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magicanaさんのおかげで、過去記事に光が当たって嬉しい限りの今日この頃です。 magicanaさんのコメントにも出てきた「私は幽霊を見た」は、怪談書の名著・金字塔である事は論を 待ちません(プレミアついてるし…)。私も「トラウマになった怪談」との記事で取り上げさせて頂きました。 さて、私が子供の頃に読み聞きして、その後深く心に残った怪談の一つに、食生態学者にして作家の西丸 震哉さんの体験談があります。有名な話ですが、せっかくなので全文引用してみます。 ○幽霊にとり殺されそうになる 大学卒業後,岩手県の釜石にある水産試験場に就職した。これは自分を知っている人がいないところで腕試しがしたかったことと,あの近辺の山に登りたかったことが動機ですね(笑)。前年に米軍の艦砲射撃を浴びた町ですから宿舎などなく,製造工場の片隅に缶詰の箱を積み重ねて寝台をつくり,そこで寝泊まりを始めた。 六月の夜おそく海沿いの道をトボトボと帰ってくると,工場近くのコンクリート堤に女がもたれかかっている。ところがそばに近づいた途端,ふっと消えて女の姿が見えなくなった。さては目の錯覚かと,その日はそのまま帰って寝てしまったんだけれども,四日後にまたおそく帰ってくると,同じところに女がいる。確かめると浴衣姿の二十七,八になるかと思われる色白の美人。女の正面を横切るとき,またもや,ふっと消えてなくなってしまった。すぐに女の立っていたところまで飛んでいって調べたけれど何もない。 翌日,ついに女の一メートル手前まで近寄ることができた。「お晩です」と声をかけても目も合わさずに知らん顔で海を見ている。「もしもし」と言いながら指で彼女の肩を思い切って突いてみたところ,指先は何の抵抗も感じず,同時に女も消え去ってしまった。そのとき初めて背筋がツーと冷えた。翌日,棍棒を手にまた一メートルのところまで近づいて,「君は幽霊かね。しゃべれるんなら返事しろや。黙ってるとぶんなぐるぞ。いいか,それ」と女に棍棒を振り下ろすと「ガツン!」と何もないコンクリート堤を叩きつけている。こちらの頭が狂ったのかと市立病院で徹底的に検査してもらったけれど,まったく正常とのこと。それからもちょくちょく女の姿を見かけたけれど,なるべくそばを通らないように別の道を通って帰っていた。 ところがしばらくするとついに私の寝ている工場の中にまで毎日出てくるようになった。五メートルほど離れたところから一晩中こちら側を向いている。別に何をするわけでもないので,私は徹底的に彼女を無視する方針に変えたけれどあまり気分のいいものではない。翌年の四月,試験場の二階の講堂の隅にシングルベッドを借りて引っ越した。彼女も気づかなかったらしく,久しぶりの解放感にひたれたけれど,これも長くはつづかなかった。 一か月後に彼女が現れたときには,ベッドのすぐ横に立ち,寝ている私を上から見下ろしている。それでも彼女の瞳は私を見ていない。私を素通りした場所に焦点を合わせている。不思議なもので,自分を見ていないとわかるとそんなに怖くは感じない。私はふたたび無視を決め込んだが,ある夜,何となく彼女のようすが今までとちがっている。今まで私の向こうの涯を見ていた彼女の目が,私の目の中をまばたきもせずにジーッとのぞき込んでいる。 全身が粟立った。私は負けてなるものかと彼女の目を見返し,ぐっとにらみつけると,その瞬間,からだの体温が奪われ,布団の中が氷のように冷えてしまう。布団を頭からかぶって縮こまり,三十分後にふたたび布団からそっと目を出してみると,彼女の視線がくい入るようにのぞいている。とたんにせっかく温まった布団の中がまた氷を抱いたように冷え切ってしまう。窓の外がほのぼのと明るくなり,彼女がいなくなるまで,この一夜の間に四回くらい彼女とにらみあった。 朝,場長が出勤してきたのをつかまえて,「私は今日の汽車で帰ります。お世話になりっぱなしで申しわけないけれどもやめさせてください」と頼んだ。幽霊の状況を報告したら,君がとり殺されでもしたら私としても困るからということで,すぐに私の要望に応えてくれた。ふつうだったら幻覚を見たんだろうと笑うところが笑わない。この話には後日談もまだまだあるけれど,よりくわしく知りたい人は「山とお化けと自然界」(中公文庫)を読んでください。