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アブゾノール

更新をサボってる間に聞いた話です。
 

 
何となく、体調がすぐれない。
 
私みたいに四十路も半ばを過ぎると、体調がすぐれている時の方が珍しいのですが、
 
話をしてくれた人はまだ20代後半です。
 
 
彼は、子供の頃から野球でならしたと言うスポーツマンで、健康そのものに見える。
 
そんな彼も、数年前、何となく体調がすぐれない日々を、過ごしていたそうです。
 
 
その体調不良が始まったのは、その年の秋口に、新しいアパートに引っ越してからでした。
 
そこに住み始めてからすぐ、何となく体調が悪くなりました。
 
最初は、慣れない環境で疲れがとれないだけだと思っていましたが、それが何週間も続く。
 
そのうち、着るものが少し緩くなって、明らかに筋肉が落ちている事を自覚するようになりました。
 
 
気に病むほどの事でもなかったのですが、ある日、同期の、同僚から声をかけられました。
 
最近、だるそうだけど大丈夫か、と。
 
寝込むほどでもないけど、軽い頭痛が毎日続いて、だるいんだよね。
 
こないだの健診じゃあ何にも出なかったんだけど。
 
そう答えると、その同僚は、やっぱりなと言う。
 
お前、まずいよ、住んでるところが悪いよ、と言う。
 
 
俺、小さい頃から、人に見えないモノが見える体質で、そんな事を言うと皆に気味悪がられるのであんまり
 
人には言ってないけど、お前はいよいよヤバそうだから、カミングアウトするけど、と同僚は言う。
 
何か、得体の知れないモノがいるよ、お前のとこ。
 
 
それまで、そんな変な事を言う奴じゃなかったので、どこかの新興宗教にでもかぶれたかと一瞬心配に
 
なりましたが、どうやら心配してくれてるのは向こうの方。
 
でも、俺がこんな事言ったって内緒ね。皆に気味わるがられるから。そう言いつつ、いたって真顔だし。
 
そういえばこいつ、いつも妙に勘が鋭いんだよな。
 
 
その夜、気になるから一度お前のアパートをみて見たいと言う同僚を連れて帰る事に。
 
翌日は休みなので、一杯やりながら泊まっていけよ、と言う流れでした。
 
しかし、駅を降りた時から、同僚はもう既に脂汗。尋常な様子ではありません。
 
駅からアパートまで徒歩ほんの5分なのですが、1〜2分も歩くと、もうここから先は行けないと泣き言を
 
のたまう始末です。
 
 
何となく胡散くさいとも思ってたので、もういいよ、有難う、どっかそのへんで飲んで行くか、と言うと、
 
いや、俺は帰るけど、お前、花でも木でもいいから、なんか植物を買って行けよ、と言います。
 
植物は、悪い気を吸ってくれるから。
 
でも、俺がこんな事言ったって内緒ね。皆に気味わるがられるから。
 
 
わかったよ、と同僚を見送り、せっかくああまで言ってくれるのだからと、花屋で小さな鉢植えを買って
 
アパートに戻りました。
 
 
そのアパートは新築で、例えば前に住んでいた人が自殺して云々などと言う、良くある曰くはない。
 
別に雰囲気が重くるしいとか、そんなのも、ない。小奇麗なアパートです。
 
ドアを開けて、改めて中を見回しても、何の変哲もない、ごくごく普通の部屋です。
 
 
その夜は、買ってきた鉢植えをテーブルの上に置いたまま、だるい身体をベッドに横たえました。
 
 
翌朝、その鉢植えを見て、驚きました。
 
枯れてる。
 
葉は萎びて変色し、触れるとカサパラと落ちてしまいました。枝は、指で摘むともろくも崩れるほどです。
 
寝る前まではあんなにみずみずしかったのに、ほんの数時間でこうまでなるものなのか。
 
同僚の脂汗の意味が判りかけてきましたが、いやいや、そんな馬鹿な事はない。
 
たまたま、弱ってる鉢植えを押し付けられたんだ。そう思うようにしました。
 
 
