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メラメラパチパチ。燃え上がる本能寺の奥の間。
 
 
「あーあ、何でコレちゃん【惟任=光秀の事】がこのタイミングで謀反するかなぁ。せっかく天下布武も目の前だっ
 
たのに。KYだなあいつ。こんな事したって、どうせ猿【=秀吉】とか、かっちゃん【=柴田勝家】にケチョンケチョン
 
にされちゃうのにさあ。俺が死んだら、たぶん猿あたりが天下取っちゃうんだろうなあ。あいつ、女にはモテないけ
 
ど、抜け目ないし、要領いいから俺の孫かなんかを担ぎ出したりすんだろうなぁ。かっちゃん怒るぜきっと。しか
 
し、猿のモテなさっぷりは凄いよね。お市なんて、蛇蝎の如く嫌ってるもんね。しかし、よくまあ、あんなバブルス
 
君みたいなヤツにねねちゃんみたいな出来たいい女がついたもんだよね。―まあそんな事どうでもいいや。どう
 
やらここが死に場所みたいだ。お気に入りの敦盛を舞ってから自刃でもすっか。えーこほんこほん。本日は晴
 
天…いや、本日は謀反なり〜。よし、この期に及んで喉の調子バッチグー。『人生五十年〜下天の中を〜』」
 
「ノブリン、ノブリーンあ、ここにいたの?あーまた、敦盛舞っちゃって!!そう言うのをVSOPって言うのよ」
 
「こら蘭丸。こんな切羽詰まった状況でノブリンはやめなさいよ君。今は男色してる暇は無いよ。所で何だその
 
VSOPってのは。バテレン言葉かそれは?」 「ベリー・スペシャル・ワン・パターンの略よ」 「何だそりゃ。400年後
 
のオヤジギャグじゃんか」 「そんな事より、ノブ…もといお館様。そんないまわの際な舞を踊ってないで、とっとと
 
逃げましょうよ。そろそろヤバ目よ、ここ」 「逃げるたってどうすんのよ。周り中コレちゃん配下オンザウエイじゃ
 
んかさ。逃げ道なんかないよ」 「それがあるのよ。こんなこともあろうかと思って、蘭丸アイデアで抜け道トンネ
 
ル掘ってあります〜」 「うわマジ!?こんな事もあろうとは俺全然思ってなかったけど、蘭丸の先見の明は座布
 
団10枚進呈レベルだよ。でもそれ、猿が罠仕組んだりしてない?」 「それはこないだTVでやってた話しでしょ。大
 
丈夫マイフレンドよ。私のゲイ友が出口押さえてっし。さあ、行きましょ」 「わあ、何か急に生命パワーがみなぎり
 
つつある信長だぜ!!―チクショー、生き延びたら朝廷の奴ら、ギッタンギッタンにしてやんぞ!!」 「なんで朝廷が出
 
てくんのよ?」 「こんな謀反、コレちゃんが独断でやる筈ないじゃんか。ホラ、最近俺、帝に取って代わろうとしち
 
ゃってたから、ムカつかれたんじゃないの?だから、対朝廷外交官に使ってたコレちゃんを篭絡してさ、こんな事
 
させたんだよ。コレちゃんも、人がいいって言うか、頼まれると嫌って言えない人だからさ。それに彼、コンサバだ
 
しね」 「そうよね〜。光秀さんて、メチャ頭良くて出来る人で、お館様リスペクトなんだけど、何かワキ甘いのよね
 
ぇ」 「まあ、俺も、朝廷に対してはちょっとやりすぎかなって思ってたけどね」 「そうよね〜。やっぱ、暦を変えさ
 
せようとしたのがマズかったんじゃない?暦は帝の大事な権威だし。それを無理やり変えさせようとしたら、怒る
 
わよね」 「だって俺、慣れた三島暦じゃないと、曜日の感覚がつかめなんだもん。あれ?今日休みなのに早起
 
きしちゃった…とか、良くあるよ」 「そんな、小学生じゃないんだから…おっと、お館様、早くケツまくんないとケツ
 
