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【ツタンカーメン王の死因が明らかに】との記事がネットを賑わしております。 ツタンカーメン王の死因については撲殺説・毒殺説など様々な説がありましたが、これで一応決着と言っ た所でしょうか。 ツタンカーメン王の墓(↓) ところで、ツタンカーメン王と言えば「ファラオの呪い」でも有名です。 毎度ながら、私の子供の頃の「不思議な話系」の本には必ず載っていたネタでした。 カーナボン卿にスポンサードされたハワード・カーターの考古学調査隊が、ツタンカーメンの墓を発見したのは1922年11月4日の事だった。20世紀最大と賞賛される発見は、同時に「ファラオの呪い」の始まりでもあった。 カーナボン卿は発掘翌年に原因不明の高熱で急死。死の瞬間、カイロは大停電にみまわれたと言う。 ―それからと言うもの、死の連鎖は次々に関係者を襲い、1930年までにはツタンカーメンの墓の発掘に関わった人達の内、実に22人が死亡したのだ。 ツタンカーメン王の墓の入り口には、「偉大なるファラオの墓にふれた者に、死はその素早き翼をもって飛びかかるであろう」と碑文が刻まれてあった。その碑文の呪いが現実となったのだ…。一時期、墳墓の中で未知のウイルスに感染したのが「呪い」の原因だとの説が流行りましたが、今では下 火になっています。 何故なら、現在では、「ファラオの呪い」など実在しなかったと言うのが定説となっているからです。 その根拠は次の通り。 〇墓の入り口の碑文ですが、これは当時のマスコミのでっち上げ。墓の入り口にはそんな碑文はありませ ん【注1】。墓内には「死者の書」に出てくる様な呪文が残されておりますが、これは誰の墓にも書かれている類のものです。 〇カーナボン卿が発掘の翌年に亡くなったのは事実ですが、死因ははっきりしています【注2】。(ちなみにカイロで停電と言うのは単なる尾ひれでしょうが、今も昔もカイロで停電が起きるのはそう珍しい事ではありません。) 〇調査隊の主メンバー13人中11人は1930年以降も存命しており、彼らの平均寿命は70歳を超えています。 〇呪いを受けたと報道された者の多くは、発掘に直接関係していない者【注3】ばかりです。 ―と言う訳で、「ファラオの呪い」で死んだ人は誰一人いなかったのです。(発掘関係者が70歳になるま で待ってくれるほど「呪い」の気が長かった…と言うなら話は別ですが。) では、なぜ「ファラオの呪い」などと言う与太話が世界中に広まったのでしょうか? 実は、カーナボン卿は発掘資金の確保の為に「ロンドン・タイムズ」誌と独占契約を結び資金提供を受け ておりました。他の新聞には(エジプトの新聞社にも)一切直接的な情報を流さなかったので、世界中の新 聞社は、タイムズに料金を払って、情報を買っていたのです。 慢性的情報不足だった新聞各社にとって、カーナボン卿の死は(ロンドン・タイムズに金を払わなくて よい)最高のニュースだったので、ここぞとばかりにセンセーショナルなでっち上げ記事を書き立てたの です。根底には、タイムスやカーナボン卿に対するやっかみがあった事はまず間違いないでしょう。 それに加えて、コナン・ドイル【注4】あたりが「フォラオの呪いは実在する!!」と、煽ってしまったの で、エジプトについての知識が乏しく、ただ神秘的な国としか思っていなかった当時の一般の人々に 「ファラオの呪い」という妄想が定着してしまったのです。【注5】 ――――――――― l l l 呪ってないよ〜 l l l ―――― ―――― V 蛇足ですが、発掘から1930年までの8年間に死んだ「関係者」は22人に上ると言われていますが、それが 異常な事なのかどうかを考えてみました。 「ファラオの呪い」の場合、「関係者」の範囲がやたらと広いので、大雑把なくくりをつくります。 発掘の主要メンバーが13人いるとして、メンバー1人当たり(非常に少なく見積もって)30人の家族・親 戚・友人などがいるとして、この13人×30人の390人を「関係者」とします。当時のイギリスの死亡率は 約10%弱ですので、これも少なく見積もって8%としても単純計算で1年間に31人の「関係者」が死ぬ事に なります。と言う事は、8年間で22人の死者とはむしろかなり少ないと言わざるを得えません。 これはもしかしたら「ファラオの呪い」どころか、「ファラオのご加護」があった為ではないでしょうか!? (おわり) 【注1】呪いの碑文=私も実際現地に行った事がありますが、そんなもの何処にもありませんでした。 【注2】カーナボン卿の死因=髭を剃っていた時に誤って蚊に刺された跡を傷つけ、そこから熱病(丹毒)に感染し、肺炎を併発して亡くなりました。元々、卿は自動車事故が原因で長いこと体調を崩しており、エジプトを訪れるようになったのも、イギリスの冬が辛かったからです。享年57歳。ちなみに、カーナボン卿の本名は「ジョージ・エドワード・スタンホープ・モリニュークス・ハーバート(第5代カーナボン伯爵)」と言うそうです。寿限無みたい。 【注3】関係者の親類とか、墓を見学に来た人とか。中には、ただエジプトを旅行しただけでツタンカーメンの墓に立ち寄っていない人が亡くなっても、呪いの犠牲者として数え上げられたのです。調査隊の中で唯一早死にしたのはカーターの助手アーサー・C・メイス位ですが、それにしたって発掘から6年も経っての事です。 【注4】コナン・ドイル=ご存知シャーロック・ホームズの生みの親ですが、本人はかなりオカルトに嵌りやすく、少女が他愛もない悪戯で作った「妖精写真」をホンモノと信じ込んでしまったりする人でした。 |

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