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死人の魂が帰宅する…怪談の定番です。

普通なら「そんな話もあるかもね」で終わってしまう所ですが、そうは問屋が卸さないのが西丸震哉さん

の西丸震哉さんたる所以です。

死人に出来て、俺に出来ない訳はない!!

―と、思ったのかどうかは知りませんが、兎に角実験してみる気になった様です。
西丸震哉さんが実験の機会を伺っている内に、インドに長期間出張する事になった。
ここだとばかりに「魂の帰宅実験」を決行するべく、出発前に家族や知人に要領を説明した。
それは、毎月1回の指定した日時に“魂”だけ戻るので、良く注意しておくようにと言うモノ。

周囲の人達が真に受けたのか、それともゴリ押しに負けたのか。ともあれ、第一回・第二回の指定日に留守宅で“魂”の帰宅を待ってはいたが、何も起こらなかった。

実は、西丸震哉さん、仕事が忙しくてすっかり約束を忘れていたのである。(何てヤツだ。)

「これはしまった。今度こそ忘れないぞ」と反省した西丸震哉さん、第三回目の日時には仕事を早く切り上げ、部屋に一人で篭って、精神統一を始めた。


初めは外の犬の鳴き声に邪魔されて集中できなかったが、数度の失敗の後、何とか自分の“魂”を日本の自宅に飛ばすことに成功した!!

さて、帰宅したのはいいが、“魂”は何故か目が見えない。あくまでも雰囲気や感覚で自宅の玄関にいる事が判るだけだ。

「ドン、ドン、ドン」。西丸は思い切り玄関のドアを叩く。何も起こらない。そこでスーッと玄関を通り抜けた。さらに、皆が待っていることになっている居間へと向かって、手探り状態で歩いていると、西丸震哉さん(の“魂”)は声をあげた。

「痛てっ!!」―膝を硬いものに思い切りぶつけたのだ。普段ならそんなところにモノなど置いてないはずなのに、何なんだ!?西丸震哉さん(の“魂”)は腹いせか、それとも皆が気づく様にか、便所の木戸をガタピシ動かして派手な音を立てた。たぶん、腹いせだろう。

やがて居間の前まで来た。居間には沢山の人がいるような雰囲気がするが、誰がどこにいるのかわからない。このまま居間に入っていくと、またぶつかって怪我をするのではないかと躊躇している内に、気がつくとインドに戻ってきてしまった。
―どうですか。この絶句せざるを得ない、リアリティーに富む「魂の帰宅実験」は!!

魂でも膝をぶつけると痛いんだと言う、驚愕の事実もつまびらかになりました。

さて、しかしこれだけなら、西丸震哉さんの幻覚に過ぎないのでは?との批判も巻き起こるでしょう。

ところがどっこい、インドに滞在している西丸震哉さんの許に、留守宅の家族から報告が届いたのです。
三回目の日時に家人や知人が居間で何が起こるかと待っていると、玄関を叩く音がした。しかし、様子を見に行くと誰もいなかった。

しばらくすると今度は、便所の前に置いてあった洗濯機がガタンと音を立てた(膝をぶつけた時ですな)。その洗濯機は西丸震哉さんがインドに旅立った後、新しく買ったものだった。

間もなく、便所の扉が誰もいないのにガタピシ鳴る(腹いせしてる時だ)。その後、廊下に誰かいる気配はしたが、そのまま何も起こらなかった…。
どうですか。やはり、魂は帰宅を果たしていたのです!!