に火がつきますよ!!そろそろ、備蓄した爆薬に火が回りそうだし」 
 
「君。蘭丸。ゲイだからって、ケツケツ言い過ぎだって。―あ、でも、逃げよう逃げよう。命あってのモノダネだ」
 
 
―と言う訳で、暗い地下の抜け道を潜り抜けた信長と蘭丸。
 
ぞぞり、ごとんと重い石をのけて地上に顔を出します。
 
 
「ささ、お館様出ましたよ」 「ぷはぁ。ああ怖かった。俺、閉所恐怖症なんだよね。わわ、なんだここ?墓地
 
じゃん墓地!!」 「墓地がどうかした?」 「やだなあ蘭丸。俺、お化けとかアウトなの知ってんじゃん。墓地つったら
 
お化けでしょ?せっかく謀反から脱出して一安心どころか、謀反よりやだよ、お化け!!」 「何言ってんのよ、全く情
 
けない第六天魔王だね」 「第六天魔王なんて、ルイスさん【=ルイス・フロイス】が勝手に俺が言った事にしてる
 
だけじゃん。俺、そんなに自意識過剰じゃないって」 アロハ〜 「わ、びっくりした!!何この
 
ケバい人???」 「私のゲイ友の日出郎ちゃんよ」 「初めまして〜お館さまぁ!!まあ素敵、噂どおりのイケメンだわ
 
ぁ、こういうトコ、初めてですかぁ?」 「う、うん。夜中に墓場の地面から顔を出すのは確かに初めてだけどさ。何
 
か、ゲイバー初心者みたいに言うのやめてくんないかなぁ」 「まあまあ、お館様。日出郎ちゃんが琵琶湖まで出
 
る道を案内してくれるから、行きましょ行きましょ。日出郎ちゃん、ヨロピクね」 「オッケーちからこぶ!!道沿いの
 
村々にゲイ友配置してるから多い夜でも安心よ。さあ、レッツラドン!!」 「多い夜って、君たちは月のモノは来ない
 
でしょ?」 「やあねえ。敵が多くてもって事よ、お館様」 「あ、そう言う事ね。失礼失礼。しかし、戦国の世におい
 
てゲイ・ネットワークがこんなに屈強だとは知らなかったよ。しかし、琵琶湖に出て船で安土に行くにしても、その
 
肝心の船があるかどうか…」 「大丈Ⅴ!!よ、お館様―こんな事もあろうかと思って、蘭丸、ちゃんと船を準備し
 
ておきました〜」 「きゃああ。蘭丸ちゃんいと凄しっ!!」 「―いや、蘭丸の先見の明には、この信長、呆れるほど
 
助かるよ。でも、言ってる言葉がいちいち昭和ギャグなのが気に掛かるけど」 「いいのいいのそんな事。とりあえ
 
ず安土城まで行けば、賢さん【=蒲生賢秀】いるし、早く行こ」 「でも、アイツ、結構ヘタレだから謀反を聞いて逃
 
げちゃってるかもよ」 「平気よぉ。お館様が死んだってなれば賢さんもケツまくるかもしれないけど」 「またケツ
 
かい。そんな事ばっかり言ってると、脱出行にミソがつくよ」 
 


 
さて、蘭丸とそのゲイ友日出郎ちゃんに守られて、無事に琵琶湖岸まで辿り着いた信長さんでした。
 
 
「あー、着いた着いた、やっと着いたよ。あーもう疲れた。足がスティックだよ全く。馬ぐらい用意しといてよ蘭丸」
 
「何贅沢言ってんのよ。追っ手に見つからないでここまで来れただけでも見っけもんでしょ。日出郎ちゃん、あり
 
がとね」 「うむ。いやいや、日出郎ちゃん、ホント感謝感激だったよ。落ち着いたら遊びにおいで。褒美をとらす
 
し、何だったら軍団長にしてあげるよ」 「きゃー嬉しいじゃ、信長美少年軍団でも作っちゃおうかしら〜」
 
「あ、えっと、それはどうかなぁ…。後世の歴史家になんて言われるか。もうちょっと勇ましい感じのが宜しい様
 
な…」 「冗談よ、お館様。じゃあね、蘭丸ちゃん、お館様〜。天下とってね〜。バッハハーイ!!」
 
 
蘭丸用意の小船で琵琶湖に漕ぎ出す二人。
 
 