とにかく私は仕度もそこそこに釜石の地を離れることになりました。「あの人に聞きたい 私の選んだ道」より 西丸震哉さんと言えば、一つや二つのの肩書きで括れない程多彩な活動をされている方。 「41歳寿命説」でその名を知った方も多いのではと思います。 氏の、終末論を後押しする様な発言には「?」がつく事もありますが、自然と幽霊をこよなく愛していら っしゃるのは、文章を読むと良く判ります。しかしまあ、幽霊を棍棒でぶん殴ったり、指で小突いてみた りと、なかなか胆の据わったお方ではあります。 ちなみに、「山とお化けと自然界」には、木曾御嶽山の「賽の河原」に人魂が現れると言う話を耳にした 西丸氏が、人魂をとっ捕まえるべく独りでキャンプを張った話なども書かれております。(実際に人魂が 出現した。)「心霊スポッター」としても見上げるべき行動力だと言わざるを得ないでしょう。 ―それは兎も角。 この怪談で何が怖かったかと言うと、「その瞬間,からだの体温が奪われ,布団の中が氷のように冷えて しまう…(中略)…とたんにせっかく温まった布団の中がまた氷を抱いたように冷え切ってしまう…」と 言うくだり。 「私は幽霊を見た」の大高博士が遭遇した幽霊もそうですが、「布団の中が冷たくなる」と言うのは、 子供だった私にとっては最怖のフレーズでした。 何故なら、幽霊が怖い子供にとって、布団の中と言うのは最後の逃げ場だったからです。 その布団の中にまで幽霊(の影響)が入り込んでくる…。 こんなに怖い事はありませんでした。 そんなこんなで、未だに強く心に残っているのでしょう。 こんな、何十年経っても人の心に残る怪談が、このブログに一つでもあればいいが… とは、場末のブログ主の独り言です。 (西丸氏のお話は読んでいてとても面白いものばかりです。また幾つかご紹介したいと思います。)
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無学な私は、その方の著作物は読んだ事は無いのですが…



私としてはTOさんの怖いところ…とは違うんですが…
私は「しゃべれるなら返事〜殴る」のくだりの方が怖いですね〜
幽霊に限らず…その様に方は、遠慮したいなぁ
著者の方は…因果応報だと思うなぁ
2010/3/25(木) 午後 1:05 [ イレイズ ]
西丸氏は怖がらないところがおもしろいですよね。
この話では、目を覗き込む霊に対して一歩も引かない態度だし。
また読んでみようかな。。
TOさんのオススメあったら、また記事にしてください
2010/3/25(木) 午後 2:10 [ - ]
ぶん殴るより・・・・・口説いてみればよかったのに。。
その方がその後の展開が、よりドラマティックに。。(^^;)
2010/3/25(木) 午後 2:16
イレイズさん、「黙ってるとぶんなぐるぞ。」と言った次の瞬間にぶん殴っている所に性格が出ていると思います。
2010/3/25(木) 午後 2:23
もとまろさん、おススメが目白押しなんです。ホントに楽しくなっちゃいます!!
2010/3/25(木) 午後 2:24
かっちゃんさん、じつは西丸さん、女にはオクテなのでは?
ぶん殴ったのも照れ隠しなんでしょう、きっと。
2010/3/25(木) 午後 2:25
いやーー全く同じところで寒気を感じて、仕事中なのにがばっ!っと後ろを振り返り、同僚にきょとんとされました。(仕事しろ)
TOさんのブログを読んで私が最怖だったのは「黒い男」です。
特に最後はあまりの恐怖に静寂が耐えられなくなり、ステレオでガンガン音楽をかけながら読みました。
2010/3/25(木) 午後 3:55 [ ま〜くん♪ ]
まーくんさん、「黒い男」はなかなか評判が良い様で…。
今度、恐れ多くも、「一番怖かった記事コンテスト」でもやってみましょうか?
2010/3/25(木) 午後 4:02
たしかに布団の中まで入り込んでこられたらたまったもんじゃないですね(^^;
それにしても勇気あります
オレなら1回、目があっただけでショック死ですね(- -;
☆ぽち☆
2010/3/25(木) 午後 4:03
りくんちゅさん、せめて枕元で留まって欲しいものですね。
2010/3/25(木) 午後 4:09
始めは遠くを見ていた視線が自分に注がれたと言うことは、彼女恋いしちゃったとか?
