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1週間ぶりに記事を更新したと思ったら、またアーノルドさんの話で恐縮です。 前回までの記事の通り、アーノルド氏は「史上初めて空飛ぶ円盤を目撃した人物(間違いだが)」として つとに有名ですが、「事件後」のアーノルドさんがどうなったのかは余り知られていない様ですし、私も 知りませんでした。しかし、調べてみると、これが実に人間臭くて大変興味深い事になっておりましたの で、せっかくですから記事にします。 アーノルド氏の「空飛ぶ円盤目撃事件」は瞬く間に全米に伝わり一大円盤ブームが沸き起こった事は、ア ケチ博士がのたまわっていた通りですが、さすがアメリカを代表する大新聞も単に騒ぎを煽っていただけ ではありませんでした。 兎も角センセーショナルな書き方が定着していた当時の米新聞ではありますが、それでも独自の調査を 行なってはおりました。しかし、「事件」を裏付ける物的証拠や第三者の信頼できる目撃報告が見つから なかった為、「事件」に対して次第に批判的になっていきます。 曰く「アーノルドが見たのは『ウランを詰めすぎた爆弾から飛び出した原子』である」(NYタイムズ) 曰く「アメリカ経済を改善するために政府当局者が上空からばら撒いたコインだろう」(NYタイムズ) 曰く「独立戦争で死んだ人々の頭上に乗るべき光輪であり、間違って現れたのだ」(ライフ) ―などなど、各紙では事件に対して皮肉たっぷりの記事を掲載する様になってしまいます。つまりは、 アメリカのマスコミはアーノルド氏を二階に上げて梯子を下ろしたのです。現在の日本でも良くある事で すが。 これに対し、アーノルド氏は自著の中で「愛国路線に沿うべきであるという理由だけからも、もし私が 報告をしなかったならば、国に対しての忠誠を破ったと見なされたであろう」と述べ、あくまで愛国心で 正体不明の飛行物体目撃を報告しただけなのに、なんで私がそこまで言われなければならんのじゃ!!と憤 りを滲ませています。尤もな話だと思います。アーノルド氏は、別に「宇宙人の乗り物を見た」等とは (この時点では)一言も言って無いんだから。 また、アーノルド氏は、最初に新聞社に事件を通報したのを相当後悔していた様で、「私は、ノーラ ン・スキッフなどというトップ屋に話をするのを避けるほど賢明ではありませんでした。彼に語ると、そ のあとすぐ記者たちが家に押しかけてきて、さんざん質問をしたのちに帰ってゆき、記事を書きはじめま した。ところが私の談話は違った内容に変えられて公表されたのです」と語っており、最初に「事件」を 歪めて伝えた『イースト・オレゴニアン』紙の編集長ノーラン・スキッフに対しては、かなりトサカに来 ていた事が判ります。 しかし、記者は相変わらずアーノルド氏に殺到し、軍の情報関係者までもが呼びもしないのにアーノル ド氏を訪れます。そして物体の正体がわからぬまま時が経つにしたがって、懐疑的な人々による批判はま すますうるさく、アーノルド氏への嘲笑は一般の市民にも広がって行きました。 そしてアーノルド氏は、批判や嘲笑に答えるべく、自分が目撃したものはナニモノだったのかと、独自 で調査を始めました。そんな中、アーノルド氏はチャールズ・フォート(作家で、超常現象研究の先駆者 といわれる)の著作に触れます。アーノルド氏はフォートに相当感化された様で、「私は最初、自分の見 たものは空軍の航空機だったのかもしれないと思っていました。しかし、このフォートの本を読んでびっ くりしたのです。私が研究をしているものと、フォートが集めた目撃事例とがよく似ていたからです」と 語っております。 別にフォートの集めた目撃例に「三日月形UFO」が沢山あったと言う訳ではありません。しかし、フォ ートは、既存の科学に適合しない異常なデータを、無視し、嘲笑し、非合理的なものと見なす科学者や報 道機関に対して断固たる批判的態度を明らかにしており、まさにそんな憂き目に会っていたアーノルド氏 がフォートの考え方にシンパシーを感じるのもむべなるかなです。 フォートの影響からか、この辺りからアーノルド氏は自分の目撃したものは宇宙人が乗って来た未知の 乗り物ではないかと言う考えに傾倒して行きます。実は当初、アーノルド氏は自分の見た物体の描写を微 妙に二転三転させており、「飛行機にしては尾部が無い」とか「受け皿かレコードを半分にぶつ切りにし た形」とか「凸形に盛り上ったパイ皿を半分に切った形」などと表現を変えております。それが、後日こ んな三日月形のイラストで落ち着いたのは、アーノルド氏が「この物体は宇宙人の乗り物だ」と納得した 証でしょう。 そして、アーノルド氏はSF雑誌「アメージング・ストーリーズ(Amazing Stories) 」編集長レイモ ンド・A・パーマー【注1】と組んで、色々なUFO事件の現場まで調査に馳せ参じ、UFO研究・評論 家として活動する様になりました。