一度では長いので、続き物にした怪

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捕囚の山5

そろそろ春一番も吹こうかと言う頃です。

あの火事の日からこちら、しらふで独り暮らしの部屋に帰る気にもなれない私は、その晩もしたたかに

酔っ払って、駅から自分のアパートに向かう、人影も疎らな夜道をふらふらと歩いていました。

途中、割と大きなスーパーマーケットがあるのですが、その駐車場に何となく見覚えがある車が停まって

おりました。当然、もう店は閉まっており、50台分ほどの駐車場に停まる車はその1台だけでした。

その車は、白いセダンでした。

怪訝に思いながらも、私はチェーンを跨ぎ超えて、駐車場に足を踏み入れました。そこを横切っていく

と、近道なのです。

白いセダン?―まさか、あの場所にあった…?ふと脳裏に不吉な思いが甦ってきました。

いや、そんなまさか。白いセダンなんて、いくらでも走っているじゃないか。変な事が続いていたから神

経過敏になってるな…。そう思いながらも、私は無意識にその白いセダンを迂回する様に歩きました。

駐車場を出るときに、チェーンを跨ぎながら振り返ると、いつの間にか、駐車場は空になっていました。

あれ?あの白いセダンは?

―私は、深く考えるのをやめ、家に帰るとまたウイスキーを煽って、ベッドに潜り込みました。


その晩、夢をみました。


あの場所で、AとBさんがぼんやりと立ち、じっと私を見つめていました。

二人は、いつまでもいつまでも、じっと私を見つめたままでした。

朝方、汗びっしょりで目覚めた私は、そうか、もうたぶん、二人はこの世にはいないのかもしれないな…

と、そんな思いに囚われ、いよいよ、無理に忘れたふりをしていたあの写真を、見てみるつもりになった

のです。


その日、会社を早引けした私の鞄の中には、あの写真が入っておりました。どこかで中身を見た後、

その足で目星をつけておいた神社で焼くなりして処分して貰う心積もりでした。

私は、特に明るい雰囲気の喫茶店に入りました。店の中でも、とりわけて明るい日差しのさす窓際の席を

選びました。

注文したコーヒーを一口啜って心を静めてから、私は、おもむろに写真の入った袋を取り出しました。

やはり、見ない方がいいのではないか。しかし、今見なくても、必ずいつかはこの写真を見る時が来る。

この写真がある限り、私はあの場所に囚われたまま生きていく羽目になるのです。ケリをつけるなら、

今しかない。夢に出てきた二人は、それを促しに来たんだ…そんな確信めいたものがありました。


封を空ける時、身体の震えがテーブルに伝わり、コーヒーカップがカチャカチャと音をたてました。

私は、ゆっくりと写真の束を取り出し、明るい店内の光の中に晒しだしました。

1枚目…あの小屋の外観が写っています。2枚目…3枚目…角度を変えて、やはり小屋の外から写してい

る。4枚目…小屋の中の花束が。5枚目…6枚目…小屋の中がつぶさに撮影されています。しかし、不気

味ではあれど、特に変なモノは写っていない様です。写真を繰りながら、1枚1枚じっくりと見つめてい

きますが、やはり変わった所はない…写真屋の主人は、何をあんなに恐れていたのだろう?半ば拍子抜け

しながら、気付くと写真はもう数枚を残すだけとなりました。私は、残りの写真を検証して、やはり不自

然な点が無い事を確認してから、最後の一枚に至りました。





うあああああああああああああ…




思わず発した悲鳴に、一斉に店内の目が向けられた筈ですが、私はそんな事も構わず、叫び続けました。



うあああああああああああああ…ああああああああああああ…



それから、私は精神の病を発病し、何ヶ月も入院することになりました。

病気の事は詳しく書くことは出来ませんが、治療の甲斐あって、何とか社会復帰する事が出来たのは幸い

です。しかし、今でも時々、悪夢に魘されます。それは、仕方が無い事なのだと思っています。


繰り返しになりますが、生きている人間が行ってはいけない場所と言うのは、確かにあります。

皆様も、くれぐれも自重して、お気をつけ下さい。確かにそう言う場所はあるのですから。


―長々とした話にお付き合い頂いて、有難うございました。





あ、そうそう、私が喫茶店で錯乱していた折に、歩道に面した窓の外から、顔が土気色した親子4人連れ

が私の事を見つめていたらしいのですが…。単なる通りすがりの親子ですよねぇ?ねぇ?ねぇ……



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【TO注】件の写真はまだ現存するそうですが、某お寺に預けてあるそうです。その手の品々を請け負う寺