春ですねぇ
とぅーさんの記事で一番すごかったのは、やっぱ動く画像でしょう「パールさんはお元気でしょうか」。
後、バンコクのホテルの同行者の部屋にいた、3人の男の幽霊「マッサージのおばさんが発見」も怖かった。
やっぱり男の幽霊は怖い、と言うか、きもい。
2010/3/25(木) 午後 4:28 [ クリリン ]
私もTOさんの記事で"最怖"は… 黒い男 ですね〜

)
あと… パール夫人 は…元気でしたね〜
(先程見て来ました
2010/3/26(金) 午前 1:21 [ イレイズ ]
↑遅まきながら 『 黒い男 』 を読みました。。
3話目からバリア張りましたよ。。。怖えぇぇえ〜〜〜。。。
またこれで夢見がおかしくなったらTOさんのせいです・・・(汗。。。
夢の中で何度も訪れる場所があります。
そこは旅館のようになっていて、大広間や仲居さんの部屋のような
小さな部屋もあり、何故かそのふたつしか見たことないんですよ。
廊下は入り組んでいて、その先にあるトイレは汲み取りらしく
男子小用のキンカクシはパイプを覗き込むと下方へずっと伸びている。
風呂はプールみたいな大浴場で、なんと混浴らしき雰囲気。。
修学旅行のように大広間にはお客が賑わい、オレはその建物の廊下を
徘徊してるんですよね。。。。。
実際に、幽幻界にはそういう場所があると、霊能者の方が言ってましたが。
なぜ自分がソコに行くのかが不明です。。。(^^;)
2010/3/26(金) 午前 10:56
クリリンさん、バンコクの3人組は確か白人だったと思いますが、白人の幽霊って今ひとつ恐怖感が湧かないのは私だけでしょうか?
2010/3/26(金) 午後 5:45
イレイズさん、パールさん、動くのをやめたのでしょうか?
皆が注目してくれないと動かないのかな?
2010/3/26(金) 午後 5:47
かっちゃんさん、夢で何度も訪れる場所って、何となく怖いですね〜。常世との境目みたいな感じでしょうか。
「千と千尋」のお風呂屋さんも、そんなイメージです。
「コメ怖」に載せさせて頂きます!!
2010/3/26(金) 午後 5:52
美人だったんですか・・布団の中で会いたいですね。。。by旦那
2010/3/27(土) 午後 11:54
おおっ!西丸さんの幽霊話が話題になってる!「山とお化けと自然界」はおすすめですよ。水産試験場の幽霊の後日談があったりで。
西丸氏特有の飄々とした語り口がすごく面白いです。
でもこの話は恐れを知らず超常現象にも科学的アプローチお試みようとして、人魂ごときにはびくともしない西丸さんがだんだん追い詰められていくさまは初めて読んだ時には鳥肌が立ちました。
それから山登りで遭遇する幽霊やドッペルゲンガーの話などオカルト好きにはたまらない著作ですよ。
2010/4/1(木) 午前 2:44 [ dbt*m*12 ]
この時期に、釜石の水産試験場と読むとあの津波の映像のところじゃないかとご冥福を、とても感慨深いものがあります。
この場を借りて津波で亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
TOさん勝手に場を借りてしまってすみません m(__)m
2011/7/23(土) 午後 6:51 [ ぱっと ]
山田太郎(ジョン・スミス):西丸氏の本はオヤジが読んでたの小学校時代から読みました。「山だ、原始人だ、幽霊だ!」に出た話ですね?西丸氏はニヒルで頑固なイメージでも根は優しいのか、たぶん女(幽霊)が気になり話しかけたと思われます。そこで反応ないからムカついて棍棒で武装して戦うというより、幽霊に物理的攻撃が効くか否か科学者としての「興味」から戦闘に入り、もし西丸氏のバットが御寺でお祓いしたか、教会で祝福されたか、御神体から削り出して作ったバットなら幽霊にダメージ与えたかはともかく、女の幽霊は「かまってくれた」から西丸氏にストーカー開始したのか、ある意味「モテる男」だったと思われます😜西丸氏の人間の絵も「人間型妖怪?」みたいですね。西丸氏の40才寿命説は間違いとの説もありますが、彼の本は今でもいろいろ役に立つ話が一杯詰まってます。自分は他に落合信彦氏等賛否両論の作家の作品が好きです。要は誰の本でも読んで面白かったか、つまらなかったか、ムカついたか、そこから自分の生き方の「参考にし、後は自分で考える」ことが大切かと😊
2017/5/5(金) 午後 9:50 [ spz**636 ]