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消えたイヌイット村

 
ングル全般とか、色々と「消失ネタ」を採り上げて来ましたが、カナダ北部のイヌイットの村で、村人全員が忽然と
 
姿を消してしまったと言う大規模消失事件があります。
 


 
1930年冬のある夜、カナダの猟師アーノルド・ローレントとその息子は、北空を横切る奇妙な光を目撃しました。
 
その光はシリンダー、もしくは弾丸のような形をしておりました。
 
その光は、丁度アンジクニ湖の上空を飛んでいるように見えました。
 
 
そのしばらく後、そんな事は知らない同じく猟師のジョー・ラベルが、アンジクニ湖畔にある30人ほどが暮らす
 
イヌイットの村を訪れました。
 
ジョーは村の人々とは懇意にしており、猟の途中に何度も訪問していたのですが、その時の村はいつもと
 
違う異様な雰囲気に包まれていました。―村全体が、死んだような静寂に包まれているのです。
 
人影はなく、犬の吠える声も聞こえません。家々には雪が積もり、煙突からは煙も出ておりません。
 
ジョーは大声で村人を呼ぶも、答える者はおりません。
 
 
ジョーは手近な小屋の入り口に架かったカリブーの毛皮をめくり、中に入りました。そこには、火にくべられた
 
格好で放置された、食べ物が入ったままの鍋がありました。小屋の中にも人の気配すらありません。
 
まるで、食事の支度の最中にちょっと外出したかのようでした。しかし、壁に立てかけられたままのライフル銃
 
を見たジョーは、これはただならぬ事が起こっていると察知したのです。
 
イヌイットの男たちが、ライフルを置いたまま外出する事などありえないからです。
 
イメージ 5
 
イメージ 6
 
戸外に出ると、ライフルと同じく大切な犬たちが、鎖につながれたまま餓死しており、移動手段として欠かせない
 
橇も放置されたままでした。
 
なおも家々を調べて回ったジョーは、縫い物の最中にふと傍らに置かれたように象牙の針が刺さったままの
 
毛皮の服や、湖岸につながれたまま朽ち果てた三艘のカヤックを見つけました。内一艘は、族長のものでした。
 
イメージ 7
 
ライフルや犬、橇やカヤックを置いたまま全員で村を空ける事など考えられない。
 
ジョーからの通報を受けたカナダ騎馬警察(Royal Canadian Mounted Police=RCMP)は、詰所がある
 
チャーチルの町から調査に向かいました。騎馬警察は広範囲にわたる捜索活動を行いましたが、村人
 
たち発見する事は出来ませんでした。ただ一つ判った事は、残された穀物の状態から、村人は2ヶ月ほど
 
前に姿を消したと思われる事くらいでした。
 
 
いや、もう一つ、奇妙な事実が発見されておりました。
 
村の墓地が全て暴かれており、凍てついた大地の下に埋葬された遺体が一つ残らず消えていたのです。
 
白熊などの動物が遺体を漁ったのではないことは明白でした。何故なら、墓石が綺麗に二列に積み上げられ
 
ていたからです…。
 


 
(↓)事件が起こった場所はこちら。
イメージ 2
 
イメージ 1
チャーチルからアンジクニ湖まで直線距離で約500Kmもあります。
 
まさに、地の果てですなぁ。イメージ 3
 
 
さて、謎が謎呼ぶこの事件。
  
事件の真相については、時空の裂け目に落ちたとか、UFOにさらわれたとか、色んな説が飛び交っております。
 

 
しかしながら、王立カナダ騎馬警察は、HPの中で事件を完全否定しております。
 
それによると、1930年のイヌイット村集団失踪事件は、フランク・エドワーズが『Stranger than Science』と
 
言う本の中に書いた話に尾ひれがついて広まったものだが、そんなもんは事実無根であると。
 
だいたい、そんな場所にイヌイットの村など最初から存在せず、騎馬警官や地元の猟師、宣教師の誰もそんな
 
話を記録していないと主張しております。
 
 
イメージ 4(←)フランク・エドワーズは元ラジオアナウンサーで60年代にはテレビの
 
解説者や新聞のコラムニストを務めた著名なジャーナリストです。
 
超常現象研究家としてUFO業界なんかでも有名人なのですが、
 
ガチガチのビリーバーで、自分に都合の良いビリーバー系の意見しか
 
取り上げないのが玉に瑕。
 
つまりは、アメリカ版ミステルと言った感じのお人なのです。
 
「政府の隠蔽工作」を発想した最も初期の一人で、逆に言えば、自説に
 
都合の悪い事は全て「政府の隠蔽工作」にしてしまう癖があります。
 
 
『Stranger than Science』はフランク・エドワーズがラジオアナウンサー時代に担当していた「世にも不思議
 
な物語」という番組のために収集された謎の出来事をまとめたものだそうで、恐らく放送作家もしくはエドワーズ
 
本人が伝聞を脚色したり、時には完全に創作したりしてネタ作りをしていたものと思われます。
 
エドワーズがラジオアナウンサーだったのは1920年代〜だったそうなので、1930年に起こったとされるこの
 
事件は、たぶん「最新のネタ」として採り上げられたのだと思います。
 
 
同書は、『ストレンジ・ワールド Part1』(中場 一典 、今村 光一訳/曙出版)というタイトルで邦訳もされておりま
 
すが、目次をみて見ると、心ときめく、見るからにインチキくさいネタが並んでおります。
 
曰く「消えたデビッド・ラング氏の霊界からの声」
曰く「半世紀早く無線電信を発明した男」
曰く「鯨の胃袋から生敢還した男」
曰く「未知の怪獣と"悪魔の足跡"」
曰く「何千年も生きていた化石」
曰く「巨大海獣と消えた船の謎」
 
