大阪弁の彼は一日延泊して湖を周遊するらしい。俺らは電車でグリンデルワルトへ。インターラーケンから約1時間で着いた。この間、ホリデーC(*1)でタダ。 i(*2)で宿をとって貰う。一泊60〜70で三泊したいと言ったら、Alpen Blickと言うのをとってくれた。宿に荷物を置いて、駅前のハンバーガー・ショップで昼食。ウェイトレスの女の子が、可愛くて親切だった。 リフトでフィレストまで登る。ホリデーCでSFr13.6。ヨーロッパ最長と言う触れ込みのリフトで、アイガーの壁を望みながら登る。連なる4,000m級の山々の峰を眺め、氷河は淡い水色で谷間を流れている。頂上に着くと、そこはなだらかな起伏の草原だった。 iで買った地図を頼りに、カールの底へ抜けるハイキング・コースを下る。 途中の小川のせせらぎをすくい、紅茶を淹れてのんびりとティー・タイムとしゃれこむ。 眺めおろすカールの底にはグリンデルワルトの村。その向こうにはアイガー北壁。 ―この壮大な遠近感は何なんだ!! 稜線を歩くハイカーはまるで宙を歩くように見える。 草原の道をしばらく行くと、樹林帯に入った。途中の山小屋で山々をみながらコーラを飲む。 オレンジ色のパラシュートがゆっくりと村にむけて降りていく。そのパラシュートが着地した頃、俺らも出発。木陰の道を30分も歩くと、グリンデルワルトに着いた。 COOPで買出しして、宿に戻る。シャワーを浴びた後、テラスでビール。アイガーを眺めながら。 青かった空が、だんだんと群青になっていくのにつきあっているのか、白と灰色だったアイガー北壁は、桃色に染まっていた。アイガー北壁は、女なんだと確信した。 ジョッキが空くと、宿のネーちゃんが愛想良く注文を取りに来る。2杯目を空けてしばらくすると、ドイツ人のおっさんが来た。3人でビールを飲みながら話す。ドイツ語は全く解らないが、なんとなく通じて寒いながら楽しいひと時を過ごす。彼はドイツ軍の兵士。一杯飲んだ後、夜の街に突撃して行った。 しかし、カゼが本格化し、腹具合も良くない。今日はふかふかのベッドでゆっくり休もう。 水島はもう寝てしまった。明日、天気さえ良ければヨッホまで行く。 HOTEL ALPEN BLICK 15号室にて。 (*1)ホリデー・カード。何度か出てきましたが、解説が遅くなりました。スイス国内の鉄道他の交通機関が一定期間乗り放題(もしくは割引)になるパスです。私が買ったのは、一ヶ月パスだったと思います。日本で買えます。 (*2)インフォメーション(=旅行案内所)の勝手な略。ヨーロッパ各国、ちょっとした街の駅前にほぼ必ずあり、世界各国から呼んでもないのに押し寄せてくる(主に貧乏)旅行者相手に様々な情報を提供し、便宜を図ってくれる、有り難い存在です。これなくしては、貧乏旅行者はお手上げになり、はっきり言って「地球の迷い方(*3)」の数百倍は役に立ちました。副次的効果として、貧乏旅行者同士の情報交換の場としても機能していました。 (*3)正式名称『地球の歩き方』。今や単なる海外旅行ガイドブックと化していますが、当時は貧乏旅行者向けの、貴重で、思わずそこに行って見たくなる、しかし主観的で不正確で傍迷惑な情報が満載の、魅力が溢れすぎていた本でした。別名『地球の這いずり方』。 蛇足ながら、対抗馬として、『自由自在』がありましたが、こちらは当時にして、かなり真っ当だった印象があります。なのに何故か我々は、この『地球のトンでもない目にあい方』を愛用していたのです。 しかし、このアルペン・ブリックと言う宿は、最高でした。 家族でやっているらしいのですが、アットホームで、オネーチャン(と言っても当時の私と同い年位)は ブロンド美人で優しいし、料理は美味いし、お布団フカフカだし。 最大のおまけに、目の前アイガーだし。 駅から若干遠いのが欠点でもあり、良点でもあります。
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