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「需要があるとは思わないんだけど、続いちゃったわねぇ」 「ホントだね。読んでくれてる人なんかいるのかな。あ
 
あ、ほら、蘭丸、安土の町が見えたきたよ。おや、何か人が一杯いるぞ?ま、まさか待ち伏せ?安土城もう陥ちゃ
 
ったの!?」 「お館様、よく見て。違うわよ。領民の皆さんよ、アレ」
 
「信長様〜お帰りなさい〜」 「よくご無事で〜」 「頑張れ〜信長様〜」 
「わあ。みんなが国賓クラスの大歓迎してくれてる!!ほら、横断幕まであるよ。『祝 ご生還信長様』だって。『ネバ
 
ーギブアップ お館様』なんてのもあるよ。ん?『消費税増税反対』?―何か勘違いしてるのもあるけど…。でも
 
嬉しいなあ。善政敷いといてホントよかった」 「これで一安心ね。さあ、早くお城に行きましょ行きましょ」
 
 
安土城に入った二人を、留守居役の蒲生賢秀や信長の妻子らが出迎えます。
 
 
「よくぞご無事でお館様。この賢秀、心配で心配で。蘭丸ちゃんも、ご苦労だったのう」 「いいえ〜どういたしま
 
して〜。楽勝だったわよ〜」 「いやあ、朽木越え以来の災難だったよ。あの時は仲間が大勢いたけど、今度は二
 
人っきりだったし。でもまあ、命があって良かったよ」 「おかえり、パパ。お風呂にする?それともご飯?それと
 
も…うふ」 「こら、お濃【=濃姫。信長の正室】。『うふ』じゃないっての。仕事から帰ったサラリーマンじゃない
 
んだから。俺はこれから、色んな事しなきゃなんないの。こう見えても忙しいんだよ俺」 「あら、せっかく生き延び
 
たんだから、しばらくのんびりすればいいのに。パパ、ここの所働きづめだったし」 「身を気遣ってくれるのは有
 
り難いけど、のんびりするのは天下布武してからにするよ。―早速だけど、賢秀、蘭丸。急いで軍団の皆に連絡
 
とってくれる?」 「オッケーだけど、なんて言うの?」 「ちょっと待って。今、キャラ作るから。・・・・・・・・よしと。
 
天下に知らせよ。『信長は安土にあり』とな!!
 
―どうどう、イケてる?歴史に残る名台詞っぽくない、今の?」
 
「いやあ、相変わらずキャラの切り替えが巧でござる。賢秀、感服致しました」 「調子がいいだけって話もあるわ
 
ね。でも了解早速皆に知らせるわ!!」
 

 
京都・二条。光秀の軍勢に囲まれながらも、信長の長男・信忠らが奮闘しておりました。史実では信忠は討ち死
 
にしておりますが、信長に逃げられた明智勢の攻撃も史実ほど優勢ではなくなり、このお話では信忠は存命して
 
おります。
 
「信忠サマ、信忠サマ!!ゴチュウシンデゴザル!!」 「何だヤスケ【=宣教師が連れてきた黒人。信長に気に入られ
 
て、傍に仕えていた】。どうかしたか。しかし、『ご注進』なんて、お前随分日本語上達したな。モンゴル人力士み
 
たいだな」 「ハイ。ベルリッツデベンキョウシタノダヨ。ソンナ事ヨリ、今、賢秀サント蘭丸サンカラシラセガトドイタ
 
ヨ」 「何?蘭丸から?あの子、生きてたのか?で、何と?」 「エーット。信長ハ、ヤスツチニアリ!!ダッテサ」 「馬
 
鹿。それはあづちと読むのじゃ。―え?何と?『信長は安土にあり』とな?生きてたんだ、パパ!?やったね!!」 「オ
 
館様、イキテタンダネ!!ヨカッタヨカッタ」 「よし、明智勢の攻撃も緩くなっておる。隙を突いて囲いを突破し、安土
 
に向かおう!!親父殿、待っておれ。この信忠、神風となって馳せ参じようぞ!!
 