この実験結果に満足したのか、飽きてしまったのか、再度同様の実験を行ったと言う話は聞きません。

しかし、この何でもやってみなくては気がすまない性分。オカルトと向き合う上では、見習うべきだと

私は強く思ったりします。(付き合わされる周りの人は傍迷惑でしょうが…。)



次回は「もう一人の西丸震哉に出会う編」です。お楽しみに!!
さて、マルチな才能を発揮する西丸震哉さんの守備範囲は、幽霊人魂に留まらず、宇宙の彼方へと広がり

ます。


年月不詳ですが、「信濃毎日新聞」にこんなタイトルのコラムが載ったそうです。

「呼びかけたらUFO出た」

書いたのは、もちろん西丸震哉さん。

事の成り行きはこんな感じらしいです。

○UFOをこっちの都合で呼びつける By西丸震哉

「世の中にはUFOを見たという人が大勢いる。その全てが地球外惑星の乗物とは限らないだろうが、これだけ多くの人が目撃しているのだから、本当にいるのかもしれない」と考えた西丸震哉さん。しかし、多忙の身ゆえ、朝から晩まで空をずっと見ている訳にもいかない。

そこで、一計を案じた西丸震哉さんは、大空に向かって呼びかけた(テレパシーで)。
「おいUFO!!何だってズブの素人たち相手に出てくるんだ。マジメに考えているオレのところに出てきたらどうだ!こっちは忙しい身の上だから、今から10分以内に空のこの辺に現われろ!!」
―らしいっちゃ、らしい呼び方ですな。しかし、こんなんでUFOが現れる訳も無い。

…と、思うでしょ。普通。

ところがどっこい、呼んでいるのは誰あろう西丸震哉!!

来ちゃうんですね〜、UFOが!!
すると次の瞬間、西丸震哉さんが指定した方角・鹿島槍の右側の空中に楕円形の橙紅色に輝く光体が現われた!!その光体は、稜線を越えて鹿島槍の向こう側へとゆっくりと飛び去っていった。

西丸震哉さんの目測によると、その大きさは、900mはあったかもしれないと言う事だ。

                            想像図(↓)
イメージ 1


―と言う訳で、目出度くUFOの実在を確認できた西丸震哉さん。

満足したのか、飽きてしまったのか、その後再びUFOを呼びつけたと言う話は聞きません。


しかし、西丸震哉さん、自分の忙閑の都合でUFOを呼びつけるなんて、アダムスキーやマイヤーなど、異

星人を神の如く崇め奉っている連中の、数百倍のバイタリティーの持ち主と言えるでしょう。

(のこのこやってくるUFOもどうかと思いますが。意外と、ゴリ押しに弱いのでしょうか?)



ノッて参りました。次回は、「魂の帰宅実験 From 印度」編です。



何か、シリーズ化しそうな勢いです。(西丸震哉さんの突撃体験談に需要が見込めそうなので。)

震哉くんの「人魂捕獲大作戦」

子供の頃に西丸震哉さんの本を読んで、山登りだった父に「ここに連れて行け」と駄々をこねた場所。

それが木曾御嶽山は賽の河原です。(当時は火山活動の影響か何かで入山禁止だった様な…)

先の記事でもご紹介しましたが、噂を聞きつけた西丸震哉さんが人魂の捕獲に乗り込んだ所です。


                     賽の河原から御嶽山を見る(↓)
イメージ 1

○木曾のヒトダマ By 西丸震哉

やがて人魂さまがお出ましになって来た。
考えていたよりもかなり貧相な人魂で、
光は非常に薄く、
大きさはコブシ大程度。
ただし数は大変なもので、
何百あるのか見当もつかない。
強風は彼らにとって何の関係もないらしく、
風に向かうときも風下に進むときも
全く変わりがなく、石塔の林の間をメチャクチャに走り回る。

(中略)

近くへやって来たのを狙って
捕虫網をサッと振ると一匹確かに入った、
と思ったら網の底から平気で抜け行ってしまった。
そこでテントの中から飯ごうを出して来て、
これで飛んで来るつの正面から進路はばんだ。
おじろ板ことにやつは飯ごうの底を平気で抜けて行った。
まるで底が抜けているみたいに、
一瞬もやつの邪魔をしなかったようだ。
いささかヤケを起こして素手でたたきつけてみたら、
手ごたえは全くないが、
やつは手のひらは抜け損なってはね返って行った。
手でつかもうとしても指の間が少しでもすいていれば、
スーッと洩れてしまうので全く始末の悪いものだ。

