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数万人の目撃者と、レーダーの記録、数々の写真…。これほど物的証拠の揃ったUFO事件も 珍しいかも知れません。思わず謎の物体の飛来を信じてしまします。 ところが…。 ブログで記事にしようと色々調べたら、残念な事に、この事件もネタが割れてしまいました。 本当に「謎の物体」は飛んではいたのですが…それは少なくとも宇宙人の乗り物ではありませんでした。 取り急ぎ、掻い摘んでご説明します。 まず、この事件の予兆と言うか、前触れになる事件がベルギーのオランダ語圏で発生しました。 (ご存知のように、ベルギーは北部のオランダ語圏と南部のフランス語圏に分かれており、両者は 余り折り合いが良いとは言えません。) これは、やはり空軍機が飛ぶ程のUFO騒動だったのですが、結局、ディスコのライト・ショーが雲に 映ったものと言うオチで決着しました。 しかし、この一件でベルギーのオランダ語圏では一種のUFO熱が高まった事は事実でした。 (因みに最初の目撃のあったオイペンはオランダ語圏です。) それに触発されてか、ブリュッセルに本籍があるモーター付き飛行船を所有する男が 悪戯で自分の飛行船に細工をし、ベルギーの空に放ったのです。 (当時、目撃報告の中にも飛行船の誤認を思わせる事例は多々あったのですが、UFO熱に 押されたのか、飛行船説は通説にはならなかった様です。) 事実この男は、ベルギー空軍に「UFOの出現する場所と時間を教えるので100万ドル払え」と要求したり、 事が判明しております。 そして、空軍から要求を撥ねられると、「私は無関係だ。何もやっていない」と言い始めます。 (ベルギー事件の飛行船説に合致する飛行船は、当時のベルギーには一機しかなかった為、 地元のUFO研究者はうすうすその男を疑っていたそうです。) さらに、数々のUFO写真ですが、SOBEPの調査・検証により、殆ど全てが航空機のライトか、 惑星か明るい恒星もしくは、光学的現象と判明しました。 中には勿論「本物のUFO写真」もありましたが、それはあくまで例の飛行船を写したものでした。 また、ブリュッセルの人が撮影したというビデオも、ザベンテム空港に着陸する普通の飛行機だった事が 明らかになりました。 そして、ベルギー空軍のスクランブルの顛末ですが、先の記者会見は後に空軍自身によって訂正されました。 発進したF16のパイロットは、いずれも物体を目視できなかった。 従ってこれは、レーダー上だけの異常であるが、 軍による詳細なレーダー記録の分析によれば、 未確認物体のロックオン13回のうち3回は誤って他のF16をロックオンしたものであって、 残りのロックオンおよび異常な機動は、レーダー波の屈折で生じた「グラウンド・クラッター」(地上にレーダー波が反射し、実在しないレーダー・コンタクトが出たりする事)であって、異常な事はなかった。(このコメントに対し、国民や議会からは「そんな性能の悪いレーダーを使うな!!」と非難が沸き起こっ たとか。お陰で、ベルギー空軍のレーダーは最新式の物に置き換えられたそうです。) さらに、UFO騒ぎに乗じて、NATO各国の空軍がECMの訓練・無人機のテストを行ったものだから さあ大変。余計にUFOの目撃や異常なレーダー・コンタクトが増えていきました。 先のF−16のスクランブルにしても、ECM訓練の標的にされたか、または自前でECM訓練を行って いたという可能性もあります。 因みに、ベルギー空軍でもUFOフラップに乗じて各種訓練・実験を行ったのは確かな様です。 これについては、1996年12月17日に国防大臣ジャン・ポール・ボーンスレに対し、下院議会に質問書 が出されています。 「真相解明すべき空軍が、UFOフラップにかこつけて国民不在の実験をやるとは如何な物か」 という趣旨です。 退役少将などが中心になって軍部の恥部を暴くという形の問題提起でした。 まあ、普段国民の目に触れさせたくない訓練や実験を、UFOの尻馬に乗ってやってしまおうというのは 判る気がします。目撃されても、向こうは勝手にUFOだと思ってくれるのですから。 特に、時期としては湾岸戦争の開戦直前です。平時よりも活発に訓練行動がとられていたと思われます。 (開洋丸事件の時もそうですが、ホントに軍隊って抜け目がありません。) 最初の目撃のあったオイペン近郊の軍事基地と言うのは、イギリスから派遣されたAWACS (早期警戒管制機)のベースであったと言う事も十分に関係している様です。 と言う訳で、この事件の面白い所は、色々な要因が重なって、ひとつの「UFOフラップ」と言う事件が 出来上がったと言う点です。 そして、毎度この様な事を調べていて思うのが、日本で出版される「UFO本」等は総じてネタが古く、 後追いの情報が供給されていないと言う事。 例えば、先述した空軍の訂正会見や、悪戯飛行船の話などは殆ど載っておりません。 また、過大な表現や意識的に情報を省いていたりと、UFO=宇宙人の乗り物にミスリードさせよう とする魂胆が見え見えで、読んでいて余り面白くないです。 (例えば、「数万人が目撃」と言うと、みんなが同時に見たように思いますが、決してそうでは無かった のです。) どうせ書くなら、UFOでは無い可能性を徹底検証して、それでもなお謎が残る事件を「真のUFO事件」 とすれば良いのにと思ったりします。そっちの方が余程読み応えがある様な気がしますが。 おっとっと、私はそんな偉そうな事を言える立場じゃないですね…。 【2011.8.10追記】 有名なこの写真ですが、パトリックと名乗る当時18歳だった男が、友人数人と作って撮影した発泡スチロ ール製だったことをベルギーのテレビで明かしました。 パトリックたちは、数時間で発泡スチロールUFOを作り、その晩のうちに吊るして写真を撮って発表した そうです。 「人をだますのは簡単だ。こんなガラクタみたいな物を使ってもね」と語るパトリック氏。 (参考)【AFP BB News2011年07月27日】
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