(会社はどうしたんだろう…?) (↓)「アメージング・ストーリーズ」(昭和UFO世代としては胸が高鳴る表紙絵ですなぁ…。) アーノルド氏がパーマーの依頼で調査した事件に「モーリー島事件」【注2】があり、その中でアーノル ド氏は結果として与太法螺話のお先棒を担ぐ形になってしまいますが、アーノルド氏自身はその後も真摯 に自分の目撃談を語り続け、様々なUFO・宇宙人目撃談を調査収集して行きました。(その中にはかな りみょうちきりんな話【注3】も幾つも含まれておりますが…。) アーノルド氏は、長年の友人であるパーマーがちょっと危ない方向にハマって行くのを横目にそれにあ まり染まる事もなく、3万ドルもの私費を費やした長年の研究によりUFO実在を確信するに至ったと言 います。 1984年、アーノルド氏はお亡くなりになりました。しかし、アーノルド氏の残したUFO研究はさして大 きな話題にもならず【注4】、「初めて空飛ぶ円盤を見た男」の称号(?)だけがアーノルド氏の許に残 りました。皮肉なのは、アーノルド氏が調査した事例の中に、自分の目撃した「三日月形UFO」は殆ど 見受けられなかった事です…。 ―と言う訳で、宇宙人とか何とかオカルトチックなモノとは(恐らく)無縁だった実業家が、たまたまひ ょんな事からオカルト業界に引き込まれていく過程が喜劇と言うか悲劇と言うか、私には良く解りません が、興味深い事だけは確かです。 【注1】レイモンド・A・パーマー (Raymond Arthur Palmer) 雑誌編集者のちUFO研究家。世界初のSF 雑誌として知られる『Amazing Stories』( アメージング・ストーリーズ) の編集長を務め、同誌に地底人の登場する地下王国の物語『シェイバー・ミステリー』を掲載。大反響となったが、フィクションではなく事実だと言い張ったことから批判を浴びた(別名「アメージング・ストーリーズ」から大脳を切除した男…と呼ばれているらしい)。その後幾つかのオカルトUFO系雑誌を創刊し、誰に頼まれた訳でもないのに、「UFO は異星人の乗り物である」 という考え方を一般に広める大きな役割を果たした。1977 年に逝去。 【注2】モーリー島事件 ケネス・アーノルド事件の数日前に起こったとされるUFO事件。UFO同士が空中衝突して墜落したり、メンインブラックみたいなのが出てきたり、事件を調査した米軍士官が証拠もろとも飛行機事故死したりと、なかなか胸躍る与太話なのですが、なぜか日本では余り有名ではないのが不思議です。機会があれば、記事にします。 【注3】みょうちきりんな話 かなりキテます。その内記事にする機会があれば、記事にします。 【注4】アーノルド氏のUFO研究 出版する話もあった様ですが、版権価格で折り合わずお蔵入りしたそうです。是非出して欲しい気もしますが、もしそうなったとしても、私はBOOKOFFで買います。 参考)“円盤”ブームを起こした男ケネス・アーノルドの証言 グレゴリー・ロング 扇平秋雄訳
(『UFOS & SPACE』82年6月号) |

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ufo同士がぶつかって落ちたってのは、おもしろい情報ですね。
アーノルドさんは、金持ちだったから仕事を投げ売って研究に没頭できたんですよね。一般サラリーマンがそんなことをしたら、女房子供に捨てられますよ。金持ちって羨ましいなぁ。ただの与太話で終わってもご本人は満足なんでしょう。
2010/1/21(木) 午前 9:28 [ クリリン ]
「アメージング・ストーリーズ」・・・60年代の香りがプンプンしますねぇ。。( ̄▽ ̄)
2010/1/21(木) 午前 11:14
クリリンさん、「空飛ぶ円盤黎明期」からいきなりぶつかってるとは、ホントにUFOって高度な文明の産物なのかと疑いたくなりますね。
しかし、道楽に金を使えるのは羨ましい。
2010/1/21(木) 午後 2:43
かっちゃんさん、マニアの間では有名人らしいのですが、このレイモンド・A・パーマーさんの一代記も凄く面白いのです。
UFO事件そのものよりも、それを取り巻く人間模様の方が、いくらも面白いと言う事に最近気付きました。
2010/1/21(木) 午後 2:45
人間が一番面白いですね〜!!by旦那
2010/1/21(木) 午後 10:31
旦那さん、「UFO業界奇人変人コーナー」を作りましょうか?ヘンテコリンな宇宙人より何倍もヘンテコリンな人がウヨウヨいらっしゃいますので…。そんなのに比べると、〇追さんなんて、まだまともな部類だと思います。
2010/1/21(木) 午後 11:15