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「晴海埠頭に、幽霊がでる」
そんな噂が取材班の耳に入ったのは、仕事も終わった、夜7時だった。
以前なら、そんな話を聞くやいなや、「ヨシッ!!出動だッツ!!」と椅子を蹴っていた取材班長・TOであるが、
今や年老い、すっかり腰が重くなった彼は、興味なさげに「ふ〜ん…」と唸っただけであった。
そんなTOの姿に、当ブログのヘビーユーザーでもあり、会社の部下でもあるAは苛立ちを隠せなかった。
「あの…、突撃、しないんですか…?」遠慮がちにAは言った。
「突撃? そんなことをして何になるんじゃ。儂ももう若くはない。それにの、過去色々な所に行っては
みたがのお。どこにも幽霊なんておらなんだ。おらんのじゃよ、幽霊なんて、この世には…。ゴホゴホ。」
しわがれた声でTOはつぶやくように答えた。(どんだけ老けてんだよ。)
ばきッツ!!
AのワンパンがTOの顔面を捉えた。椅子ごとひっくり返ったTO。
鼻血を垂らしながら「こ、この老人に、な、何をするのじゃ!?」とAを見上げる。
「そ、そ、そんなの、TOさんじゃないよッ!! 幽霊が出ようが出まいが、その目で確かめに行くのが
TOさんじゃないかッツ!! 歴代の鶴亀も草葉の陰で泣いてるよッツ!!」
Aの頬には、光るものが、滴っていた…。
「ハッ…、つる…かめ…」
TOの脳裏には、過去、共に心霊スポットと言う名の戦場を駆け抜けた、歴代鶴亀の姿がよぎった。
雨の日も、風の日も、寒い日も、暑い日も、心霊スポットに乗り込む時はいつも、我が手には
鶴亀があった…。それは、まさに、戦友。今は亡き、戦友達…。
(ここで、TOの脳内に『ロッキーのテーマ』が流れる。)
TOはゆっくりと起き上がり、鼻血を拭うと、照れくさそうに言った。
「―久々だな、このセリフを吐くのは…。」
そして、毅然として言い放った。「ヨシッ!!取材班、出動ッツ!! 」
「そうこなくっちゃ!! はい、これ!!」 Aの手から、TOの手に渡されたもの、それは新鶴亀だった。
嗚呼、雄々しく立ち上がったTO。この勇姿を、Aは待ち望んでいたのである。
TOの胸には再び突撃の情熱が、TIMの『炎!!』のように揺らめきだしたのだ。
「応ッ!! 行くぞ、A!! 我に続け!! 我は行く、青白き頬のままで!!
当ブログの興廃この一記事にあり、各員一層奮励努力せよ!!
死して屍拾う者なし!!落とした金は拾う者あり!! 霊は晴海埠頭にあり〜ッツ!! 」
「は?僕行きませんけど。怖いし、メンドイし、彼女と約束があるんで。お疲れ様で〜す。
記事、楽しみにしてますよ。」
テンション上げるだけ上げといて、とっとと去っていくA。
とっとと去る太郎かお前は…。
そんなツッコミも虚しく、かくして、取材班はいつものように、ポツンと一人きりになった…。
―という訳かどうかは兎も角、久々の突撃でございます。約2年ぶりです。
我ながら、見事という他ない怠惰っぷりです。
晴海埠頭は、うちの店からも歩いて行ける距離。
客船ターミナルには日本のみならず世界の豪華客船が発着する事で有名であり、
埠頭に隣接する公園は、都内有数の夜景の名所でもあります。
その晴海埠頭に、幽霊が!? そんなの、寡聞にして聞かずでした。
何でも、客船ターミナルビルで開催される各種イベントで写真を撮ると、しばしば霊が写り込み、
また、晴海通りから埠頭に至る道や、埠頭公園でも、しばしば心霊写真が撮られているとか。
こんな近場に心霊スポットがあったなんて、埠頭だけに灯台下暗しって奴ですね(笑)。
