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予言者

こんなブログをやっていながら、「予言」の類にはあまり興味がなかったので記事にしませんでしたが、

「今最も旬な予言者はジュセリーノ・ダ・ルースと言う人で、何と予言の的中率は90%を超える!!

と言う話を聞きつけたので、そいつは凄いとばかりにちょっと調べてみました。

知らない私が疎かったのでしょう、TVや雑誌に度々登場し、書籍も多数出している超有名人でした。


私の様な門外漢な方の為に、簡単にジュセリーノさんの人となりと実績をご紹介しましょう。
ジュセリーノ・ノーブレガ・ダ・ルース
1960年、ブラジルのパラナ州マリンガ市生まれ。

9歳の頃に光球に遭遇後、予知夢の才能が開花。近所に住む友人の一家が交通事故で全員が死亡する夢をみる。数年後、その夢に見た通りに事故が現実に起きてしまう。
以後、世界を震撼させる自然災害や凶悪なテロ事件など数々の出来事を的中させ、ブラジル本国はもとより日本を含めた内外のメディアで大きな注目を浴びている。
現在は妻と子供4人の6人家族と共に、サンパウロ近郊のアグアス・デ・リンドーヤ市に在住。清貧生活を貫きながら、子供向けの英会話教室を営んでいる。(日本語公式HPより)

予言の方法は「予知夢を見る」と言う、比較的単純なもの。
夢の中で「助言者(神)」からの言葉・映像によって、未来の出来事が伝えられると言う事です。

予言に目覚めたジュセリーノさんは、13歳の頃から、予知の内容を当事者に知らせる警告の手紙(予言警告文)を書く様になったそうです。

(相手の住所や郵便番号などの個人情報も、「助言者」が教えてくれるそうですが、会った事も無い人からいきなり予言警告文を送りつけられた人達は、さぞや困惑した事と思われます。)

さて、驚愕の実績は…

1986年 スペースシャトルチャレンジャーの墜落事故
1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故 
1988年 昭和天皇の崩御
1994年 アイルトン・セナの事故死
1995年 阪神・淡路大震災および地下鉄サリン事件
1997年 ダイアナ后死亡
2001年 アメリカ同時多発テロ事件
2003年 イラク戦争

等を予言し、ズバズバズバと的中させたそうです。

日本でも、末松義規氏(民主党衆議院議員)・増子輝彦氏(民主党衆議院議員)・藤田幸久氏(民主党衆議院議員)など、国会議員のお偉い先生方までもが、ブログや公演、TVなどで「ジュセリーノの予言には実績がある」などと、ジュセリーノさんを持ち上げる発言をなさっております。(どうでもいいけど、民主党内にはジュセリーノ・ファンクラブでも存在するのでしょうか?)
―す、凄い!!こんな偉大な予言者が存在したとは!!


ただ、以上の予言は、全て事件・事故が起こった後に公表されておりますが…。

「何だ、予言なんて先に言わなきゃ予言じゃ無いじゃないか!!」と仰る方、もっともなご意見です

が、ここから先を良くお読み下さい。

何と、ジュセリーノさんは「予言をする度、事前に当事者(米大統領や、ソ連書記長、皇居など)

へ『予言警告文』を郵送してある」と主張していらっしゃるのです。

(少々残念なのは、当事者の方から「予言警告文を確かに受け取った」と言う証言が一切無い事です。)


では逆に、事前に公表した予言の的中実績をみると…。

2007年 元米国副大統領、アル・ゴアが2007年のノーベル平和賞を受賞…的中!!
2008年 中国で台風による大洪水により、多数の被害が出る…的中!!
    イラク北部で大きな爆破テロが発生し、百名以上が死亡…やや的中!!(場所と規模が違う)
やっぱり、凄い!!―と思いますよね、当たった奴だけを見ると


しかし…的中!!と言えるのはこれ位で、他に50件以上の予言の内容と結果を見ましたが、殆ど全て外れ

ているか、もしくは、当たって当然と思えるものばかり。

(例えば、「1997年11月25日から31日にかけての間に、東京、千葉もしくは市川で地震がある」と言った

感じの物。期間中に震度1の地震が1回でもあれば的中となります。ちなみにこの予言は外れましたが。)


また、飛行機事故を予言していた証拠として公開した「予言警告文」のコピーが、新聞の誤報の内容ほぼ

そのままだった為に元ネタがばれてしまったり、「あなたの本には南シナ海の大地震の事は書かれ

ていなかったが、あれだけの大災害を予言できなかったのか?」とのTV司会者のツッコミに対して、

「予言はしたが、本のページが足りなかったので割愛した」と、苦しい言い訳をしたりと、

ばつの悪い所も見せています。

蛇足ですが、インドネシア地震では、「インドネシア国営通信が『ジュセリーノの予言警告書を受け取っ

ていた』と公表した」との報道があったそうですが、その記事の出所があの韮澤潤一郎さんなの

で、今ひとつ信頼感が沸いてこないのが残念です。


―しかし、おかしいな…的中率90%は何処へ行ってしまったの???


