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新書庫設定しました。

新書庫、その名も「心霊現象を科学する!!」

別名「自己否定書庫」。

ネタ枯れもここまで来ると大したものです。

一応遠慮して、一番下に置いときました。


ついでに告知…「ブログ村」のアレ、いちいち貼るのが面倒なので、やめました。

事例

1984(昭和59)年5月15日の午前7時25分頃、静岡市産女(うぶめ)の県道で女性が運転する乗用車が集団登校中の児童の行列に突っ込み、児童数人を跳ね飛ばしてガードレールに激突するという事故がありました。

運転していた女性は、三つ辻の道路の左側に奇妙な老婆が立っていて、その老婆を避けようとしてハンドル操作を誤って事故になったと証言しました。

事故現場である「産女」と言う地名は、江戸時代に死んだ妊婦の霊が何度も現れた事に由来するとされ、その怨念を鎮めるためこの地には「産女明神」が祀られております。

民俗学者の宮田登氏は、産女という名の土地に現れた妖怪・ウブメ【注1】が働きかけたことが事故の原因であり、ウブメのような妖怪変化があらわれる辻のもつ霊的な力が民間伝承として現代に出没していると語っています。
                          産女(↓)
イメージ 1

検証

まず、産女と言う地名の由来から。産女明神の縁起を調べると、実はこんなお話でした。


難産で亡くなった武士の妻。その霊が夜な夜な現れ「お産を助けて下さい」と頼むので、「助けて差し上げたいが、どうすれば良いでしょうか」と村人達が尋ねた。妻の霊は「夫の兜の内側に、わが家に伝わる千手観音を秘めてございます。その御仏に祈ってくださればよいのです」と言う。そこで、村人達は千手観音を見つけだし、寺に納めて祈った。すると再び霊が現れ、「これからは、子どもの恵まれない方、お産みになさる方は、この御仏にお祈りしてください。必ず、お守り下さいます。私も、この村をお守りしたいと思いますので、私を山神(さんじん)として、祠(ほこら)をお建てください」と言い残した。村人達はお宮を建てお祭した後、村ではお産で苦しむ者がいなくなった【注2】。


と言う事は、この地の産女は土地の守り神であり、「産女明神」はその依り代なのであって、決して「怨

霊を鎮める為」ではないのです。守り神が、何故交通事故を引き寄せるのか?単にウブメと言う語感だけ

で妖怪扱いされたとしたら、長年土地を護ってきた霊も浮かばれないのではと思います。


まあ、それは良いとして、科学的にこの事故を検証してみましょう。

この事故のキーマン(キーウーマンか?)は、加害者女性が目撃した「奇妙な老婆」ですが、実は事故の

目撃者で「奇妙な老婆」を見た人は一人も居ないのです。かわりに、目撃者は「加害者の車がオートバイ

を追い越そうとして事故になった」と証言しております。

つまり、加害者女性はオートバイを「奇妙な老婆」と見間違えていたのです

幾らなんでも、バイクと老婆を見間違うか!?とツッコミが聞こえてきそうですが、その可能性は十二分に

あるのです。

幽霊の正体見たり…

状況からすると、この加害者女性は「高速道路催眠現象【注3】」の状態にあったと考えられます。

「高速道路催眠現象」とは、車の中など周囲の環境から孤立した状態で単調な視覚刺激下に一定時間おか

れると、人間は一種の催眠状態に陥り、幻覚(感覚遮断性幻覚)を見やすくなると言う現象です。大脳へ

の感覚刺激量が減り、覚醒状態を保てなくなる為に起こると言われています。

「高速道路催眠現象」の有名な事例は、ある婦人科医のケースでしょう。興味深いお話です。
まだ日本の道路に車が少なかった時代。ダッジの中古車の出物を100万円で買った婦人科医のK氏は、ある朝早くその車で往診に出かけた。ごみごみした街中を出てたK氏のダッジは、野原の真中をまっすぐに突き抜けているバイパスを走っていった。途中は対向車1台だけという空いた道で、この世はまるでK氏の為だけにあるような朝であった。しばらく行くと急に霧が立ちこめだし、みるみる濃くなって視界が10メートルくらいになってしまった。速度を落として走るとやがてその霧も晴れ、再びもとの清々しい朝に返った。

