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「うわああ!!何だ、あれは!!」
湖で漁をしていた漁民は叫んだ。
湖面に現われたのは、頭部がライオンか魚のようで、体はウナギのように長細い、全長30mを過える巨大な
生物だった。アフリカ南部のカリバ湖では、この謎の生物がひんぱんに目撃され、現地では『ニャミニャミ』
と呼ばれ恐れられています。
−と言う訳で、子供の頃読んだ世界の不思議系の本っぽく始めてみました。
ニャミニャミ。UMA本なんかにもあまり載っていない、ややマイナーな未確認生物、でしょうか。
語感からすると、ネコ系のかわいい生物を想像しますが、さにあらずです。
アフリカ大陸南部、ジンバブエとナミビアの国境に位置するカリバ湖で目撃が相次いでいるとされるUMAです。
(↓)カリバ湖。
しかし、調べてみると、冒頭のように「うわああ!!」と恐れられるような存在ではない事が判ってきました。
カリバ湖は、カリバダムよってザンベジ川せき止めて造られた、世界有数の巨大さを誇る人造湖です。
もともとここは、ザンビア北部に源を発しインド洋にそそぐザンビア川の中流域で、渓谷にそそりたつ岸壁は
カリバと呼ばれ、原住民であるトンガ族の聖地でした。
トンガ族は温和な民族で、争いを好まず過酷な土地でも平和に暮らておりました。
イギリス植民地時代の1950年代、大きな災厄がトンガ族にふりかかりました。
ザンビア川をせき止めて人造湖を造る計画が持ち上がり、トンガ族の土地はことごとく水の底に沈む事になって
しまう事になったのです。
ダムの建設には反対するものの、植民地政府は力なき一部族の訴えに耳を貸そうともせず、建設は強行され
ました。トンガの長老や祈祷師は、そんな事を神が許す訳はないと、人々と共にカリバに祈りました。
そう、カリバには、魚の頭に蛇の胴体を持つ神様、「ニャミニャミ」が住んでいるからです。
ニャミニャミはトンガの民が飢えに苦しむと自らの肉を人々に切り分けて与えたと言う伝説が残る
アンパンマンみたいな優しい神様であり、ザンベジ川の守護神でもあります。
一旦ニャミニャミが天に昇ると、雷鳴が鳴り響き天候を自在に操ると信じられておりました。
それをを尻目に、ダムは1955年に着工されてしまいました。
しかし、トンガの人々の祈りは通じたようです。
1957年7月、ザンベジ川上流に激しい嵐が巻き起こり、1000年に一度とも言われる大洪水が工事現場を
襲ったのです。骨組みまで出来上がっていたダムは機材もろとも押し流され、工事は振り出しに戻ってしまい
ました。多くの犠牲者が出ましたが、何故か亡くなったのは白人ばかり。
遺体が見つからない人も多く、困り果てた捜索隊はトンガ族の長老のもとを訪ねました。
長老が子牛を生贄に捧げると、ことごとく行方不明者が発見されたと言います。
工事が再開してようやく軌道に乗り始めた翌年3月。さらに大規模な洪水が発生し、再び工事現場を飲み
込みました。トンガの人々はニャミニャミの偉大な力に感謝し、植民地政府側もいよいよニャミニャミとトンガ族
をないがしろにする訳にはいかなくなりました。政府はトンガ族の村に役人を派遣し、話し合いがまとまった時、
洪水はうそのように引いていったそうです。
100名以上の犠牲者を出し、1959年にようやく完成に漕ぎ着けたダムでしたが、その後のトンガ族の暮らしは
悲惨でした。先祖伝承の土地の代わりに与えられたのはおよそ農耕に向かない荒れ果てた土地だったのです。
とうもろこし、豆や落花生の農作と牧畜で暮らしていたトンガの人々の生活は困窮を極めました。
仕方なく都会へ出て低賃金の労働を強いられる者も多く、補償もないに等しい状態でした。
そこで、再びニャミニャミの怒りがダム湖に鉄槌を下しました。ザンビア川にはないはずの浮き草が大繁殖を
始め、カリバ湖の広大な湖面の実に1/3を覆ったのです。
おかげで船は進むことが出来ず、取水口を塞がれたダムは発電出来なくなる事態となりました。
ここでニャミニャミは溜飲を下げたのか、温和な民族の神らしく怒りを解いたのか、ほどなく水草は姿を消し、
ダムはザンビアとジンバブエの広い地域に電気を供給。両国の生活水準向上に貢献する事になりました。
その後、カリバ湖畔にはニャミニャミの像が祀られ、ニャミニャミは木彫り像やアクセサリーのモチーフとして、
人気のおみやげ物にもなりました。
(↓)カリバダムとニャミニャミ様。
つまり、ニャミニャミ様は日本の竜神様のような、川と民を守る神様だったんですね。
ザンビアは「世界平和度指数(2010年発表)」なるものによると、アフリカで最も平和な国とされているようで、
また、カリバ湖はリゾート地として栄えているそうで、今の所、ニャミニャミ様も大人しくして下さっております。
ダム建設によって移住を余儀なくされたトンガ族は57,000人にもなり、移住先で換金性の高い作物を栽培する
事を教えられ、学校や病院も作られているそうですが、まだまだ「開発難民」の域を出ていないようです。
そして、ミャミニャミ様は、トンガ族の人々が困っていないか見回るように、時々水の底に沈んでしまった
カリバの崖から出てきては湖面に顔を出しているのです。
トンガ族が真に自立し、幸せになった時、ニャミニャミ様はカリバの崖で静かな眠りにつくのでしょう…。
(参考) 徳島で国際協力を考える会(TICO)「トンガ族とニャミニャミ様」 株式会社ボイス「ザンベジの神、ニャミニャミ」 UMAファン〜未確認動物「ニャミニャミ」 Wikipedia(英語版)”Nyaminyami”
これが日本だったら、とっととゆるキャラ化されちゃうんだろうなぁ…。名前からして既にゆるキャラだし。
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2013年02月13日
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