花屋は得てして早くから開いているもので、朝一番にその枯れた鉢植えを持って行って、昨夜買ったのが
 
もう枯れちゃったんですけど、いや別に、クレームをつける訳じゃないんですけど、こんな事ってあるのかなと
 
訊きにきたんです、と申し出ました。
 
カピカピになった鉢植えを見た店主は、いや、長年花屋をやってますが、一晩でこんな風になるなんて、初めて
 
です。いくら何でも。しかし、申し訳ないので…いやいや、お代は結構です。
 
と、同じ種類の鉢植えを、差し出してくれました。
 
いや、そんなタダで貰う訳には。いやいや気持ちですから。と押し問答をして、では、もうひとつ違う奴もと
 
その辺にあった鉢植えをひとつ買う事にして、都合二つの鉢をぶら下げて部屋に戻りました。
 
 
二つの鉢をまたぞろテーブルに置き、今度は水まで与えて、これでOKとばかりに外出し、彼女と遊んで
 
帰って来たのは、夜半過ぎ。
 
二つの鉢植えは変わりなく、青々としておりました。
 
やっぱり、昨日のが弱ってたんだ。
 
 
と、思っていたのですが、朝起きると、見事に、と言うのも変ですが、またしても、しかも二鉢ともカピカピに
 
枯れていました。
 
ひとつ−金出して買った方−は幹が直径2センチほどあるものだったのですが、軽く触るとポキリと折れて、
 
断面はまるで乾いて硬くなったスポンジのようで、枯れた、と言うより、朽ち果てた、と言った方がいいような
 
状態でした。
 
 
出社して、同僚にその話をすると、いいからもう、お前すぐ引っ越せと言います。
 
やっぱりお前のアパートには、ものすごく悪いモノが住み着いてる。新築?いや、そんな事は関係ない。
 
もっともっと古くから、その土地に居たモノだ。
 
でも、俺がこんな事言ったって内緒ね。皆に気味わるがられるから。
 
 
でもさぁ、また引越しなんて、面倒だし、金もったいないし、部屋自体は気に入ってるし。駅近いし。
 
お前、そんなのんびりしてると、死んじゃうぞ。マジ死相出てるぞ、お前。
 
でも、俺がこんな事言ったって内緒ね。皆に気味わるがられるから。
 
 
同僚の言葉の、妙な説得力に、心揺らぎましたが、もうしばらく様子を見ると言うと、
 
もうあと1週間かそこらが限度だぞ、いいから引っ越せ、ホント死ぬぞ、との答え。
 
 
そんな同僚の言葉が嘘でも妄言でもない事が判ったのはその晩でした。
 
帰宅すると、アパートの前に救急車やパトカーが赤灯回してガヤガヤと停まっており、見覚えのある管理会社
 
の人の姿も。訊くと、自分の隣の住人が亡くなったとか。
 
 
隣人とは一面識くらいしかなかったのですが、だいたい自分と同年代の人でした。
 
体格が良く、スポーツをやっていたのは間違いない、元気そうな男でした。
 
自分が入居した時には既に居た人でした。
 
シーツに包まれた遺体を載せた担架が、目の前を通り過ぎる時、何のはずみかで、ブラっと垂れ下がった
 
腕が見えました。
 
枯れ木のように痩せ細り、真っ白で、まるで、朽ち果てたような腕が。
 
 
携帯で、同僚に出来事を伝えると、今夜は絶対部屋で寝るなと言うので、とりあえず着替えだけ取って、
 
その晩は近所のビジネスホテルに転がり込みました。
 
 
その後しばらくは友人や彼女の家を転々としながら、引越し先を探して、そのアパートを引き払ったそうですが。
 
 

 
この話は、会社の後輩と一緒に車に乗って、都内の、とある住宅地を走ってる時に聞いたものです。
 
そこ、すぐ近くなんで、行ってみましょうか。
 
その誘いに、行こう行こうとはしゃいだ自分を後悔しました。
 
ここですよ、この辺…、あれ?ないな、アパート!?あれぇ???ここの筈なのに????何でないの?????
 
そんな彼の言葉の先には、空き地がありました。
 
草木一本生えていない、空き地が。
 
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