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最近、個性的な宇宙人がいないとお嘆きの昭和世代の貴兄貴女へ。
確かに、昭和な宇宙人は素っ頓狂で個性的、一度見たら忘れられない素敵な奴ばっかりでしたが、ここの所
は右向いてもグレイ、左向いてもグレイで全くもってつまらないですよね。
しかぁし!!UFO&宇宙人業界も黙ってはおりません。
1990年代あたりにデビューした(と思われる)期待の新顔がおります。
その名も、 「インセクトイド」!!
読んで字の如く、昆虫型の宇宙人だそうです。
昆虫型ですよ、昆虫型。
1982年ジョージア州、1989年プエルトリコ・エルユンケ山中、1990年カリフォルニア州、1993年ミズーリ州スプリ
ングフィールド、1995年プエルトリコ・カノバナス…などに現れているそうです。
(←)1982年ジョージア州の農場にUFOとともに出現した体長2.4m
のカマキリ型のインセクトイド。
無限に広がる大宇宙では、ミミズだってオケラだってアメンボだって
みんなみんな生きているどころか知的生命体にまで進化しちゃって
るんですね〜。(ミミズは昆虫ではありませんが。)
いやぁ、それにしても、いいですね〜。「インセクトイド」と言う響き!!
うさん臭く、それでいてとても頭が悪そうな語感が堪りません。
フマキラーぶっかけたらコロッと逝っちゃいそうだと思うのは私だけで
しょうか。
いやいや、何言ってるんだ!! と、ビリ系の方々は仰るでしょう。
インセクトイドは、古代エジプト時代既に地球にやってきており、人類に智慧を与えたのだと。
その証拠に、古代エジプトの壁画にインセクトノイドの姿が刻み込まれているのだと。
そう仰る事でしょう。
その壁画がこれ(↓)だぁ!! 平伏せ、無知な人類共よ!!
「ああっ!?」
目の大きな、異形の宇宙人の姿が!!
これが、インセクトイドだぁぁぁぁぁぁ!!
(どの辺が「昆虫型」なのか、今ひとつ伝わってこないのが玉に瑕ですが。)
さて。
「 インセクトイドの壁画」は、サッカラにあるプタ・ホテップの墓に刻まれております。
サッカラと言えば階段ピラミッドが有名ですね。私も昔、行きましたが。プタ・ホテップの墓などその頃は
まるで眼中になく、見てこなかったのが今となっては残念です。
プタ・ホテップは、エジプト第5王朝でジェドカラー・イセシ王(在位期間前2414〜2375年)に仕えた高官です。
高官どころか、一説によると、王に代わって国政を取り仕切る摂政のような存在だったとか。
「プタ・ホテップは賢者として知られており、彼が偉大なる業績と名声を残す事ができたのは、
異星人とのコンタクトから驚異的な知恵を得た
からかもしれない。」 と、ビリ系の方々の間で云われております。
しかしですね。
ビリ系のサイトや本なんかの「インセクトノイド壁画の写真」って、掲載した画像の通り、どれもこれもみんな
何故かみんなぼやけているんですよね。何故なのでしょう?
(←)こんな風に。
(複数のビリ系サイトからお借りしました。)
鮮明な画像がない事はないのですよ。
念の為ですが、鮮明な画像で見ると、こうです(↓)。
インセ…クト…イド…?
と言うより、どう見ても壷に挿された
植物じゃないか、コレ!?