考えてみれば、ゴアはもともとノーベル平和賞受賞確実と言わていたし、中国では毎年の様に水害があ

るし、イラクの爆破テロは日常茶飯事だし…と、どれもわざわざ予言しなくてもと言う内容ですね。


そんな、ジュセリーノさんですが、2006年には、「米軍がサダム・フセインを発見出来たのは私が予知夢

の結果を米軍に教えたからだ」として、サダム・フセインにかけられていた懸賞金2500万ドルを米政府に

要求するが無視され、怒って裁判を起こすなど、やんちゃな一面も持ち合わせていらっしゃる様です。




さて、最近は何か予言をしていないのかなと、公式HPの「予言集」を開いてみました。

そこには「ジュセリーノ未来警告年表」として、たった一つの警告が載っておりました。


【2009年1月以降に関する警告集 「今年の冬は昨年よりも寒くなる」 日本】


―ジュセリーノさん、それ、予言と言うより、天気予報ですよね…?
ある年齢層以上の方は良くご記憶かと存じますが、冷戦時代に、ソ連の戦闘機が函館に強行着陸する、と

言う事件がありました。「ベレンコ中尉亡命事件」と呼ばれる事件です。
昭和51(1976)年9月6日午後1時11分,航空自衛隊の奥尻レーダーサイトは北海道西方約180キロメートルのところを高度約6,000メートル,時速約800キロメートルで東進中の識別不明機を発見した。

この識別不明機に対し,1時20分F−4EJ(ファントム)2機を航空自衛隊千歳基地から緊急発進
(スクランブル)させた。

この識別不明機は高度を下げつつ更に東進を続けたので,奥尻レーダーサイトでは国際周波数を用いて,日本の領空を侵犯するおそれがあるので注意するよう警告した。

しかし,同機はそのまま飛行を続け時22分30秒,北海道茂津田岬(小樽市南西約20キロメートル)の沖合上空でわが国の領空を侵犯した。
その後,同機は針路を南方に変え,更に高度を下げたため1時26分頃各レーダーサイト(奥尻,当別,大湊及び加茂)のレーダーから機影が消滅した。

一方,千歳基地より緊急発進したファントムは,この識別不明機に接近しながら1時25分頃機上レーダーで同機を捕えたが30秒程で機上レーダーから機影が消滅した。

奥尻レーダーサイトでは,識別不明機が領空侵犯したあとも約10分間(1時22分30秒〜1時32分)にわたり,同機に対し日本の領空を侵犯していること及び同機は直ちに退去すべきであることをロシア語と英語で警告した。

また,ファントム及び各レーダーサイトは,引き続き識別不明機の捜索に努め,1時35分頃レーダーサイドのレーダーにより奥尻島東方の海上で同機を一瞬捕えたがすぐ機影は消滅した。

(中略)

その後,航空自衛隊は函館空港事務所より「函館上空をジェット戦闘機が飛行しているが当該機に関する情報が入っているか」との照会を受け,1時49分ファントムを同方向に飛行させたが,1時57分頃識別不明機が函館空港に強行着陸したことを確認したので,ファントムを千歳基地に帰投させた。
(昭和52年 防衛白書より)
函館空港に着陸したのは、ソ連空軍所属のヴィクトル・ベレンコ中尉が操るMIG−25戦闘機でした。


以上が、当時日本中を震撼させた、「ベレンコ中尉亡命事件」の概略です。

冷戦真っ只中、仮想敵国の最新鋭戦闘機が有効に迎撃される事も無く、日本本土に到達すると言う

前代未聞空前絶後の大事件でした。
イメージ 1

             ↑函館空港に強行着陸し、滑走路をオーバーランしたMIG−25


さてさて、本題です。―なんと!!

