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はたして事件の真相は!?
〇ヒル夫妻が遭遇した「円盤」の正体
ベティーがピース空軍基地に電話で自身の体験を通報した翌日に、同基地のポール・W・ヘンダーソン空軍少佐
がヒル家に電話をし、詳しく事情を聴取。ヘンダーソン少佐は26日にレポートをまとめ、それは空軍のUFO調査
機関「プロジェクト・ブルーブック」にも送られました。ヘンダーソン少佐のレポートでは、ヒル夫妻の目撃した
「円盤」の正体は木星であると結論されていました。ベティーは「最初、月の近くに明るい星が1つ見えた」と証
言しておりましたが、当夜、月の近くには明るい星が2つ見えていた筈なのです。それは、木星と土星でした。ベ
ティーがもしちゃんと夜空を観察していたのなら、「月の近くに2つの明るい星が見えた」と証言するはずです。
(↓)事件発生時の、現場周辺の夜空。
月と土星の間に、土星よりも更に明るい木星があります。ベティーが「光が現れた」のを見たのは、まさに木星が
ある位置だったのです。当ブログでも、明るい惑星をUFOと誤認した例を幾つも挙げてきましたが、ヒル夫妻事
件もまさにその一つだったのです。
深夜、単調な道路を長時間ドライブしていたヒル夫妻は、幻覚を見やすくなる「ハイウエイ・ヒプノーシス(高速道
路催眠現象)」の状態にあり、明るく輝く木星がきっかけになって、「円盤遭遇」の幻覚を見たのではないかと考え
られています。
また、ピース基地に寄せられた他の二つのUFO目撃報告はそれぞれが「高空を低速で飛行する物体」だった事
から観測気球であると判明し、併せてブルーブックに報告されたそうです。
〇「空白の2時間」の真相
そもそも、自宅に帰りついた時点では、ヒル夫妻は時間の矛盾を意識しておりませんでした。「空白の2時間」に
気付いたのは、事件から2ヶ月以上も経った11月25日に、NICAP(アメリカの民間UFO研究団体)による聞き取り
調査が行われた時、NICAPのスタッフから「何故自宅まで帰るのにこんなに時間がかかったのか」との疑問を提
示された時でした。普通、2時間も誤差があれば、すぐに気付きそうなものですが、2ヵ月後に他人から指摘され
て気付くというのは不自然です。( 例えば、大阪から東京まで東名使って6時間で来る所を、渋滞も無いのに8時
間かかれば誰だっておかしいなと思うでしょう?)
実は、ベティーの円盤に遭遇した時間に関する証言はかなり曖昧で、「午後11時」とか「午前3時」とか複数の証
言をしており、バーニーも「(現場から)自宅に帰る前に一度車を停めた」と言っており、車のスピードや走行時間
に関する部分ははっきりしない点が多いのです。つまり、「2時間の空白」など実際には存在しないのではないか
と考えられています。
〇スターマップの真相
スターマップとフィッシュの星図が一致すると言うのも実はかなり無理があります。
二つの図から星々を結ぶ線を消して見ると…
(↓)ベティーのスターマップ (↓)フィッシュの星図
…全然一致していない事がバレてしまうのです。
また、ベティー自筆の「スターマップ」を見ると…。
(←)とてもとても、フィッシュの星図と一致するとは言い難
いシロモノです。カール・セーガン博士をはじめとする天文
学者たちは、ベティーの「スターマップ」はレチクル座と符
合するとはとても言えず、解析を行う上でも参考にならな
ず有益なものではないとしています。
〇宇宙人の正体
『アウター・リミッツ』の宇宙人や 『トワイライト・ゾーン』に出てきた宇宙人はヒル夫妻事件の後に放送されたの
で、事件に登場する宇宙人のモデルとはなり得ない…と言う主張も簡単に覆されます。
バーニーがサイモン博士による催眠下で宇宙人の姿を描写したのは、事件から3年も経過した1964年2月22日。
つまり、『アウターリミッツ』や『トワイライト・ゾーン』の宇宙人が放送された後なのです。特に、『アウターリミッツ』
の宇宙人が放送されたのは証言の僅か10日前。
ヒル夫妻は「その手の番組は見た事もない」と証言しておりますが、円盤を目撃した体験を持ち、宇宙人にさらわ
