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お連れ様

お客さん商売に携わる人間が、裏でお客さんの事をあれこれ話の種にするのは余り良くない事ですが、

そうは言っても、こちらも人間。営業マンの飲み話の定番の一つは「こんな変な客が居た」系の話です。

先日、他販社の人達と飲む機会があったのですが、やはりその様な話で盛り上がりました。

そこで聞いた話です。


来店したお客様を出迎えた営業マン。高級車から降りてきたのは、でっぷり太った中年男性。

展示場を案内していると、いつの間にか、その男性の傍らに女性がいる。

ギラギラした感じの男性に対して、痩せぎすで顔色も良くない中年女性です。

『奥さんが一緒に来てたのか。何か、苦労してそうな人だなあ…。』

営業マンは、何と無く話かけ辛い雰囲気の女性なので、男性とばかり話していました。

その女性は、少し離れた所に立ち、ぼんやりと二人の遣り取りを見ています。


車の説明が終わり、ではご試乗を…。となった時、その女性の姿が無い事に気付きました。

「あれ?お連れ様は?」と聞く営業マンに、男性客はぎくりとして言いました。

「連れなどおらん…。いや、君には見えたのか?どんな奴だった?」

妙な事を言うな、と戸惑いながら女性の特徴を掻い摘んで説明します。

それを聞いた男性客は、やにわに携帯を取り出し、少し離れて行き、何処かへ電話を架けました。

「…また…じゃないか!…効果が無いぞ…。」何かクレームをつけている様子です。


電話を終えた男性客は、「また、来るわ。」と言い残し、帰って行ったそうです。



また来て欲しくないですね。

貸店舗 【了】

拝み屋さんは、お祓いは無事済んだと言いました。

Aさんは、「やはり、亡くなった最初の店主の霊でしたか?」と聞くと、拝み屋さんは

「いえ、その店主の方には間違いありませんが、亡くなってはおりませんよ。生霊です。」

意外な言葉に、Aさんも不動産屋さんも唖然とします。

「その方は、今も存命でそう遠く無い処に住んでいます。」と拝み屋さんは続けます。

「では、この物件に恨みがあって…?」との不動産屋さんの問いには、

「いえ、そうではなく、普通に幸せに生活していらっしゃいます。」と答えます。

「只、無意識の内に、自分の病気で商売が上手くいかず、事件も起こし、家族にも迷惑を

掛けたと深く後悔し、自分を責め続けています。その念が現れておりました。」

Aさん達は、そんな事もあるのか、と感嘆していると、拝み屋さんは更に続けます。

「しかし、その方の病も、自殺未遂も、生霊となったのもその方の責任ではありません。」

驚く二人に拝み屋さんは言いました。

「ここには古い獣の霊が憑いておりました。それの仕業です。今回、祓っておきましたが。」

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