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夜駅奇譚

ある鉄道会社のHさんから聞いた話パート2です。


今は、ベットタウンとして発展しており、駅ビルも立派なD駅ですが、その昔は、山裾の田舎駅でした。

当時のD駅は無人駅でしたが、駅前の食堂のおじさんとおばさんが駅業務を委託されておりました。


D駅は、ある山の登山口に近く、夏のシーズンになると、登山客で賑わったものです。


D駅に下りの最終電車が着くと、登山客が数人、大きなリュックを背負って降りてきます。

夜間登山の人達です。今から登り始めると、丁度頂上でご来光が拝めるのです。


そんな時、電車から降りてきた人が、「今、目の前で人が消えた」と訴える事がしばしばありました。

前を歩いていた登山客がぱっと消えたとか、振り向くと、後ろを歩いていた人が居なくなっていたとか。


しかし、今と違って、どこからでも駅構内に出入りできた時代です。

おじさんはキセル客でも出たのだろうと思っておりました。


ある夜、野良犬が騒ぐので、おじさんが不審に思い、出てみると、終電の終わったホームに人影がある。

近づくと、ぼろぼろの登山客が一人立ちすくんでいました。

髪はぼさぼさで、顔には乾いた泥がこびりつき、服も泥だらけです。


それは、数年前に山で遭難し、亡くなった男性でした


おじさんも捜索の手伝いをしたので、良く憶えています。

男性はおじさんを見つめながら、消えていきました。


おじさんとおばさんは鉄道会社と相談し、後日小さな慰霊碑を構内に建立しました。


それ以来、妙な出来事はなくなりました。

その慰霊碑は今でもD駅の片隅にひっそりと建っていると言う事です。


もう、何十年も前のお話ですが、Hさんの鉄道会社では、先輩から後輩へ、上司から部下へ、代々語り継

がれている怪談だそうです。

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