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鎌倉のお客様宅へお伺いした時。 お約束の時間よりも、少々早く着いてしまいました。 鎌倉の山あいにある、旧い住宅地です。 梅雨が明けたと云われて久しいのに、相変わらずの梅雨空から、雨が滴り落ちています。 気温はそう高くない筈ですが、濡れ雑巾の様な空気がじっとりと身体に纏わりつき、蒸します。 邪魔にならない場所に車を停め、ふと見ると、由緒ありげな山門が目に入りました。 時間潰しに、と言う気も無かったのです。しかし、他にする事もないので、そのお寺に何となく寄ってみ ました。 山門をくぐりながら、この門、相当古いなぁと思いました。恐らく鎌倉期のものでしょう。 こんな物がさりげなく佇んでいるのが鎌倉の魅力です。 そう広くない境内には、かわいらしい山水が配され、落ち着いた佇まいです。 ぼそぼそと降る雨が庭をしっとりと濡らしています。 本堂は、ごく近年の再築らしく、目新しく感じられます。扉は閉じられ、ご本尊の姿は見えません。 本堂の右手には、寺務所兼住宅がありますが、境内に人の気配はありません。 雨は音もなく降り続いています。 本堂の階段に「履物を脱いでおあがり下さい」とあったので、では上がってもいいんだと思い、そっと 数段の階段をあがり、本堂を取り囲む回廊から、境内を眺めていました。 鮮やかな紫また紅色に紫陽花が群れ咲いています。 その脇には、気の早い向日葵が茎を伸ばしていました。気が付くとその内に大輪の花を太陽に向ける様に なるのでしょう。―ああ、もうすぐ夏だなあと思いました。 ふと突然、喋り声が聞こえて来ました。 「・・・だね、あそこの松の…」「でしょう…から…ですよ…」「あの…は、この間…」 声の様子から、どうやら、男女まじえた数人の、お年寄りのグループの様です。 今まで人の気配がなかったので、少々驚きましたが、それなりに由緒がありそうなお寺なので、見学客が いてもおかしくありません。 本堂の角の向こうから ギシギシ と板張りの回廊を歩く足音と「…ですよ…」「…そうでしょう?…」 等と言う会話の声が近づいてきました。もうすぐに、そこの角を曲がって来そうです。 狭い回廊なので、数人のグループを通す為に、ちょっと身を欄干に寄せようと思った時。 ぴた と足音も会話も途絶えました。 静寂の中、さわさわと弱い雨が木々や紫陽花を濡らす音だけが耳に届きます。 あれ?と思い、それでも数十秒は欄干に身を寄せておりましたが、一向に会話が再開もしなければ、足音 もしない。どうやら、立ち止まって紫陽花でも眺めているのか。確かに、ここの紫陽花は絶句しても良い ほど綺麗に咲いています。 少々焦れて、すれ違い様に挨拶でもしようと、本堂の角を曲がってみると、 ―誰も居ない回廊が続くだけでした。 気味が悪くなってきたのと、雨がザザザと大粒になってきたので、早々に退散しました。 本堂から出る時確認したのですが、靴置き場には私の靴以外は置かれておりませんでした。
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何を話していたのでしょうね?
2009/8/2(日) 午前 9:29 [ - ]
近畿ではなかなか梅雨明け発表がされず・・・
自分もなんの話だったか気になりますね。
2009/8/2(日) 午前 9:39
墓に成仏されない霊が集まるとは聞いてますけど、お寺でそういう体験は珍しいんじゃないですか
一瞬で涼しくなれてうらやましいです(笑)
2009/8/2(日) 午前 10:04 [ - ]
とうとう遭遇されたのですね。。。
向こうも 「あらやだよ、人がおるわい」 と驚いていたかも??
2009/8/2(日) 午前 10:09
幽霊さんもまさかいてるとおもわなかったんでしょうね〜!!by旦那
2009/8/2(日) 午前 11:33
その'霊の方々'も、紫陽花鑑賞に来たんではないですかね〜(^・^)
紫陽花鑑賞…また時期になったら、してみたいな〜
2009/8/2(日) 午後 0:17 [ イレイズ ]
そのお寺には呼ばれちゃってますねぇ。紫陽花やひまわりの妖精さんたちの会話ですよ。「お茶飲みましょうか」。「そうですね」的なたわいもない会話聞いちゃったのでは?羨ましいなぁ。ドゥーさんが私みたいにぼーっとした人間なら、誘われたかもですよー
2009/8/2(日) 午後 8:32 [ クリリン ]
こちらは、夏休みも残すところ、あと2週間。日もだんだん、短くなってきて、今年も駆け足で夏が去っていくんだなーと思うこの頃。
シトシト降る雨と紫陽花。お寺の静寂さとどこからか聞こえる人の穏やかな話し声。それが、この世の者たちの声でなくても、何かしら、風情のようなものを感じました。
2009/8/3(月) 午前 4:42 [ gol*enl*ly3* ]
”TO”って、実際のところ、どう、お読みするのでしょう?
私は、アルファベット読みにしてますが。
英語読み?
2009/8/3(月) 午前 5:31 [ gol*enl*ly3* ]
突然消える足音と話し声…ワタクシも経験ありますよ〜(~o~;;;
ワタクシが聞いたのはどこの言葉か分からないものでしたが
TOさんが遭遇された団体さんは、日本語だったのですね〜。
2009/8/3(月) 午後 0:22
記事中にご説明を入れてなくて恐縮だったのですが、コレは私の同僚の体験なのです…。言葉足らずでごめんなさい。
ちなみに、”TO”は、どう発音して頂いても結構なのですが、自分的には”てぃー・おー”(そのまんま)だと思っております。
2009/8/3(月) 午後 0:56
怖いというよりも何だか・・不思議な気持ちです。
綺麗なお庭の情景が浮かんでくる素敵な文章でした♪
トゥーさんと心の中ではおよびしてましたが(;^◇^)
ティーオーさんだったのですねw
2009/8/4(火) 午前 11:53
ミーさん、有難うございます。
呼び名は、まあ、どっちでも良いです(笑)
2009/8/4(火) 午前 11:55
英語が苦手な自分…'TO'は、「とー」…と発音してました〜
繋げて、「とー」さん…と
2009/8/4(火) 午後 2:20 [ イレイズ ]
靴置き場に自分の靴しかなかった・・・とのくだりがスーッとする感じです
靴が一足余って・・・今だに不思議に思うことがあるんですがそのうち聞いてもらってもいいかしら?
2009/8/5(水) 午後 6:18
おぉ・・・
幽霊なのか紫陽花の『付喪神』なのか・・・
TOさんを『取って喰おうか』と話してたのかも・・・(^^;
2009/8/6(木) 午前 11:19