―どうどう?今の、歴史に残る名台詞っぽくない?」 「オヤコデ、ヨクニテルヨ。マッタク」
 
 

 
大坂。信長の三男・信孝と丹羽長秀が四国遠征の準備中に本能寺の事件を知って、途方に暮れておりました。
 
「あーあ。パパが死んじゃって、これからどうしよう。いっそ明に渡って、人間椅子にでもなろうかな」 「まあまあ
 
信孝様。そう極端に走らないで。お館様が生き延びてるって噂もありますし」 「長秀さん、気休めよしてよ。あの
 
しっかり者の光秀さんが、パパを討ち漏らすなんて考えられないよ。でも、光秀さん、なんでこんな事しちゃった
 
んだろう。パパには随分気に入られてたのに」 「まあ、アレでしょうな。真面目一徹のカタブツが、歳取るとホレ、
 
不倫にのめりこんだりとか良くあるでしょうが。あの類でしょうな」 「そんなもんかね。え?何?安土からの知ら
 
せ?えーっ!!長秀さん、パパ、生きてるよ!!『信長は安土にあり』だってさ」 「おお、やはりご存命でござったか!!お
 
館様ともあろうお方がそう易々ととは思っておりましたが。しかし、お館様らしい台詞ですな」 「キャラ作ったんだ
 
ろうね、きっと」 「では、早速、安土に向かいましょうぞ」 「いやいや、安土には、二条にいるにいちゃんが駆けつ
 
けるだろうし、おっつけ秀吉さんや勝家さんも来るだろう。ここはひとつ、京の西に陣を張って、光秀さんを挟み撃
 
ちにしよう」
 

 
備中高松城。毛利と対陣中の秀吉は、本能寺の変報を聞くや和平をとりまとめ、京へ向かっての大返しを準備
 
中でした。
 
「殿!!殿!!」 「ウッキー!?何だ官兵衛【=黒田孝高】」 「ウッキーって、あなた。ますます猿に似てきましたね」 「ウ
 
キキ。そう?孫悟空を尊敬してるっキ。あんな風になりたいと思ってるっキー」 「ははあ。そう言えばこの間、『西
 
遊記(香取バージョン)』のDVDを徹夜で観ておりましたな。―あ、そんな事はどうでもいい。殿、大変でござる」 
 
「小猿がどうしたっキ?」 「猿の話ではござらん。今安土から知らせが届きました。聞いて驚かないで下さいよ。
 
『信長は安土にあり』との事ですよ!!」 「ウキッキキキキ!!」 「あ、驚いた」 「マジでキか!?お館様がいキて
 
るとは!!」 「―残念な事に…」 「ウキッ!?何が残念なんだ官兵衛。喜ばしい事ではないかっキー」 「キッキーキ
 
ッキー鬱陶しいな。―だって、殿。信長様がお亡くなりになれば、天下が取れたかもしれんですよ」 「ウキキ!!
 