捕まえることは無理と分かったので、
あきらめて暫く見物してからテントにもぐりこもう
ということにして立っていると、
あわてんぼうの奴がぶつかって来るが、
これもはね返ってしまう。
どうやら生き物の中は素通りは出来ないらしい。

(後略)

「山とお化けと自然界」より引用 
全く怖がってないですね、この人。

人魂と言う超常現象を、客観的かつ科学的に観察しております。

(途中でヤケをおこして、人魂をぶん殴ってますが、性格なんでしょうね、きっと。)

棍棒で殴られた女幽霊と言い、この人の前に出る時は幽霊の方でもそれ相応の覚悟が必要の様です。


この後、西丸震哉さんは人魂を捕獲する方法を「科学的に」考案したりしております。

(人魂は生体を通り抜けられないと見て、弁当箱に酵母の生きた醤油で膜をはって閉じ込めるとか…)

結局、「人魂捕獲大作戦」は不首尾に終わった様ですが、「何でもやってみる」と言う姿勢は見習うべき

だと思います。



さて、次回は「震哉くん、UFOを呼びつける」の巻。

乞うご期待です。





magicanaさんのおかげで、過去記事に光が当たって嬉しい限りの今日この頃です。

magicanaさんのコメントにも出てきた「私は幽霊を見た」は、怪談書の名著・金字塔である事は論を

待ちません(プレミアついてるし…)。私も「トラウマになった怪談」との記事で取り上げさせて頂きました。



さて、私が子供の頃に読み聞きして、その後深く心に残った怪談の一つに、食生態学者にして作家の西丸

震哉さんの体験談があります。有名な話ですが、せっかくなので全文引用してみます。

○幽霊にとり殺されそうになる
 
 大学卒業後,岩手県の釜石にある水産試験場に就職した。これは自分を知っている人がいないところで腕試しがしたかったことと,あの近辺の山に登りたかったことが動機ですね(笑)。前年に米軍の艦砲射撃を浴びた町ですから宿舎などなく,製造工場の片隅に缶詰の箱を積み重ねて寝台をつくり,そこで寝泊まりを始めた。
 
 六月の夜おそく海沿いの道をトボトボと帰ってくると,工場近くのコンクリート堤に女がもたれかかっている。ところがそばに近づいた途端,ふっと消えて女の姿が見えなくなった。さては目の錯覚かと,その日はそのまま帰って寝てしまったんだけれども,四日後にまたおそく帰ってくると,同じところに女がいる。確かめると浴衣姿の二十七,八になるかと思われる色白の美人。女の正面を横切るとき,またもや,ふっと消えてなくなってしまった。すぐに女の立っていたところまで飛んでいって調べたけれど何もない。
 
 翌日,ついに女の一メートル手前まで近寄ることができた。「お晩です」と声をかけても目も合わさずに知らん顔で海を見ている。「もしもし」と言いながら指で彼女の肩を思い切って突いてみたところ,指先は何の抵抗も感じず,同時に女も消え去ってしまった。そのとき初めて背筋がツーと冷えた。翌日,棍棒を手にまた一メートルのところまで近づいて,「君は幽霊かね。しゃべれるんなら返事しろや。黙ってるとぶんなぐるぞ。いいか,それ」と女に棍棒を振り下ろすと「ガツン!」と何もないコンクリート堤を叩きつけている。こちらの頭が狂ったのかと市立病院で徹底的に検査してもらったけれど,まったく正常とのこと。それからもちょくちょく女の姿を見かけたけれど,なるべくそばを通らないように別の道を通って帰っていた。

