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さて、もう一つアーノルド氏つながりで引っ張りますが。

「ケネス・アーノルド事件」の数日前に起こり、アーノルド氏自身が現地調査に向かったとされる

モーリー島事件」です。なかなか面白い内容に反して、何故か日本では知名度に欠ける様なので、記事

にしてみます。

第一幕 「UFO大爆発!!」

1947年6月21日、米ワシントン州タコマの近くにあるモーリー島沖を航行中のタコマ湾の巡視員ハロル

ド・ダールと彼の息子らが、空に浮遊する6機の奇妙な物体を目撃したのが事の始まりでした。

詳しい地図で見る
UFOは直径が約30m程で真ん中に直径約7mの穴が開いた「ドーナツ型」で、金とも銀ともつかぬ金属色をし

ており、側部に窓がり、平らな下面にも監視窓の様な物がありました。ダールが写真を撮っていると、UF

Oの1機は調子が悪いらしく他のUFOと接触してしまい、高度数10mまで降下してくるや、突然爆発

そのUFOは非常に軽い金属箔と、融けた黒い岩の様な物質を撒き散らしました。

融けた岩状の物質で息子は腕に負傷し、愛犬は死んでしまった上、船の操舵室まで破壊されました。

そして、UFO達は慌てたのか、すいと飛び去ってしまいました。

 UFOが飛び去った後で、ダールは無線で連絡しようとしましたが、妨害電波の為に通じません。ダール

らはボートに落ちてきた金属箔と岩の様な物体や残骸を積んでタコマの港へ戻り、上司であるフレッド・

リー・クリスマンに事の成り行きを報告しました。

第二幕 「アーノルド登場!!」

この事件を知ったSF雑誌の編集者レイモンド・A・パーマーの要請で、ケネス・アーノルド氏が事件の

調査の為に現地を訪れました。タコマにやってきたアーノルドがホテルに部屋を取ろうとすると、不思議

な事に、ホテルには彼の名前で既に予約が入っていました。

 ダールに面会したアーノルド氏は、ダールから奇妙な体験談を聞かされます。事件の翌日、朝食の席で

一緒になった見知らぬ男から、「家族を愛していて、今の幸せな生活の上に何も起きないことを望むな

ら、自分が見たことを誰にも話さないことだ」と警告を受けた、と言うのです。男は黒い服を着ており、

1947年型ビュイックのセダンに乗っていたと、ダールは証言しました。

 さらに米陸軍情報部将校のW・デヴィッドソン大尉とF・ブラウン中尉の二人も調査に加わりました。

アーノルド氏は爆発したUFOが残した謎の物質を情報将校の二人に渡し、分析を依頼しました。

二人の将校は事件そのものを何かのジョークだと思っていたらしく、物質の分析にも消極的でしたが、と

もあれ謎の物質が入った箱と共に、軍用機で自らの基地へと飛び立ちました。

第三幕 「謎の飛行機事故」

しかし、二人の情報将校が基地に戻る事は永遠にありませんでした。二人の乗った機は離陸から20分後

に原因不明の大爆発を起こし、墜落したのです。そして、UFOの残した物質も失われてしまったのです。

軍用機は、自らの存在を隠蔽しようとしたUFOに撃墜されたのではないか…そう考えられました。

閑話休題

―如何でしょうか?空飛ぶ円盤黎明期に既にUFOは爆発しており、MIB(メンインブラック)が姿を見せて

いると言う、胸が高鳴る事件ではありませんか!!ストーリー全体に漂う与太話感が堪りませんね〜。

それにしても、ギャング映画の様な陳腐な警告と、それを全く無視してペラペラ喋るハロルド・ダールさ

ん。その後、彼の家族は大丈夫だったのかと、要らぬ心配をしてしまいます。

第四幕「事の真相」

「事の真相」と言っても、読むからに与太話だと判るネタですが、一応どこがどう言う風に与太なのかを

見てみます。


 まず、本当の「事の始まり」は、「アメージング・ストーリーズ」編集長のレイモンド・A・パーマー

の許に届いた、フレッド・リー・クリスマン&ハロルド・ダール連名の手紙でした。クリスマン達は、自

分達からネタを売り込んで来ていたのです。

 クリスマンは、実は以前にもパーマーに手紙を送っていました。その内容はと言うと、「自分はデロと

秘密の戦いを繰り広げている云々」と言うシロモノ。デロとは、当時「アメージング・ストーリ

ーズ」で連載され人気を博していた「シェイヴァー・ミステリー・シリーズ」に出てくる悪役で、detrim

ental robot(有害ロボット)の略です。

―どうやら、クリスマンは虚構と現実の見境がつかなくなってしまったSFオタクだった様です。

当時、その手の投稿は山ほどパーマーの許に届いており【注1】、パーマー自身も最初は小説として連載