(←)拡大。
「…あ、ああ…?」
乗りかかった船なので、もうちょっと調べてみました。
その結果、これはやはり、壷に入った睡蓮 (ヨザキスイレン)だと言う事が判明しました。
ヨザキスイレンは「ナイルの花嫁」と言われるほどナイル川でよく繁殖しており、エジプト神話では、原初におい
て一本のヨザキスイレンから世界が生まれたとされております。現在のエジプトの国花にもなっております。
睡蓮は、古代エジプトでは「太陽の花」とも呼ばれ、再生のシンボルでもあったそうなので、壁画には良く描き
込まれております。
プタ・ホテップ墓の壁画にも、蓮を手に持つ男性が幾つも描かれております。
他の遺跡の壁画にも、睡蓮のモチーフは沢山使われております。
(↓)これなんか、まさに「インセクトイド」と同じく壷に挿された状態。
同様のものはちょっと探せばいくらでも見つかります。
睡蓮のモチーフは、エジプトの壁画としては、ごくごくありふれたものなのです。
(↓)ヨザキスイレンの花とつぼみ。
−と言う訳で、「インセクトイドの壁画」なるものの正体は、
壷に挿された睡蓮の花とつぼみだったのでした。
ちなみに、件の壁画(↓)に描かれているのは、プタ・ホテップに食事を供する従者の図だそうです。
(←)手に持っているのは、
首をおとした鳥だし。
何故、ビリ系ではぼやけた写真しか出さないのか、これで判りました。
鮮明な写真だと、それが宇宙人でも何でもない事がすぐにバレてしまうからだったのです…。
特に、少し古代エジプトに詳しい人が見たら、1発でヨザキスイレンだと判ってしまいます。
「インセクトイドの壁画」とは、良くある「ぱっと見そうみえる」よりも更に低レベルの、「ぼやかしてやっと、
ぱっと見そうみえる」と言うネタだったんですね〜。エジプト何千年の歴史に織り込むには、いささかセコイ
オチでした。
ちゃんちゃん♪
「あ〜あ。」
いや違ぁう!!
たまたま睡蓮に見えるだけで、これはやっぱりインセクトイドなんだぁぁぁ!!
と仰る方もいらっしゃるかと思います。(そう主張する根拠を示せ、と言う気もしなくはないですが。)
かしこまりました。14万8000歩ほど譲って、仮にこれがホントにインセクトイドだとしましょう。
では、インセクトイドはプタ・ホテップにどんな智慧を授けたのでしょうか。
それは、恐らく、「マナー」です。
プタ・ホテップは現代にまで残る、「プタ・ホテップの指導書」という書物を記しました。
(当然パピルスに書かれたのですが、コピーがルーブルに展示されているそうです。)
これは、世の若者たちに適切な振る舞いを教えるための書物で、現代風に言うといわゆる「マナー入門書」。
「世界最古のマナー書」とも呼ばれているそうです。
その中でプタ・ホテップは、
「美くしい考えは宝石よりも人目につかぬが、穀物を挽く侍女の手にさえ見える」
「沈黙すれば怒りに勝てる」
「真実の力は長く続く事である」
等々、4000年以上の時間を経ても色あせぬあまたの名言を残しております。
プタ・ホテップの残した言葉は現代でも「マナー講座」なんかで良く引用されるそうです。
それもまたインセクトイドから教わったとするならば、つまりは、インセクトイドは、わざわざ遠い星から、
地球人にマナーを教えにやって来たと言う訳で、いやいや、そりゃまたご苦労様でござます。
一応、プタ・ホテップさんの名誉の為に書いておきます。
プタ・ホテップのいた時代は、古代エジプトの太陽信仰が衰えを見せ始めていたそうで、その証拠にそれまでの
歴代王がせっせと太陽神殿を建設していたのに対し、イセシ王は一つも造っておりません。
王権は弱まっており、同時にヘリオポリスの太陽神官たちが台頭して、王権と神官、俗と聖の間で軋轢が生じて
おりました。当然、人心は乱れ、若者たちは退廃的になっていた事でしょう。
そんな中でプタ・ホテップは「指導書」を著したのです。
指導書の中には、こんな教えがあります。
「人々と食事をする場合には、目上の人に従え」
「皆が笑うときは笑え」
「食事の席では決して自己主張せず、上に立つ人の見方で物事を考えよ」
プタ・ホテップは、若者たちに、目上の人=究極的には王様に従い、自分勝手な行動を戒めることを教えて
いたのです。つまり、「昔みたいに、みんな王様の言う事を聞け!!」と言いたかったのではないでしょうか。
そんなこんなで、賢者として一所懸命王権を支えていたプタ・ホテップさんも、後世その知恵の出所が昆虫型
宇宙人だと言われるに至っては、草葉の陰でも泣くに泣けないだろうなぁと思います…。
『宇宙人の謎』(並木伸一郎/学習研究社)
【蛇足】
ビリ系の人は、昔の人間はよっぽど馬鹿だと思っているらしく、ちょっと凄いことをするとやれ宇宙人のお陰だ
とか言い出すのですが、壁画一つ調べられずに昆虫型宇宙人がどうのこうのとのたまっているビリ系の姿を客観的に見ると、馬鹿はどっちだと言いたくなるのは私だけではありますまい。
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