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ニュースになった怪談 【旧軍・在日米軍・自衛隊編】と言う過去記事に、 「1973(S48)年6月 伊豆七島新島の旧海軍墓地(基地ではなくて、墓地=ぼち)で、都立新島高校の教 諭がどこからか流れてくる行進曲の演奏を聞いた。生徒達には何も聞こえなかった。(週刊大衆)」 と書きましたが、この件について、もう少々詳しく…。 (先日の「二十五日様」調べの余禄です。) 「新島 怖い話」などで検索すると、新島の海軍墓地に纏わる怪談にいくつもぶち当たります。 その中でも「旧海軍のマーチが聞こえる」と言う話は幾つかのバリエーションを展開し、ご当地の怪談の 中核となっている様です。 また、「旧海軍兵士が隊列を組んで歩いていた」「海軍墓地の近くで写真を撮ったら、旧軍の兵士が写り 込んでいた」などと、「旧軍系怪談」では定番となっている体験談が一通り出揃っております。 さて、この怪談の発生源となっていると思しき「海軍墓地」。 何故、新島に海軍の墓地があるのか? ちょっと興味を持ったので、調べてみました。 伊豆諸島・新島の海軍墓地。 そこには、1隻の輸送艦に纏わる悲劇が葬られておりました。 昭和20年2月16日夕刻。1隻の輸送艦が新島沖を航行しておりました。 艦名は「第16号輸送艦」(艦長・小林正夫少佐)。敗色が日増しに濃くなり、本土近海でも制空権は危うく、近海の輸送任務とは言え、決して安全な航海ではありません。 しかし、この「第16号輸送艦」は、敵勢力圏内での輸送任務を果たす為に建造された「一号級一等輸送艦」の1隻で、「強行輸送艦」と呼ばれる、言わば「戦う輸送艦」です。 敵航空兵力に対抗する為、40口径12.7cm連装高角砲1基・25mm3連装機銃3基・25mm連装機銃1基・25mm単装機銃4挺と言う、輸送艦にしては強力な対空兵装を備えておりました。 「第16号輸送艦」は、昭和19年12月31日に横浜の三菱造船所で竣工し、翌年1月19日から実戦に投入されておりますので、それから僅か1ヵ月後の事です。「第16号輸送艦」は硫黄島に物資を運んだ帰路、父島に寄港し、母港・横須賀を目指しておりました。 そして、新島沖を通過中に、約80機と言う米艦載機F-6Fの大編隊と遭遇します。 F-6Fは戦闘機なので、この時は爆弾などは積んでおりませんでしたが、1機あたり6門も装備する 12.7mm機銃が「第16号輸送艦」に向かって火を噴きます。 執拗に機銃掃射をかけてくる敵大編隊と渡り合い、必死で応戦する「第16号輸送艦」。 対空機銃で7機を撃墜するも、いかんせん敵の数が多過ぎます。 高角砲が使用不能となり、操舵装置も効かなくなったところで、戦闘能力を失いました。 記録では、戦闘は40分に及び、その間「第16号輸送艦」につけられた弾痕は1000を超えたそうです。 「第16号輸送艦」は戦死者23名・負傷者71名の被害を出し、戦死者は新島に葬られました。 戦死者の中には、若年者も多く居た様です。 戦死者達が埋葬された場所が、新島の海軍墓地なのです。 今でも、新島では代々海軍墓地の墓守を務める家があり、また、ボランティアの方々によって清掃・供養 が為されています。 遺族会もあり、戦死した方々の遺骨の中には、戦後に遺族に引き取られた柱も多かった様です。 海軍墓地は、慰霊の地であると同時に、平和を祈念する場所でもあると、地元紙には書いてありました。 ↑「一号級一等輸送艦」 また、現在でも新島沖では定期的に不発弾の捜索・回収が行われていると言う事実からも、この戦闘の凄 まじさが偲べます。 ちなみに、新島のメイン・ビーチである前浜では、バーベキューや花火などの裸火は禁止されているので すが、これは、砂浜にも不発の機銃弾が残っている可能性を考えての事だと言う噂もあります。 さて、戦後60余年を経た現在。 新島でも、この「第16号輸送艦」の悲劇を知る若い人は多くはないそうです。 沖に戦艦が沈んでいる…と言う根拠のない話が海軍墓地の曰くとして語られたりもしているそうです。 (蛇足ですが、「第16号輸送艦」はこの戦闘では沈没せず、戦後は復員船として活躍し、その後戦後賠償 の一環として、中国に引き渡されています。) 取り敢えず平和な日本に、かつての悲劇を忘れさせない為、マーチと共に現れる霊…。 ―と言うのは、少々考え過ぎでしょうか? 「志願兵壇上に立ちぬ戦闘帽稚くかむりし末弟を見ゆ」小此木とく子 【本文とは関係ない話】 新島の怪談については、稲川淳二さんなどもネタとして語っておられますし、他にもDVDや怪談本など、 様々なメディアに採り上げられています。 しかし、どれもこれも、「怨霊の島」だの「水兵の霊に取り憑かれた島」だの、センセーショナルなのは 良いが、島の方々や、戦死した犠牲者の方々には甚だ心外だろうと思われる煽り文句が書き立てられてお り、少々違和感を感じた次第です…。 (余り人の事は言えませんが…)
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