その中で、このネタは「突然姿を消した30人のエスキモー」となっております。
 
この辺は時代を感じる部分で、「エスキモー」の呼称は差別的だとして、カナダのエスキモー民族が「イヌイット」
 
を自称し始めたのは1970年代くらいからだそうです。
 

 
さて、どうも冒頭の「謎の光」云々は後から付けられた尾ひれのようです。エドワーズが最初にこの話をラジオ
 
で採り上げた時にはまだ空飛ぶ円盤だのUFOだのの概念は無かった頃です。後年、UFOビリーバーさん
 
たちが「こうすれば、大量アブダクション事件っぽくなるじゃん」と、とって付けたものではないでしょうか。
 
同じく、遺体が消えていたというのもオリジナルにはなかったようです。
 
 
村の人口を1,200人とするパターンもあります。しかし、1,200人てあなた、チャーチルの町でさえ、人口923人
 
ですぜ(2006年)。いくら何でも、イヌイットの村に1,200人は多すぎでしょう。これは尾ひれと言うより、より
 
ショッキングに見せたいという過剰演出の類でしょうね。過剰すぎてかえってリアリティーがなくなって興醒め
 
になってしまうという、オカルト与太話が陥りがちなパターンです。
 
 
また、火にくべられたままの鍋とか、縫いかけの毛皮とか、日常の生活から突然ふいといなくなった的な
 
ディティールはこの手のネタの常道でもあります。「食卓にはまだ湯気の立つコーヒーが置かれていた…」
 
とか、良くある話です。
 

 
と言う訳で、これもどうやら単なる与太話だったようなのですが、そんな与太話を集めた『Stranger than 
 
Science』は全世界で100万部以上売れたそうで、エドワーズさんがガッポリ儲けた事だけは真実のようです。
 

『世界の不思議・超常事件』(関楠生/同文書院)
 

 
 


 
 
 
 
 
 
 

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閉じる コメント(12)

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この話は初めて聞きました。そんな大人数が実際に失踪したら大事ですね。「謎の光」というところもベタな感じだなぁ

あ、プロフィールの画像がバッキーに戻ってますね。
次はベルメスの顔あたりになるんじゃないかと予想。

2012/4/26(木) 午後 9:14 [ - ] 返信する

ちょっと期待したのに・・・
やっぱり作り話でしたか
肘を立ててるところがむかつく!

2012/4/27(金) 午前 0:01 悟 返信する

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私も曙出版のストレンジ ワールド、全巻読んだアホの1人です。この話も、オカルト好きで知らない人は居ない程、有名な「古典」ですよね。同様な集団失踪物では、第一次大戦時のノーフォーク連隊消失やロアノーク島での移民消失話が妙に記憶に残って居ります。筋の通らない、意味不明で不気味な雰囲気に惹かれるのかも知れませんね。このフランク・エドワーズ氏、その実績からして我等がミステルの「師匠」と呼んでも良いのでは?と思って居ります(=^x^=)。 削除

2012/4/27(金) 午前 1:47 [ そまりん ] 返信する

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giu**さん、なかなか通好みのネタをご存知ですね!!

2012/4/27(金) 午後 10:20 TO7002 返信する

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悟さん、何となく憎めない顔ですね。

2012/4/27(金) 午後 10:21 TO7002 返信する

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そまりんさん、この手の本は、ウソかホントか判らないところが醍醐味ですが、子供の頃はやっぱり信じちゃうんですよね〜。
私もそうでした…。

2012/4/27(金) 午後 10:22 TO7002 返信する

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個人的には異空間移動ネタや謎の消失事件は実際にあった出来事があってもいいんじゃないか? と、思うところではあるが……。

しかしこういう子供のころ不思議不思議とワクワクさせられた話が、金稼ぎの与太だったという真実に気づいたときの“ワクワク感の消失”は紛れもなく本当の事だと思う。

2012/4/28(土) 午後 8:51 [ リットリオ ] 返信する

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お久しぶりです。

色んなネタがあるんですね〜
世の中の不思議な事件の半分は、こうした与太話なのかもしれませんね 削除

2012/4/28(土) 午後 10:20 [ ラルフ ] 返信する

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リットリオさん、子供の頃ワクワクした不思議な話の真相を調べるのも、同じ位ワクワクします!!
たとえそのオチが与太話であっても…( ; ; )

2012/4/29(日) 午後 11:36 TO7002 返信する

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ラルフさん、今の所、不思議事件の大多数は与太か勘違いですが、1万個の与太話の次の1万1個目は本物かもしれません。いつか本物に巡り合える日を夢見ています。

2012/4/29(日) 午後 11:39 TO7002 返信する

オレのお気に入りのTシャツや長年愛用のジャケットなどが
いつの間にか消えていました。。
これはUFOの仕業でしょうか???
スリ切れていたりすごく汚かったりしたものばかりです。。

・・・

不思議に思っていると、妻が・・・

「いつまでもあんなみっともないもの着てないでよ!」

2012/5/1(火) 午前 9:25 ☆かっちゃん☆ 返信する

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かっちゃんさん、奥さんがアブダクトしてたんですね〜。
私も、おパンツがみな耐用年数オーバーになってきたので買いに行ったのですが、最近はみんなトランクスばっかりで1枚も入手できませんでした…。(TO=ブリーフ派)

2012/5/1(火) 午後 7:52 TO7002 返信する

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