れる悪夢を見る人がこの手の番組に興味を持たない方が不自然な気がします。しかも、アメリカでも3つしかTV
チャンネルが無かった時代、全くこの手の番組に触れなかったとは言えないのではないかと思います。少なくと
もバーニーは『アウターリミッツ』を見たのではないでしょうか。そう思わざるを得ないほど、『アウターリミッツ』宇
宙人は見かけだけでなく、その言動も「ヒル夫妻事件」の宇宙人にそっくりなのです。
また、ヒル夫妻は「事件に遭う前は円盤だの宇宙だのには一切興味が無かった」と言っておりますが、実はベテ
ィーは1961年以前もしばしば空飛ぶ円盤の話をしていました。その中には「1957年にベティーの姉妹が円
盤を目撃した」と言う話も含まれておりました。元々ベティーは「円盤だの宇宙だの」に対する興味が深かっ
たのです。1954年には「宇宙人が人間をさらって人体実験をし、記憶を消す。体験者はその後『空白の時間』に
気付く…」と言う内容の映画(『Killers from Space』)が公開されています。ヒル夫妻事件との共通点に興味が湧
くところです。もしこの映画をベティーが観ていたとしたら、「体験談」の下敷きになった事はまず間違いないでし
ょう。
そして、当初ベティーは「宇宙人は背が低く、黒髪で、ジミー・デュランテ(有名なコメディアン)みたいな鼻をして
いた」と描写していました。ベティーの言う宇宙人は、赤毛のアイルランド人風であったり、ナチスの様な軍服を着
ていた事もあるそうな…。
〇逆行催眠の真相
ヒル夫妻の依頼を受けたサイモン博士は、1963年12月14日から半年かけて、何回ものセッションを行いました。
逆行催眠と聞くとオカルトチックに感じますが、本を読む限りごく真っ当な催眠療法(Hypnotherapy)を施したに過
ぎない様です。
その結果、ベティーの方が暗示にかかりやすいと感じられ、バーニーに影響を与えているのはベティーである事
が明らかになりました。バーニーの体験はベティーの体験談には出てくるのに、逆のパターンは殆どなかったの
です。夫婦のドライブは共通の体験でしたが、アブダクションの体験はそうではなかったのです。
サイモン博士はアブダクション体験はベティーの単なる夢だと判断しました。節々のディテールは、すべ
て幼少期から現在に至るまでの、ベティーの無意識下における葛藤・悩み・願望などのシンボルであることが明
らかだったからです。
二人が語った体験談は、ベティーが自分の見た悪夢を書き留めた「夢ノート」の内容そのままでした。そ
れまで幾度も幾度もベティーはバーニーに「夢ノート」の内容を聞かせていたので、催眠下で二人の体験談が一
致したのも当然でした。ベティーに対して常に受身的だったバーニーは、アブダクションを現実のものとして潜在
意識下に受け入れたのです。(催眠下での宇宙人の描写にバーニーのオリジナルが入った事は、バーニーと同
じくカミサンに頭が上がらない私にとっては、色んな意味で興味深いですね…。バーニーも少しは旦那の意地を
見せたって事でしょうか?)
ベティーによる宇宙人の描写が脈絡無くコロコロと変わった点も、宇宙人がベティーの悪夢の産物と考えれば納
得がいこうと言う物です。
結論 サイモン博士は、『ルック』誌編集者のインタビューで「ヒル夫妻は宇宙人によって誘拐されたと信じますか」と訊
かれた時にこう答えました。
「いや、全く信じていません」 簡潔に言うと、「ヒル夫妻誘拐事件」は誤認・幻覚・妄想・尾ひれの積み重ねで出来上がったハナシでした。
ベティーがその中心人物ではありましたが、彼女には罪はありません。
よく指摘される点ですが、黒人差別が合法な州がまだまだ多く存在した当時のアメリカで、黒人の夫と白人の妻
は奇異な存在として見られており、ヒル夫妻には相当なストレスがあったと容易に推測できます。(ヒル夫妻は夫
婦揃って全米黒人地位向上委員会のメンバーとして活動していました。)サイモン博士によると、ベティーはどち
らかと言うと孤独で辛い子供時代を過ごしたそうで、彼女が子供の頃にひたすら読書をしていたのは葛藤や憂
鬱から身を守る為にファンタジーの世界に没頭していたのだと分析されました。
―その延長線上に、アブダクションの悪夢があったのです。