「お館様、そこに農民の服があるから、それに着替えて頂戴。私、漕いでるから」 「えーこんなキッタナイ服着ん
 
の?俺、天下の信長だよ?こんなの着たら自分が嫌いになりそう」 「だって、そんな高級シルクの寝巻きなんて
 
着てたらバレバレじゃない。偽装よ、偽装。それに、お館様は若い頃は妙ちきりんな格好して歩き回ってたんでし
 
ょ?利家さんとかと。大して変わりはないわよ」 「あんまり昔の事は言わないで。ホラ、若い頃って、誰でも傾奇
 
な気分になったりするじゃない。若気の至りと言うか。兄弟仲も良くなかったしね。挙句の果てに、『尾張の大うつ
 
け』とまで言われて、あの頃の事は俺にとって黒歴史なんだから」 「まあまあ、早く着替えて…そうそう。あら、意
 
外に似合うじゃない。そして、この布を胸につけて…と。ハイ完成〜!」 「何この布?何か書いてあるな。何々。
 
『私は信長ではありません』―あーこれなら俺が信長だってバレ…るよ!!絶対!!バカにしてんの、蘭丸!?」 「いい
 
から、いいから。念の為よ…、あ、何か舟が近づいてきたわよ」 「わわ、ヤバイ。武士がのってるよ武士が!!あー
 
刀なんか抜いちゃって、やる気満々じゃんか。やだなあ、武士。滅びろ、武士!!」 「お館様だって武士じゃない。
 
大丈夫だって。落ち着いて落ち着いて」 
 
「コラ、そこの舟!!こんな時間に漁でもあるまいし、何をしておる!!ええい停まれ停まれ」 「こんばんわ〜お勤めご
 
苦労様です〜。いえね、おとっつあんが急病になって、安土のお医者さんに見せなきゃならないんで、こうして舟
 
を出してるって寸法なんです〜」 「むむっ。いかにもアヤシイな。こら、そこのオヤジ。顔を見せい顔を」 「へ、
 
へぇ。こんなご面相で」 「うーむ。ご同輩、どうじゃ、何処と無く信長公に似てはおらんか」 「どれどれ。―うー
 
ん、いや、どうかな?信長公はこんな間の抜けた顔ではあるまい」 「言われて見れば。そうじゃな、信長公はも
 
っと凛々しく、こう、キリッとしたお顔をされておるな。こんなくしゃみした後の馬みたいな間抜け面ではないわい」 
 
「し、失礼な!!」
 
「何じゃ、オヤジ。文句があるのか」 「ありません。全く異議なしです」 「それに、ホレ、ここに『私は信長ではあり
 
ません』と書いてあるではないか」 「ホントだホントだ。信長公ではないな、確かに。いや、人違いだった様じゃ。
 
行ってよいぞ」 「有難うございます〜。信長の糞馬鹿野郎、早く見つかるといいですね〜。私達、光秀様を全面
 
的に支持しちゃいます〜。では、さようなら〜」
 
「はあ。行っちゃった。しかし人の顔の悪口を散々言いやがって。あいつら、真っ先に打ち首だ。しかし、こんな
 
名札に引っかかるとは馬鹿な奴らだ。あんなのが手下なんだから、コレちゃんも苦労するよなぁ。―ところで蘭
 
丸。さっきどさくさに紛れて物凄い暴言吐かなかった?」 「さあ?空耳アワーでしょ?」
 
 
と言う訳で、丸1日かけて、何とかカンとか安土城に辿り着いた二人です。史実では、光秀勢が安土に入ったの
 
は6月5日とされておりますので、この時点ではまだ安土に光秀の手は伸びておりませんでした。
 

 
続く…んでしょうか?
 
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(←)超常現象じゃないけど。

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