 ところがしばらくするとついに私の寝ている工場の中にまで毎日出てくるようになった。五メートルほど離れたところから一晩中こちら側を向いている。別に何をするわけでもないので,私は徹底的に彼女を無視する方針に変えたけれどあまり気分のいいものではない。翌年の四月,試験場の二階の講堂の隅にシングルベッドを借りて引っ越した。彼女も気づかなかったらしく,久しぶりの解放感にひたれたけれど,これも長くはつづかなかった。
 
 一か月後に彼女が現れたときには,ベッドのすぐ横に立ち,寝ている私を上から見下ろしている。それでも彼女の瞳は私を見ていない。私を素通りした場所に焦点を合わせている。不思議なもので,自分を見ていないとわかるとそんなに怖くは感じない。私はふたたび無視を決め込んだが,ある夜,何となく彼女のようすが今までとちがっている。今まで私の向こうの涯を見ていた彼女の目が,私の目の中をまばたきもせずにジーッとのぞき込んでいる。
 
 全身が粟立った。私は負けてなるものかと彼女の目を見返し,ぐっとにらみつけると,その瞬間,からだの体温が奪われ,布団の中が氷のように冷えてしまう。布団を頭からかぶって縮こまり,三十分後にふたたび布団からそっと目を出してみると,彼女の視線がくい入るようにのぞいている。とたんにせっかく温まった布団の中がまた氷を抱いたように冷え切ってしまう。窓の外がほのぼのと明るくなり,彼女がいなくなるまで,この一夜の間に四回くらい彼女とにらみあった。
 
 朝,場長が出勤してきたのをつかまえて,「私は今日の汽車で帰ります。お世話になりっぱなしで申しわけないけれどもやめさせてください」と頼んだ。幽霊の状況を報告したら,君がとり殺されでもしたら私としても困るからということで,すぐに私の要望に応えてくれた。ふつうだったら幻覚を見たんだろうと笑うところが笑わない。この話には後日談もまだまだあるけれど,よりくわしく知りたい人は「山とお化けと自然界」(中公文庫)を読んでください。とにかく私は仕度もそこそこに釜石の地を離れることになりました。 
「あの人に聞きたい 私の選んだ道」より

西丸震哉さんと言えば、一つや二つのの肩書きで括れない程多彩な活動をされている方。

「41歳寿命説」でその名を知った方も多いのではと思います。

氏の、終末論を後押しする様な発言には「?」がつく事もありますが、自然と幽霊をこよなく愛していら

っしゃるのは、文章を読むと良く判ります。しかしまあ、幽霊を棍棒でぶん殴ったり、指で小突いてみた

りと、なかなか胆の据わったお方ではあります。

ちなみに、「山とお化けと自然界」には、木曾御嶽山の「賽の河原」に人魂が現れると言う話を耳にした

西丸氏が、人魂をとっ捕まえるべく独りでキャンプを張った話なども書かれております。(実際に人魂が

出現した。)「心霊スポッター」としても見上げるべき行動力だと言わざるを得ないでしょう。



―それは兎も角。


この怪談で何が怖かったかと言うと、「その瞬間,からだの体温が奪われ,布団の中が氷のように冷えて

しまう…(中略)…とたんにせっかく温まった布団の中がまた氷を抱いたように冷え切ってしまう…」と

言うくだり。


「私は幽霊を見た」の大高博士が遭遇した幽霊もそうですが、「布団の中が冷たくなる」と言うのは、

子供だった私にとっては最怖のフレーズでした。

何故なら、幽霊が怖い子供にとって、布団の中と言うのは最後の逃げ場だったからです。

その布団の中にまで幽霊(の影響)が入り込んでくる…。

こんなに怖い事はありませんでした。


そんなこんなで、未だに強く心に残っているのでしょう。



こんな、何十年経っても人の心に残る怪談が、このブログに一つでもあればいいが…

とは、場末のブログ主の独り言です。








(西丸氏のお話は読んでいてとても面白いものばかりです。また幾つかご紹介したいと思います。)

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