいから、正月位しか自宅に帰らなくて、ずっとそこに住んでたのよ。で、この間さあ、すぐ来てくれって電話があるから行って見たらさ、こんな事もあるんだなあって思ったね…」 「何があったんです???」 「いやさ、和室に敷いた絨毯が暑苦しくなってきたから、剥がしたらしいんだよ。そしたら、剥がした下の畳に…」 「畳に?猫でもいましたか」 「そう、可愛い猫がニャーと鳴いて。―おい。いる訳ねえだろ。どんだけペッタンコなんだよ、その猫は。ピョン吉かよ」 「いや、ピョン吉と言うよりは、むしろニャア吉と言った方が」 「どっちでもいいよ、そんな事。―で、畳なんだけど、新しいのに替えてあったんだけどな。その畳に、人の形が染み出てるんだよ。どうやら、畳の下の根板に、死体の油が染み付いていたらしくてな…。それが、また畳に染み出たらしいんだよ。それがさあ、手足がこうなってこうなってて、要は、死んで倒れたまんまの格好で染みになってるんだよな」 「うえぇぇ。怖いですね、それ。Uさんの性格より怖い」 「今度は性格にまで言及されちゃったよ。―でも、笑っちゃったのはさあ、ババァは知らずに、その染みの真上に布団敷いて寝てたんだって!!毎日毎日さ。さすがにババァも青くなってたよ。」 「はあ。因果ですかね」 「まあ、そう言うところだよね。ババァももうここには住まないとか言い出しちゃって。ケツ捲くって自宅に逃げてっちゃったよ。結局、和室をフローリングにリフォームして、売り出すって話になったよ」 「はあ。でも、染みはそれでいいとして、幽霊の方はまた出るんじゃないですか?」 「うーん、いやぁ、もう出ないんじゃない?あのくそババァに一泡噴かせたんだから、それで成仏したんじゃないかなぁ」 「幽霊だけに、泡と消える訳ですね」 「上手いねどうも」
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住まいの怪
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上手い、座布団3枚。
本当なら、陰惨な話になるところ、要所〜要所、いいツッコミがあって、軽い話に仕上がっています。
不謹慎かもしれませんが。
・・・・お後がよろしいようで。
デデン・デン・デンと寄席を聞いているようでした。
2009/6/2(火) 午後 9:12 [ 気まぐれ ]
じゃぁボクは座布団5枚で・・・by旦那
2009/6/2(火) 午後 10:10
山田く〜ん TOさんの座布団全部持って行きなぁ〜
話が落語家より面白くちゃ〜商売やってられないぜぇ〜
世の中・・・色んな人が居ますね・・・・^_^;
私には真似出来ません・・・・放火されそうだし・・・・
躓いてこける程の・・・・札束・・・ありそうですね・・・・・
羨ましい・・・・・
2009/6/2(火) 午後 11:21 [ こー(*^^)v ]
KANATAさん、良く考えてみれば、「孤独死した老人の幽霊が出た」と、たった13文字で済んでしまう話が何でこんなに長くなってしまうのでしょうか。
何だか、途中でノッてきちゃった事は否定致しません。
2009/6/3(水) 午前 0:58
旦那さん、文中に「旦那」と言う言葉が何度も出てきたので、恐縮しておりました…。
あ、座布団5枚、有難うございます!!丁度座布団を買い換えようとしていた所なんで、助かります。
2009/6/3(水) 午前 1:01
ありゃ、せっかく貰った座布団が持ってかれちゃったよ。
いやいや、こーさん、Uさんは札束も持ってますが、金(キンの方です)は三菱マテリアルのを徳川埋蔵金レベルで保有している様です。
2009/6/3(水) 午前 1:06
怖い話なのに笑っちゃいました
2009/6/3(水) 午前 5:38 [ - ]
あかりさん、漫才風怪談と言うジャンルを開拓しようかと。開拓しても誰も住まないと思いますが。
2009/6/3(水) 午前 10:12
よっ。日本一
「鏡は怖いぞ」
吹く泡と消える泡をかけるなんざー、にくいですぜ。
で、結局お坊さんを呼んで供養してくれるんじゃないんですね。今日もおじさんの体油がしもった高級マンションを、買おうとしてるのんきなお客さんがいるんですねぇ。フローリングには体油染み出て来ないのかなぁ?
ところで、いか車は今頃どこを走ってるんでしょうか。やっぱロシア辺り?
2009/6/3(水) 午後 0:42 [ クリリン ]
クリリンさん、実は、供養なり御祓いなりすれば?とも言ったのですが、これ以上金をかけられないのでやらないそうです。
いか車、何処を走っているんですかね〜?相変わらず臭いのかな。
2009/6/3(水) 午後 3:19
さすがに今回は鳥肌も立てずに読んじゃいました(笑)
軽妙なやりとりが面白すぎます。ぽち♪
2009/6/3(水) 午後 6:27
ミーさん、何となくウケている様なので、シリーズ化してみようかな…。コンビ名つけて。
2009/6/3(水) 午後 11:46
うわはははは(^O^) チャカチャンリンチャンリン♪
って、ワタクシもお囃子が聴こえてまいりましたわw
羽織はどこらへんで脱ぐのがよろしいのでしょ?
2009/6/4(木) 午前 10:47
ねこじょてさん、23行目の半ば位ですね。
2009/6/4(木) 午前 11:10
倒れた時の型が付いてたんですか!?
ひょえ〜(^^;
よく刑事ドラマである被害者の型(白い線のヤツ)みたい・・・
2009/6/5(金) 午後 10:13
りくんちゅさん、ありますね〜。アレ。
以前、通りがかりの路地にアレが描いてありました。
一瞬ギクッとしましたが、たぶん子供の落書きでしょう。
2009/6/6(土) 午前 11:34