社仏閣は思っている以上に多く、どこかのそう言うお寺さんに、その写真はあるそうです。

「見ますか?取り寄せますけど」とのお申し出に、私TOは、丁重にご遠慮した次第であります。

閉じる コメント(11)

写真には何が…。
この時間に読んでしまいました

2009/12/3(木) 午前 2:04 [ - ]

よっぽどやばいのが写ってたんですね・・・
TOさんは今まで鶴亀1号が身代わりになってくれてたのかも(^^;
気をつけてくださいね・・・

2009/12/3(木) 午前 7:42 悟

遠慮したTOさんが正解だと思いますね〜
「写真を見る」=「死にたいですか?」「廃人に(近いものに)成りたいですか?」と同義語だと思いますから…

2009/12/3(木) 午前 8:45 [ イレイズ ]

aさんとbさんの遺体が見つからないのが腑に落ちないー(..)。
長いこと、記事の連載お疲れさまでした。シリーズ物もどきどきして良いですね。またお願いします。

2009/12/3(木) 午前 9:22 [ クリリン ]

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だから、TOさんも行っちゃだめなとこは行っちゃだめですよ?!!
このシリーズ怖かった・・・実話なんですかああああ?(´; I ;`)
小説であって欲しいです・・・。

2009/12/3(木) 午前 10:12 minami♪

なんだか交通事故の受刑者が書いた『償いの日々』を思い出します。
そこには悔悟の念と犠牲者に対する冥福の気持ち、遺族への謝罪しかありません。
その方、なんだか似たような気持ちでおられるのではないかなぁ、と感じます。

「あんなところ、行かないように諭せばよかった・・・」 と。。。

2009/12/3(木) 午後 0:13 ☆かっちゃん☆

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最後の一枚には何が写ってたのでしょう?気になりますが見たくは無いですね。

おそらくAさん、Bさんはあの場所、小屋で亡くなっているのではないでしょうか?

2009/12/3(木) 午後 0:43 [ ま〜くん♪ ]

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んー呪いの写真?
こわっ(ーー;)。

そういえば私の知っているヒトが、旧世代ゲーム機で発売していた稲川淳二が語る怪談ゲームやってたら、変なこと起きたって話してたな。
なんでもかなりのいわく付きゲームらしいけど、題名は忘れたw

2009/12/3(木) 午後 3:15 [ リットリオ ]

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…長編お疲れ様でした。今日の氷雨以上に背中がスーと冷えてきました。
文章上手ですね…丑三つ時近くにこういう話しをタイプしているTOさんもある意味凄いです><

2009/12/3(木) 午後 6:01 pepe

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写真みたいなぁ〜by旦那

2009/12/3(木) 午後 10:57 おかっち

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皆様、長文お付き合い頂き、有難うございました。

書いた本人が言うと興醒めなのですが、この話が本当にあったかどうかは知りません。只、こう言う話があるんだけど…と話して下さった方がいるのは事実です。

最後まで書くのを多少躊躇しましたが、まあ、書いた私が記事上げた翌朝から高熱を発し、1日寝込んだ事で、けじめをつけたつもりなので、おそらくお読みになった皆さんには害は及ばないでしょう…た、ぶ、ん………

奇しくも花遊び山遊びさんのご指摘の通り、この話は丑三つ時に書きました。そうでもしないと、じかに話を聞いた時の「恐怖感」が再現できない様な気がして。ホントに怖かったんです。元ネタは。

2009/12/5(土) 午前 0:58 TO7002


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