久々の「昭和UFOネタ」です。
私と同世代のUFO好きなら必ずや見た事があるであろうこの1枚。
1967年、ロニー・ヒル(Ronnie Hill)と言う少年が撮影したとされる有名な
写真です。
1967年と言えば昭和42年。
日本では森永チョコボールが発売され、子供達は金のエンジェル探しに血
道をあげ、トヨタ2000GTやマツダコスモスポーツという日本製スポーツカー
を代表する名車がデビューして若者の羨望を集め、ミニスカブームが巻き
起こっておっさんたちはやに下がり、巨人がV3を達成しうちの親父が熱狂
するすると言う今から思うと非常にうらやましい年でした。
海外に目を向けると、モントリオールで万博が開催され、第三次中東戦争が勃発したのもこの年の大きな出来
事です。
そんな中の7月21日(金)午後。アメリカの片田舎、ノースカロライナ州パムリコ郡の小さな町に住むロニー少年
は自宅の裏庭で働いておりました。
(↓)パムリコあたりの町の風景。のどかですなぁ。
当時14歳のロニー君は、クラスの級長さんでありまたボーイスカウトのサブリーダーを務め、正直で聡明で勤勉
だと周囲からの評判が高い少年でした。この日も夏休みなのに親の言いつけを守って庭仕事か何かをやってい
たようです。つまり少年時代の私とは間逆な優等生で、個人的にはちょっと付合いづらいタイプですがそんな事
はどうでもいい。
さて、ロニー君が裏庭で作業に精を出しておりますと、いつしかガスの様な異臭が空中に漂って参りました。
ガスは刺激性だったようで、ロニー君の目からは涙がポロポロこぼれてきます。今でこそこのような場合、「すわ
異臭事件発生か?」となる訳ですが、40何年前のアメリカにナントカ真理教などがあろう筈もなく、ロニー君はた
だただポロポロ涙を流すだけ。しかし、聡明なロニー君はそんな状況の中でも冷静に周囲の様子を観察してお
り、いつも聞こえている鳥のさえずりや犬の吠え声が全くなく、かわりにどこからか「静かな音」が聞こえている事
に気付きました。とっとと家に入ればいいものをとも思いますが、そのまま15分もその場でうろうろしていたロニー
君。やがてブーンと言う音がしてガス臭はますます濃くなり、振り返ったロニー君は、空中に浮かぶ黒い帽子に
似た大きなUFOを目撃しました。黒い帽子UFOからは、直径9フィート(2.7m)ほどの白い球体UFOが分離し、降
下してきます。とっさに身を伏せたロニー君の胸中には様々な想いが巡り、「UFOを見たなんて言っても誰も信じ
てくれないだろうから…そうだ、写真を撮っとこう!!」と思い当たり、ここでようやく家に駆け込みます。本人曰く急い
でいたので、親にも誰にも何も言わず、カメラをひっ掴むと裏庭へ取って返しました。親でも連れてきて目撃者を
増やした方が信憑性も否が応でも高まると言うものですが、何故か聡明な筈のロニー君はそうは思わなかった
ようです。さてさて、裏庭に戻ると球体UFOはもはや着陸しており、突然耳が痛くなるほどの轟音が鳴り響いたか
と思うと、球体の後から宇宙人が姿を現しました。
宇宙人の身長は3.5〜4フィート(1〜1.5m)程
で、ヘルメットを被った頭は大きく足は細く、銀
色のスーツの腰の辺りには青い帯がありま
す。右手にはジョウゴ型の黒い物を持っており
ました。宇宙人はロニー君に15フィート(4.5
m)の距離まで近づくと、ジョウゴを地面に突き
刺しそして引き抜いて、踵をかえして球体UFO
の後に戻って行きました。
宇宙人の動作は終始よろよろとしており、向きをかえる時にはこわばった感じで上手く足を使えないようだったと
か。UFOの中でずっと正座でもしていて足が痺れていたのでしょうか。
で、再び耳をつんざく大きな音がしたかと思うと、球体UFOの下部から青くゆらめく光が噴射されて上昇し、黒い
帽子UFOの中から出てきたロッドに接続されると中に引っ張り込まれました。すると、黒い帽子UFOは猛スピード
で木の上を越えて、飛び去って行きました。
以上がロニー君が体験した一部始終です。
そして、この写真が世に出たきっかけは、ロニー君自身の売り込みでした。