ベレンコ中尉は、実はUFOに支援されて日本のレーダー網を突破した」との説があるそうです。

「当時はレーダーに映らなくなるステルス技術などは無く、しかも、着陸したMIG−25の電子装備

は、真空管を多用した時代遅れの物で、この様な装備で堅牢な日本のレーダー網を突破する事は不可能で

ある」と言うのがその根拠とされます。

つまり「ベレンコ中尉はUFOの電磁シールド(?)に護られて、函館に到達した」との説なのです。

もし事実なら、氷川きよしが紅白の大トリをとる以上の大ニュースです。


さて、どうやら「MIGはUFOのお陰で函館に来れた説」の出所は、オスカー・マゴッチと言う人が書

いた「深宇宙探訪記」と言うノンフィクションの様です。

「深宇宙探訪記」の中巻に、超一級の殺し屋が宇宙人にスカウトされ、悪い宇宙人と戦うと言う話が紹介

されています。(ノンフィクションですよ。

この殺し屋、アンドリュースと言うのですが、007とゴルゴ13と黒木豹介が束になってかかっても敵

わないようなスーパーヒーローで、たった一人で悪の宇宙人をバッタバッタとやっつけていきます。

そのアンドリュースさんの活躍譚の中にこう言う一節があります。
1975年8月7日午前7時「バミューダ三角海域」次元間移行ゾーンでの再物質化の瞬間、敵対的な宇宙船の攻撃よりスピン・アウトしてしまったアンドリュースのUFOは、
あろうことか1976年3月という7ヶ月も未来の中国北東部「満州の窓」吉林付近に弾き飛ばされ出た。
瞬時に反撃し相手方を爆破した反動で、今度はさらに「満州」の移行の窓に戻され1976年9月6日午後1時過ぎの日本海上空に出てしまった。 
そこでアンドリュースは1機の戦闘機と遭遇する。UFOの知性は、すぐにこの戦闘機が、日本に亡命しようとしているということをアンドリュースに示すと、彼は、自衛隊機のスクランブルを回避し、パイロットが無事に亡命着陸ができるように、その地域内のレーダーを無効化し、追跡機もかく乱させて、ミグの上空を守るように飛行を伴い(保護フィールドを張って牽引して行った)
結果、安全に函館空港に着陸させたのだ。
ノンフィクションです。言ってる事が良く判りませんが、まあ、そう言う事らしいです。

事の真相は、地球人の殺し屋が操縦するUFOがソ連の戦闘機を支援して函館に連れて来た、と言う少々

ややこしい話なのです。

しかし、敵との戦闘の真っ最中に人助けをするなんて、なんて親切な殺し屋さんなんでしょうか。

余計なおせっかいと言う気がしないでもないですが。

念の為繰り返し申し上げておきますと、この「深宇宙探訪記」ですが、SFやスペースオペラではなく、

ノンフィクション」として出版されています。

この話は、事実なのです!!(少なくとも、書いたマゴッチさんは、そう思っています。)



この説、是非事実であって欲しいのですが、残念ながら、その可能性は薄そうです。

ぶっちゃけて言うと、ベレンコ中尉が函館に到達できたのは、

当時の日本の防空網は巷で言われる程には優れていなかったから」と言うだけの話なのです。

MIG−25が低高度に移行すると、地上レーダーからはレーダー波の領域外になり、探知できません。

迎撃にあがったF−4EJの機上レーダーは「ルックダウン能力(低高度の目標の探知能力)」が低く、

低空で飛行するMIG−25は海面のレーダー反射に紛れてしまい、捕捉出来ません。

ベレンコ中尉はその隙を突いたので函館までやって来れたのです。

わざわざUFOの力を借りなくても突破出来る程、日本の防空体制は脆弱だったのです。
イメージ 3

                         ↑ベレンコ中尉の飛行ルート


また、「時代遅れの真空管」と言う批判もそう当たってはおりません。

真空管を使ったのは、先進性より信頼性を優先させた結果であり、

また、核爆発時に発生する電磁パルスに対する耐性を重視した為です。

実際、MIG−25のレーダー出力は極めて大きく、敵の電子妨害などにも十分に対抗できるものだった

のです。


また、函館空港に着陸する前にベレンコ中尉は3回函館市上空を旋回し、空港管制官をはじめ多くの市民

に目視されていますが、UFOが一緒に飛んでいたと言う証言はなく、空港の工事現場で着陸の一部始終

を撮影していた現場監督もUFOを見たとは言っておりません。

そして、事件後出版されたベレンコ中尉の手記にも、残念ながら「UFOに助けて貰った」とは一言も書

かれておりませんでした…。


ちなみに、「航空自衛隊は何やっとんじゃ!!」と、世論に叩かれた政府は、レーダー網の脆弱性をカバー

する為、早期警戒機導入を決定。

「空飛ぶレーダー」グラマンE−2Cホークアイをアメリカから買いました。

また、F−4のレーダーを最新のモノに更新し、ルックダウン能力を強化します。

同時に「バッジシステム」と呼ばれる防空システムを刷新し、より効率的な運用が可能になりました。

実は、航空自衛隊としては前からやりたかった事ばかりなのですが、「そんなモン、後でいい」とお上か

ら言われ、なかなか予算化出来なかったのです。

正に日本らしい泥縄な対応ですが、ベレンコ中尉のお蔭で、日本の防空システムが近代化されたと言う、

ちょっと皮肉な結果となりました。
イメージ 2

↑ベレンコ中尉。事件後、本人の希望通りアメリカに亡命。亡命の動機は、軍での待遇の不満と険悪な夫婦仲だったそうです。

ともあれ、UFO云々は兎も角、やってきたのが核爆弾を積んだ爆撃機でなくてホント良かったです…。

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