お、恐ろしい事を言うなよお前。トンでもない奴だっキ」 「まあ、生きていたものはしょうがない。とっとと大返しし
 
て、光秀殿を討ち滅ぼして、せいぜい点数を稼ぎましょう」 「うーん。そこが問題だっキ。光秀さんとは、苦労して
 
助け合った仲だっキ。首を取るとか、そう言うの何かキが進まんっキー」 「甘いなこのエテ公。そんなんだから、
 
新参者の光秀殿に出世レースで負けるんですよ」 「ウキー!!いいの!!わしはお館様のお役に立てればそれでい
 
いんだっキ。ところで、官兵衛、主君を捕まえて『エテ公』はないだろ、『エテ公』は」 「まあまあ。いいから早く行
 
きましょってば!!」
 

 
安土城。
 
「と、言う訳で、秀吉さん達は明日には京に入れるって」 「まじ、蘭丸?うわ、猿の奴、早やいな、相変わらず。よ
 
くあんな遠くから3・4日で戻って来れるよね」 「お館様、先程勝家殿と一益殿【=滝川一益】から連絡がありまし
 
た。勝家殿は『今、いい感じで上杉さんとこの魚津城をを攻撃中。片付いたら帰ります』だそうです。一益殿は『北
 
条が攻めてきた!!一揆も多発し、激ヤバにつき、帰れません。て言うか、どっちかっつーとこっちが助けて欲しいく
 
らい』ですって。どうします、お館様?」 「賢秀、滝ちゃんには無理すんなって言ってあげて。コレちゃんの件が
 
片付いたら、皆で関東に押しかけよう。北条さんなんてちょちょいのちょいだよ。それとも、家康君に仲介してもら
 
って、和睦しちゃおうかな。徳川と北条って、姻戚関係だもんね」 「そうそう、その家康殿は、無事三河に帰り、軍
 
をそろえておっつけ駆けつけるそうですよ」 「あっそう。でも良かったね、無事帰れて。変の当日は堺にいたんで
 
しょ?」 「てか、『これで逆境に強い家康のイメージにハクがついた』って喜んでるみたいよ」 「さすが、めげな
 
いねえ、家康君。でもこれでぼちぼちコレちゃん包囲網が出来たけど、コレちゃん困ってるだろうなあ、今頃」
 


 
山崎。明智光秀の陣。
 
「あーもうどうしようそうしよう。やっぱ、まずかったよなぁ。吉田さん【=吉田兼見】の言う事なんか聞かなきゃ良か
 
ったよ〜。藤孝【=細川藤孝】は『いざとなったら俺も兵を出すから』とか言ってたくせに、援軍要請シカトして
 
るし。あんな薄情者の長男に大事な娘を嫁がすんじゃなかった。うちの娘、キリシタンになっちゃって、変な名前
 
付けられてるし。玉ちゃん【=細川ガラシャ。光秀の三女。クリスチャンになったのは、ホントは本能寺の変の後
 
です】元気かなあ。死ぬ前にもう一度会いたいけど…。無理だろうなあ。だって、まさか秀吉ちゃんまで舞い戻っ
 
てくるなんて、聞いてないよ〜そんな展開!!」 「やばい。殿がいっぱいいっぱいになっておるぞ」 「普段、アレだけ
 
冷静な殿が…」 「いっぱいいっぱいにもなるよな〜。周り中敵だらけだもん。援軍は誰も来ないし。意外に人望
 
無かったんだね、うちの殿は」 「うるさいぞ、家臣たち。くっちゃべってる暇があったら、君達も何かいい手を考え
 
てよ!!」 「殿、この際、降伏しちゃいましょうよ。勝てっこないんだから」 「だって、降伏したって、拷問された挙句
 
に打ち首だよ。イヤだよそんなの。むっちゃ痛そう」 「まあ、痛いどころの騒ぎではありますまいがね。信長様だ
 
って、きちんと謝れば許してくれますって。だって殿は、今まで頑張って実績上げて来たんだし」 「そうそう、一回
 
のオイタ位笑って許してくれますって。信長様は器が大きいんだから」 「そ、そうかな?」 「最悪、『私の首を差し
 
出しますから、家臣は許してあげて下さい』位言って頂ければ」 「あーずるいな!!やだよそんなの。死なばもろと
 
もだ!!」 「やれやれ。やっぱり、『敵は本能寺にあり〜!!』とか言った時にとめとけばよかったわい」 「でもあの時
 
の殿は異様にテンションあがってて、何かとめづらい雰囲気だったからねぇ」 「殿、殿、信長様の軍使がいらっし
 
ゃいましたよ。何でも降伏勧告しに来たとか」 「まじ?じゃあ、攻め滅ぼす気は無いんだ!?―は、早くお通しして!!
 
玉露出してあげて、玉露。あ、それと、こないだ貰った上等のういろうがあったでしょ?アレ出して。―あ、アレ、お
 
館様から貰ったんだ。まずいなそりゃ」 「ウッキー!!こんちは。光秀さん」 「あれ?秀吉ちゃん。軍使って、秀吉ち
 
ゃんだったの?いやいや、軍団長自ら来て頂けるなんて、この光秀、光栄至極でござる」 「まあまあ、お手を上
 
げるっキ。皆心配してるキよ。光秀さんがいっぱいいっぱいになってるんじゃないかって」 「なってる、なってる。
 
でも、降伏勧告って事は、お館様、許してくれるのかなぁ?」 「許すも何も、早く帰っておいでって仰ってるっキ。
 
ほら、ここに書状が。『ちゃんと謝れば、許す。(但し一回限り有効)By信長』」 
 
「ははぁぁぁぁ!!謝りますうう!!」
 


 
これにて、一件落着。「安土城の便所掃除1ヶ月間」の厳罰と引き換えに光秀は織田への帰参を許されました。
 
さて、信長が本能寺で死ななかった戦国時代。その後、どうなったかと言うと…なんて事を書き出したら、それこ
 
そ真面目な歴史ファンに怒られてしまいますので、この辺で。下らなくてごめんなさい…。
 

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