ロニー君はNYの出版社が出すUFO専門誌(『Flying Soucers-UFO Reports』)にこの写真を送りましたが、同誌
は廃刊が決まっており、採用はされませんでした。
しかし、写真はUFO研究家としても、と言うか、「モスマン」で有名なジョン・A・キールの手に渡り、調査される
事となりました。キールの調査結果は概ね肯定的で、まあまあホンモノの宇宙人写真ちゃうかと言うようなもの
でした。それによって、本国はもちろん日本のUFO本などでも大々的に紹介され、私の様なUFO好きの
ガキ共は頻繁にこの写真を目にしては、ああやっぱりホントに宇宙人は地球に来てるんだ〜などと胸を
ときめかせたのです。
しかし、調べてみると、実はキールの調査は結構杜撰で、オリジナルのネガすら検分しておりません。キールの
見たオリジナルの写真はとても鮮明だとも言われておりますが、今も昔も我々が目に出来るのは掲出したような
不鮮明で果たしてホントに宇宙人なのか?と思われる物のみです。
この写真には宇宙人やUFOの大きさが比較できる、例えば建物とか、木とか、その類のものがどこにも写ってお
りません。真夏の午後に撮影した割には夜中のように暗いし。また、せっかくカメラを持って来たのに、写したの
がこの1枚だけと言うのも不思議です。帽子型UFOとか、上昇する球体UFOとかも普通なら撮影するでしょうに。
しかも、この宇宙人、カメラ目線でポーズとっちゃってるし。(*)
状況も不自然で、家に親が居るならやはり呼んでくるのが普通の少年の行動だろうし(それとも中2病まっさかり
だったのか?)耳が痛くなるほどの大音響を家人や近所の人が聞いてない。また、大きな帽子型UFOなどを
他の人が目撃していないと言うのはどうなんでしょうか。
−と言う訳で、今ではこの写真は人形を使ったトリックだと見る向きが多いようです。
ニューメキシコのUFO博物館( the International UFO Museum & Research Center )でも「小さなスケールモデ
ルと卵の殻を使った悪ふざけ写真」と紹介されているそうです。
この写真がインチキだとしたら、では何故ロニー君はこんな写真を作ったのか?
実は、ロニー君はこの写真を世に送ってから間もなく写真の著作権登録をしております。
つまり、この写真から生み出される利益が自分に還流するようにしていたと。
当時、UFOや宇宙人の写真が度々新聞雑誌を賑わせておりましたが、それはただ勝手にマスコミに使われてい
ただけで、撮影した本人がそれによって利益を得る事は殆どありませんでした。しかし、頭のいいロニー君は
こづかい稼ぎの方法として自分の撮った宇宙人写真の版権を持つ事を思いつき、実行したのではないのかな
あと、そんな風に思われているのです。
そうすると「証拠」は少ない方がいい訳で、何枚もトリック写真を作るとそれだけ手間隙もかかるしバレる可能性も
高くなる。そこまで考えてたとすると、やはりロニー君は只者ではないですね。
この事件、英語圏のUFOサイトでもあまり採り上げられておりません。つまりはあまり相手にされていないと言う
事です。ネタとして未だに使っているのは『○ー』系くらい。普通なら重箱の隅の隅までつつきまくり、現地調査や
町中にインタビューして回るのは朝飯前で事件の真相を暴こうとする海外の懐疑論者達も、この事件に限っては
あまり厳しくツッコんでおりません。相手は年端もいかない子供だし、大の大人があまりムキになっても…と言う
遠慮があったのでしょうか。
そんな訳で、ロニー君の写真はあちこちで使われて、正直で聡明で勤勉な少年の懐は相当暖かくなったようで
す。ちゃんちゃん♪
(*)2013年3月6日追記
割りと鮮明な画像を入手しました。
拡大。う〜む。ちゃちい。
ちなみに、画像元のサイトによると、ロニー君の証言どおりに写真を撮ると…
こんな風に写る筈だそうで…
やっぱりこの写真はインチキだと分析しております。
『ムーSPECIAL 超怪奇UFO現象ファイル』(学習研究社・並木伸一郎著)