往診を終え病院に戻ると、程なくして警察が訪ねて来た。今朝発生した轢き逃げ事件について、K氏の車を調べさせて貰いたいと言う。全く心当たりの無いK氏は、申し出を承諾し、車はガレージに入ってますからと、警官にキーを渡した。しばらくして戻って来た警官は、車両を検分した所、K氏が轢き逃げ犯である可能性が非常に高いとして、同行を求めてきた。驚いて反論するK氏を警官がガレージに連れて行った。K氏は気付いていなかったが、改めて指摘されると、ダッジには血痕・凹みなどが残っていた。またK氏のダッジと同じ車が農道で農婦をはねた所を目撃した人も居るとされ、K氏も自分が人をひいた事を認めざるを得なかった。

罪を償った後も、K氏は自分の過失が信じられず、色々と調べてまわった。すると、当日の朝、現場付近に霧は発生していなかった事が判った。また、ダッジの履歴を辿ると、元々はアメリカ某所で乗られていた車で、何度か人をひいて死なせている過去があり、それが流れ流れて日本で売られていたのだ。100万円と言う、破格の値段で買えたのはその為だったのだ。
ダッジの祟りで人身事故を起こした…。などと思われがちな例です。

しかし、調査の結果、そのダッジはガラスが薄く青みがかっている為に外光の刺激が少なく、座席もふか

ふか。非常に快適なのは良いが、反面外からの刺激が少なく「高速道路催眠現象」を引き起こすにはうっ

てつけの車だという事が判りました。

K氏は、早朝まだ完全な覚醒状態になっていない時に刺激の少ない道を走っていた為、催眠状態に陥った

と考えられます。「霧が立ちこめだし、すぐ濃霧になってしまった」というのは、すでにこの時催眠状態

に陥っていた事を示唆します。「速度を落として走っていたら、霧が晴れてきた」というくだりは、まさ

に眠りに入る寸前、道路にいた農婦をはねた衝撃で「再びもとの清々しい朝に返った」、すなわちK氏の

意識が覚醒したという事です。車が重量の重いアメ車だったこともあり、衝突のショックも比較的軽くて

事故を認識できなかったのです【注4】。


周知の通り、高速道路が緩やかな曲線(クロソイド曲線)を多用して設計されているのも、運転者の脳に

適度な刺激を与えて「高速道路催眠現象」の発生を防止する為です。それほど、「高速道路催眠現象」は

ごくありふれた現象であると言えるのです【注5】。


「産女」の事例も、事故が発生したのはまだ朝も早い時間帯。加害者女性は脳が完全に覚醒する前に車を

運転したので、容易に「高速道路催眠」状態に陥ったものと考えられます。つまり、幻覚によりオートバ

イが「奇妙な老婆」に見えてしまい、それに驚いて事故を起こしてしまったのだと考えられるのです。

(検証終わり)



【注1】産女、姑獲鳥(うぶめ)は死んだ妊婦が化けた妖怪で、憂婦女鳥とも書きます。 バリエーションは多く、日本中に様々なタイプの産女が分布しております。しかし、産女から抱かされた赤ん坊がドンドン重くなるのを耐えていたら力持ちになったとか、いつの間にか抱いている赤ん坊が黄金をたくわえた壷になって金持ちになったとか、産女ってどっちかと言うと、是非会いたい妖怪なんですが…。

【注2】産女観音HPより。

【注3】高速道路催眠現象(ハイウェイ・ヒプノーシス)=別に高速道路でなくても起きます。アメリカで高速道路網が発達していった時代、天気がよく見通しのいい高速道路で自殺同然の事故が多発した事で調査・研究が行なわれ、この現象が見出されたのでこの名があります。


【注5】運転中にボーっとしてきたら、早目に休憩をとりましょう。


しかし、この説をとると、車に纏わる心霊現象のかなりの部分が説明できてしまうのです。

困ったもんだ…。

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