さて、新鶴亀と言う最新テクノロジーを搭載した心強い味方を手に、現場に向かう取材班。
新鶴亀、デビュー戦です。奮励努力せよ、新鶴亀。
どうせ行くなら、とびっきり深夜だから、行きつけの飲み屋で一杯ひっかけてからね…。
一杯が二杯、二杯が四杯となり、いい加減終電も終わって久しい時刻に、やっと根の生えた腰を
上げた私TO。まずは、晴海大橋で、新鶴亀のテスト・ショット。
(↓)豊洲の夜景。雨後の筍のように、タワーマンションがどんどん生えてきます。
さあ、いよいよ、晴海トリトンあたりを起点に、埠頭に向かいましょう。
埠頭に入ると、昔ながらの雰囲気を残す倉庫街。
味があるなぁ…。
ちょっと(20年くらい?)前まで、このへんって、こんな風な倉庫しかなかったもんなぁ…。
しかし、ヨド○シカメラのお兄さんが、「暗いところでも良く写りますよ」と言ってたので
この新鶴亀(ソニーCyber-shot DSC-WX300)を選んだのですが、フラッシュなしで鮮明に撮れます。
さすが、イッツアソニー。
(↓)高潮の防潮壁。
蛇足ですが、私も大好きな曲である、『埠頭を渡る風』(1978年)の舞台は、ここ、晴海埠頭だとか。
雰囲気だなぁ、雰囲気!! ユーミンは、この雰囲気、わかってるよ!! と、思いつつ、
『埠頭を渡る風』の鼻歌まじりで、のたのた歩きます。
6月も始まったばかりだと言うのに、今日の昼間は気温が30度近くまで上がって暑かった。
しかし、深夜の晴海埠頭には、涼しげに潮の香りをのせた風が心地よく渡ります。
倉庫街を抜けると、工事区画に入ります。
このあたりには、東京オリンピックの選手村が建設されます。ゆりかもめの駅も出来るそうな。
また、昔は見本市会場があり、私の子供の頃なんかは、ここで東京モーターショーをやってました。
横浜から来て、竹芝から船に乗って、心ときめかせながら通ったものです。
(↓)昼間は獅子奮迅の重機も、今はお休み。
(↓)おお、土管だ、ドカン!! 子供の頃はそのへんの空き地に転がってたけど、久しぶりに見たなぁ。 (↓)勝どき方面を望む。ここでも続々とタワーマンション建設中。
(↓)見本市会場跡地は、現在は清掃工場になっております。
(↓)清掃工場も眠りに堕ちているようです…。何気に、怖そうな文字が踊ってますが…。
はんなりと歩いていると、やがて、灯りの消えた客船ターミナルが見えてきました。
ここは、客船だけでなく、各国から訪れた軍艦や、南極観測船『しらせ』なんかも来ます。
ついこないだは、自衛隊の練習艦隊が接岸してましたっけ。
(↓)ちなみに、昼間はこんな感じ。
真っ暗なターミナルをやり過ごして、その先の埠頭公園へ。
(↓)電光掲示の「F」は、自由信号(入・出航の両方可能)を示しています。
(↓)桟橋に
夜中に、こうして船を見ていると、昔、横浜港の大桟橋で深夜の荷役のバイトをやったのを
懐かしく思い出します…。潮の香りは、あの頃と変わりません…。
(↓)東京タワーが、船の上でキャンドルのように光っております。
晴海埠頭公園は、深夜でもこの季節ならではの緑が新鮮に濃く、目に染むようです。
本当に気持ちのいい場所です。
はて?私は、何で今ここにいるのか?
あ、そうそう。心霊心霊。はいはいはいはい。
―いやでも、ここには出ないでしょ?
こんなに綺麗で、むしろ気分爽快すぎる場所ですから。
そうして、終電もない真夜中。
私TOは、帰る場所なき夜の大都会に溶けていくのでした…。
いつもながら、こんなんで心霊スポット突撃と称して良いのか!?
―と自問しつつ、記事を終わります。
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