していた「シェイヴァー・ミステリー」を次第に現実に起こった事だと妄信する様になったのですから、

まあどっちもどっちのお話です。

 そんな連中から出たネタですから、事件が真実である筈も無い。クリスマンの妄想をパーマーが脚色し

て世に出した、と言うのが「モーリー島事件」の真相だと言って良さそうです【注2】。



 事実、事件の調査にあたった情報士官は、軍用機に乗る前に現地の基地で「事件は全くの法螺話だっ

た」と発表しています。情報士官によると、クリスマンとダールはタコマの湾岸パトロールではなく、湾

内の流木を回収するサルベージ業者であり、UFOから撒き散らされたとされる物質も、只のスラグ(金属

を製錬する時に出るカス。道路の路盤材やコンクリート骨材として広く用いられる)であり、最終的には

クリスマンとダールも事件は二人ででっち上げたジョークだと認めた―との事でした【注3】。

 
 また、軍用機の墜落は、後日の調査でエンジン排気管の不調が原因と判明しました。つまり単なる事故

だったのです【注4】。

幕引き

アーノルド氏がせっかく足まで運んだのに、パーマーはネタの箔付け位にしか思っていなかった様です。

しかし、繰り返しますが、何故このネタが日本ではマイナーなのか。私としては、「ケネス・アーノルド

事件」「マンテル大尉事件」「ロズウェル事件」「ヒル夫妻事件」に並ぶ重要事件だと思うのですが…。

                                          (おわり)


【注1】この頃、まだ有名になる前のジョージ・アダムスキーが『イエス・キリストが宇宙船に乗って地球に帰ってくる』と言う訳の判らん内容の話を「アメージング・ストーリーズ」に投稿したが、あえなくボツになった…と言う事実は、殆ど知られておりません。

【注2】プロジェクト・ブルーブックの報告書でも、騙したのはハロルド・ダールら2名だと記されているそうです。

【注3】軍はクリスマンとダールを何らかの罪で告発しようとしましたが、SFオタクの妄想による冗談に付き合うのもバカらしかったのか、結局二人にお咎めが来る事は無かった様です。

【注4】この事故では生存者もおり、空中で大爆発した訳ではなさそうです。



参考)『SF雑誌の歴史』(マイク・アシュリー 著/牧真司 訳・東京創元社)



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妄想を現実と思い込むってのが凄いなぁ〜!!by旦那

2010/1/21(木) 午後 10:46 おかっち 返信する

あ〜コレは知ってます!
ケーブルテレビのヒストリー・チャンネルに『UFOハンター』って番組で放送してました^^

番組では結局『真相はまだ謎に包まれたままだ・・・』みたいに言ってましたけどTOさんのお話で納得しました!
TOさんってUFO評論家みたいになったらおもしろいかも♪

2010/1/21(木) 午後 11:10 悟 返信する

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旦那さん、ハマり過ぎると現実と妄想がないまぜになるのは、男と女の関係に似ています。(大人の意見。)

2010/1/21(木) 午後 11:17 TO7002 返信する

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りくんちゅさん、その番組、観た事ないですが、観てみたいですね〜。たぶん、ボロクソにツッコミを入れながら観るんだろうなぁ。

2010/1/21(木) 午後 11:19 TO7002 返信する

なんだぁー?妄想かい。けっこうおもしろかったのに
それにしても、イエスキリストはタイムマシーンに乗ってくることはあっても、宇宙船には乗ってこないでしょう!ええ?

2010/1/22(金) 午前 8:58 [ クリリン ] 返信する

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あら・・軍用機の墜落は本当だったのですね。
法螺話に付き合わされて命を落とされた方がいらっしゃるのは残念な事です。

2010/1/22(金) 午前 9:35 minami♪ 返信する

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何を隠そう、ぢつはワタシはM78星雲からやってきた宇宙人なのですよ。。。
えぇ、3分しか動けない中で子供も作りましたがナニか?・・・(爆

2010/1/22(金) 午前 10:49 ☆かっちゃん☆ 返信する

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