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水をくれ…

もう、転職してしまったのですが、Y君と言う営業マンがおりまして。

Y君が沖縄で体験した話を一つ。



軍事オタクのY君ですから、私服も迷彩柄やオリーブ色の、野戦服みたいなものしか持っておりません。

そんなY君が、沖縄旅行に行った時も、何処かの兵隊みたいなカッコでうろつき回っていたそうです。


ある晩、Y君が泊まっていた民宿での出来事。

真夜中に喉が渇いて目が醒めたY君ですが、生憎ミネラル・ウォーターなどを持っていなかったので、

食堂に向かいました。

足音を忍ばせて廊下を歩いていくと、食堂からひそひそと女の話し声が聞こえてきます。

(何、何?何か気味悪いなぁ…。)

少々ビビリながら、そっと中を覗いてみると、豆電球の下で3〜4人の女性が小声で話し込んでいます。

(こんな夜中に、暗い中で、何してるんだろう…?宿の人…ではなさそうだし…。)

その時、女性の一人がこちらを向き、Y君と目が会いました。一瞬、女性の顔が、恐ろしく歪みます。

「み、水を!!水をぉ…」

しどろもどろにY君が言うと、女性達が一斉にぎゃああああああああ!!と悲鳴をあげ、ひと塊にな

って、食堂の隅に転がって行きました。




悲鳴に驚いた宿の人は飛んでくるは、宿泊客も「どうした!!どうした!!」と集まってくるは、それはもう

大騒ぎになりました。Y君は宿の人に「アンタ!!この子達に何したのっ!!」と問い詰められ、「ぼ、僕、

水飲みに来ただけなんですうう〜」と言っても、なかなか信じてもらえません。


そこで、やっと落ち着いた女の子達が、ばつ悪そうに言いました。

「違うんです違うんです。私達が勘違いしただけで、その人何も悪くないんです!!」


―話を聞くと、灯りを落として雰囲気をつくって「お化け話大会」をしていた所にY君が現れたので、

ホンモノの幽霊が出たと思ってビックリしてしまったんだと。「ごめんなさい、ごめんなさい」と、女の

子達は平謝りでした。


疑いの晴れたY君が「僕、そんなに幽霊みたいに見える?」と訊くと、こう言われたそうです。

「ちょうど、日本兵の幽霊が水を飲みに来る…って話をしてた時に、兵隊みたいな格好をして、『水を』

何て言うから…」


そう言われて気がつくと、着替えもせずに寝込んでしまったY君の服はヨレヨレで、日本兵の幽霊と間違

われても仕方が無い状態だったそうです…。チャンチャン。




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