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都内の雑踏を歩いている時、目の前を歩いている男にふと違和感を感じた。
身だしなみや歩き方には特に変わった所はなく、いわゆる何処にでも居るサラリーマン。
グレーのスーツに、角の擦れた革の鞄を左手に提げ、やや猫背気味に歩く。中肉中背、恐らく40代…。
時折、右手で後ろ髪を撫でる。
ごく普通の、何処にでも居る、サラリーマンだ。
しかし、その雰囲気は、何故かこのごみごみした街の風景から逸脱している様な…そんな気がした。
どう表現していいのか、何か、生身の人間では無い様な…。とは言え、亡霊亡者と言った感じでもない…。
何を根拠に?いや、全く根拠などない。言うなれば、実在感が非常に乏しいだけで、それは私の気のせいだと言
うのは、とうに自覚していた。
しかし―彼は、ひょいと、左に曲がった。何気なく、最初からそうする事が決まっていたかの様にごく自然に。
そう、通い慣れた場所に行くのに、順路である角を曲がるかの様に。
私は、内心、驚いた。
いや、そこに普通に曲がり角があれば誰も驚かない。
彼が曲がって行った先は、ビルの壁。彼は、すいとその壁に吸い込まれ、消えてしまった。
周囲を歩く人々も、見ていたのか見ていなかったのか、何事も無く、自分の世界に没頭しながら歩いている。
私も、立ち止まって壁を検分する事も無く、そのままの歩調で目的地に向かった。
これだけ多くの人間が歩いていれば、中には一つや二つ、不思議なモノも混じっているだろう…。
ただ、それだけの事だ。
【久々の一行解説】
新しい職場で仕入れたネタです。よく聞く「都会ネタ」ですが、件のサラリーマン氏が消えた壁は、某巨大資本の本社ビルだった…と言う裏オチがあります。ちなみに、社員の自殺率が日本一と噂されるあの会社です。
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あの世に行ってもなお通勤してるんですね。
。
なんか切ない
2010/9/29(水) 午後 2:34 [ クリリン ]
クリリンさん、当てつけに化けて出るために通勤してるのかもしれませんね。
2010/9/29(水) 午後 3:04
現在の日本にの都会には、普通に生気の抜けたような人が、沢山歩き回っているようです。^^;
2010/9/29(水) 午後 8:32 [ リットリオ ]
リットリオさん、幽霊のほうが元気だったりして…。
2010/9/29(水) 午後 8:48