事件後、ベティーは「10回外出すれば8回か9回は”お友達”(宇宙人のこと)に会う事ができる」と手紙に書いて
みたり、ぼやけた光が写っているだけと言った程度の「UFO写真」を講演で披露しUFO研究家の信頼を失ったり、
自費出版した本には「100機の円盤が飛来した」とか「高速道路のトラックが浮遊した」とか妄想としか思えないハ
ナシのオンパレードを書いてみたりとややアレな方向に行ってしまったみたいです。1977年にベティーと共にUFO
探索に出かけた研究家は「彼女は着陸した円盤と街灯の区別もつかなかった」と述べております。
―でも、まあ、本人が幸せだったのならば少しは救われますが…。
(↓)晩年のベティー・ヒルさん。結構幸せそうですね。救われました。
その他
この事件がUFO業界に広く受け入れられたのは、それまで業界の主力商品だった「コンタクティー・ネタ(アダム
スキーとかの)」が嘘八百ばかりで、(一部を除いた)ファン層から見限られていた所にデビューしたからでしょう。
UFOネタの新機軸として脚光を浴び、この後UFOといえばアブダクション、アブダクションといえば身体検査、と
言う一連の流れが出来上がり、雨後の筍の如く似たようなハナシが登場しました。ネタ枯れ気味のUFO業界にと
って、救世主的なヒット商品になったのが「アブダクション・ネタ」だったのです。
共産主義に対する憎悪と恐怖がアメリカにはびこり、そしてベトナム戦争が拡大していく暗い時代背景も、誘拐
の上身体検査されると言う薄暗く陰湿なネタの流通を後押ししたのは間違いないでしょう。高尚な宇宙人が地球
人を導いてくれる♪なんて能天気な「コンタクティー・ネタ」が廃れたのは、そんな楽観的な与太話を受け入れる
余裕をアメリカの世間が失っていたからかもしれません。
また、殆ど誰も知らなかったレチクル座をUFO業界一有名な星座に押し上げ、誘拐や陰謀に手を染める陰険な
「グレイ・タイプ宇宙人」のひな型を創り、現在は宇宙人の主力を占めるまでになりました。同一規格の商品を大
量生産・大量消費する時代に「グレイ」は上手く乗っかった様に見えます。
どうでも良い話ですが、私にしてみれば、猫も杓子もグレイグレイで、トンチンカンでヘンチョコリンな宇宙人の出
る幕がなくなり寂しい限りなのですが。
ところで、ヒル夫妻誘拐事件を題材にした『中断された旅』は、日本では『宇宙誘拐―ヒル夫妻の”中断された
旅”』と言書名で出版されていますが、「宇宙誘拐」を捜査するのはやっぱり「宇宙刑事」なんでしょうか?
(オチがそれかい!!と自己ツッコミしつつ、おわり。)
『人類はなぜUFOと遭遇するのか』(カーティス・ピーブルズ著・ダイヤモンド社) 『トンデモ超常現象99の真相』(と学会著・洋泉社)
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そろそろアラ探ししても見当たらない、本当の異星人遭遇ネタが見たいと思う今日この頃。
それとも、そもそもそんなものは地球に来ておらず、私が見た灰色の円盤も、異星人の“乗り物か何か”ではなく、常識外からくる別のものなのだろうか……。
ま、70年代から90年代のUFOネタなんて、ほとんどがキワモノの類だろうけどw
2011/4/16(土) 午前 11:51 [ リットリオ ]
リットリオさん、キワモノ加減がオールドUFOネタの最大の魅力でもありますが…。私も、本当の異星人遭遇ネタを探す旅をしているのかもしれません。
2011/4/16(土) 午後 11:42
宇宙刑事・・・ギャバン?シャリバン?シャイダー?
個人的にはシャイダーの敵の歌が好きでした。
ふっしぎし〜ぎ〜まっかふしっぎ〜〜でゅわ〜〜〜♪
2011/4/18(月) 午後 10:43
私はやっぱりギャバンですね〜。
「蒸着」!!
2011/4/18(月) 午後 11:07
匿名さん、初めまして!!貴重なお話有難うございます!!宜しければ是非「コメ怖」に載せさせて頂きたいです!!お名前は伏せますので、いかがでしょうか?
2011/5/4(水) 午後 5:11
有難うございます!!早速載せさせて頂きました!!心霊系のお話も是非是非お聞かせ下さい!!またお待ちしております〜。
2011/5/5(木) 午後 1:53