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It rains cats and dogs.

そう。
 
こんな、土砂降りの雨の日でした・・・。
 


 
午後遅くまでは、じりじりと照りつける太陽が厳しい残暑をもたらしていた今日。
 
夕暮れと共に、鉛色の重たそうな雲が西から空に蓋をして、そしてそのまま地面まで落ちて来そうに見えました。
 
遠くからはゴロゴロゴロと雷鳴が響き、間もなく降るなと思っている矢先に、雲の底が抜け、何億発の機関銃弾
 
の様な雨が辺り一面を覆い隠しました。
 
当店のショーウインドウも、大粒の雨に打たれ、まるで滝の内側から外を見ている様な気分になります。
 
道路はあっという間に川にかわり、大きな水しぶきを跳ね上げながら、それでも車が行きかっています。
 
そんな風景を見ながら、当店のスタッフであるKさんが、つぶやく様に語り始めたのです。
 


 
もう、2〜3年前の事ですが、やはり暑い夏でした。
 
私はその日、F市に住む友人を訪ねようと、車を走らせてました。
 
もう間もなく目的地に着くと言う頃、―そう、丁度今時分の夕方でした。
 
それまで晴れていた空が突然暗くなり、いきなり、土砂降りの雨が降ってきたんです。
 
そう、こんな具合に…。
 


 
降り続く豪雨を見ながら語るKさんの横顔を、時折の雷光が照らし出します。
 
そのあと数秒して、ゴゴーンと雷鳴が響く。
 
雷も、徐々に近くなってきた様です。
 


 
―前も、よく見えない中で、やっと運転していたのですが。
 
あんまり雨がひどいので、車を寄せて、この雨をやり過ごそうと思ったんです。
 
ゲリラ豪雨ってやつだろうから、しばらく待っていれば止むと思ったんです。
 
そこは、何か、工業団地みたいな所で、道幅も広くて、豪雨のせいか、車も殆ど、歩行者なんて、全く、
 
おりませんでした。
 
幸いすぐに、適当な場所がありました。
 
T字路に突き当たった角に、大型のトレーラーでも停められそうな広い路肩がありました。
 
そこに車を入れて、友達に電話をしてたんです。
 
もう、すぐ近くに来てるんだけど、雨がひどいから、ちょっと遅くなるよと。
 
そんな電話をしながら、ふと前方を見るとですね…。
 


 
稲光が閃くや否や、ドオンと大音響が窓を震わせました。すぐ近くのビルに、落雷した模様です。
 


 
女の人がいるんですよ。若い女性が、T字路の角に、座ってるんですよ。ずぶ濡れになって。
 
こんな感じで (と、Kさんは三角座りの格好をしました。) 歩道の縁に、腰掛けてたんです。
 
うわ、ヘンな女が居るよ〜。こんな土砂降りなのに、傘もささないで。うわ、こっち見てる!!気持ち悪…
 
と言うと、友人が、お前どこにいるんだって訊くから、ナビを見ながら、○○工業団地の、こんな感じの、
 
T字路のところだと言ったら、いいから、すぐ来い!!―と、何故か焦った様な口ぶりで言うんです。
 
 
すると、その女がすーっと立ち上がって、ゆっくりと、私の方に歩いて来るんです。
 
 
私も気味が悪いので、わかったすぐ行くと電話を切って、相変らずの土砂降りの中、車を出しました。
 
女の横を通る時、チラっと見ると、やっぱりその女はこっちを見てました。表情は良く見えませんが、顔は、
 
確かに、こっちを向いてましたね。
 


 
雨はますます激しくなり、心なしか、ショールームの照明も薄暗くなった気がします。
 
Kさんの横に立ち、話を聞く私の腕は、徐々に鳥肌になってきております。
 
光ると同時に轟音。振動。
 
このビルに、落雷した様です。
 


 
―そして、友人の家に着くと、友人は、こう言うんです。
 
お前の見た女は、薄い水色の、ワンピースを着てなかったかと。
 
 
ああ、そうだ。と私は答えましたが、内心、近所では有名な変人だったんだと思いました。
 
しかし、友人は言うんです。
 
 
お前、お前が見たの、それ、幽霊だぞ。―って。
 
は?幽霊?何それ?何で?―半分笑いながらの私に、友人が言うには…。
 
 
何でも、何ヶ月か前、あのT字路で轢き逃げ事件があって、若い女性が亡くなったんだと。
 
犯人はまだ捕まってないと。
 
そして、その女性は、薄い水色の、ワンピースを着ていたそうです。
 
そして、轢き逃げがあったのは、雨の日。
 
そして、雨が降る日には決まって、あのT字路に、薄い水色の、ワンピースの女が出るようになったと…。
 
 
またまた、私をかつごうとしてそんな怪談を…とも思ったんですが、友人は真剣そのもの。いや、真剣、
 
と言うよりは、怯えてる感じでした。
 
いや、近所でそんな噂が立っていたけど、俺はそんなのはデマだろうと思ってたんだけどさ…。
 
実は、俺も、この間、見た―見ちゃったんだよな…。
 
と、友人が語る、その女の姿格好は、さっき私が見た女と全く同じだったんです。
 


 
ズザアアアア…
 
今までが本降りと思っていたのが、さにあらずで、更に雨脚は激しくなりました。
 
もう、外の景色は滲み過ぎて見えません。
 
頻繁に光る雷だけが、一瞬、ショールームの外を浮き上がらせるだけでした。
 
 
うわっ!!
 
 
私と、Kさんが、同時に声を上げたのはその時でした。
 
雷光の中、ショールームの外を、傘もささずに、水色の服を着た女性が、ゆっくりと歩いていたのです。
 


 
まあ、単なる、偶然でしょうが。単なる、通りすがりの人でしょうが。
 
結構、心臓が、バクバクしました。
 


 
(↓)あと1本が出なかったなぁ…。澤村、いい投球してたのに。
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