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昭和なUFOファンなら、ご存知でしょう。
誤認や偽造が大手を振って歩いているUFO写真の中でも、「ホンモノのUFO写真」と誉れ高いあの写真の事を。
そう、1950年にオレゴン州マクミンビルでトレント夫妻によって撮影された、2枚の写真です。
「トレント写真」とか「マクミンビル写真」とかと呼ばれております。
のどかなところですね〜。
で、これが、その写真。
(↓)1枚目。
(↓)2枚目。
(↓)1枚目拡大。
(↓)枚目拡大。
冷戦初期の1950年5月11日木曜日。全米を沸かせたケネス・アーノルドの事件から3年後の話です。
オレゴン州マクミンビルで農業を営む、ポール・トレントと、妻のイブリンは、一日の農作業を終え、自宅に戻って
おりました。陽も落ちた19:30過ぎ、裏庭でウサギに餌をやっていたイブリンが、北東からゆっくりとこちらに向っ
てくる銀色の円盤に気付きました。円盤はちょっと傾いた格好で飛んでいて、音や煙は出していません。
イブリンが、「Darling.!Serious thing occurred、come early!!(あんた!!大変やで、はよ来てや!!)」と言ったかどうか
は記録に残っておりませんが、呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーンのポールも、「It is what …this ?(何じゃ
こりゃぁぁ?)」と叫んだかどうかは記録に残っておりませんが、 兎に角ビックリして、カメラを持ってくると、何と
か2枚の写真を撮りました。ポールによると円盤は、「ヒモがないパラシュートのようで、銀と青銅を混ぜたようにと
ても明るく輝いとったで」と言う事でした。
円盤は北西へと高速で飛び去り、ポールのお父さんもその様子を目撃しておりました。
最初は、円盤の写真をそんなに重要なものだと思って
いなかったトレント夫妻でしたが、銀行家のフランクに
ふとその話をしたところ彼が食いつき、フランクから話を
聞いた地元紙『テレフォン・レジスター』が記事にしたとこ
ろ、1950年6月26日の『ライフ』誌で特集が組まれる程の
騒ぎになりました。
この、トレント夫妻の写真が「ホンモノのUFO写真」とされるのは、UFO現象に否定的な結論を出したコンドン委
員会のレポートに取り上げられて唯一否定されなかったUFO写真となったからです。同委員会で写真の分析を
担当していたウイリアム・K・ハートマン博士が、「地理的、心理学的、物理的に、すべての要因について調査され
ためったにない報告の一つである。金属的な光沢を持ち銀色に輝く、直径が10m以上ある円盤型をした明らかに
人工的で尋常ではない飛行物体が、2人の目撃者の前を飛んだと言う主張と一致している」とひどく肯定的に評
価したのです。
また、トレント夫妻は人望も厚く、この写真で金を稼ぐ訳でもなかった事が、信憑性を増した要因でもありました。
UFO研究団体のGSWによるコンピュータを使った分析でも、円盤を吊っている糸などは発見されず、円盤は直径
20〜30m、おそらく磨いた金属でできたものであるという結論が出されました。
ところが、生半可な事では納得しないのがアメリカの懐疑派連中です。
この事件でも、お馴染みのロバート・シェーファー、フィリップ・J・クラスなどが調査に乗り出しました。
シェーファーは写真を詳細に分析し、日没直後に撮影されたにもかかわらず、オイルタンクには光が照り返して
おり、後の建物の壁に影を作っている事に矛盾を感じ、その後の調査でその壁は東に面しているのを突き止め
ました。東向きの壁に日没後に影が出来る訳はないと言う事で、色々調べた結果、写真が撮られたのは19:30で
はなく、7:30だと確定しました。
クラスは、撮影時刻を偽ったのは、外に目撃者がいない事を怪しまれないようにするためだとしました。
また、トレント夫妻が嘘発見機での検査を拒否した事実も指摘しました。
これに対して、写真を分析して肯定的な結論を出した光学・物理学者にしてUFO研究家のブルース・マカビー博
士は建物の影は夕日を浴びた雲の反射光であろうとし、日没後の時間でもこの写真は撮影し得ると反論。
議論は決着を見ないままでした。
そんなところで、撮影されてから60年以上経っても、「ホンモノのUFO写真」とされているのです。
で、今更私ごときが何を調べても仕方がないんですが、一応調べてみました。
当日のマクミンビルの日没時間は西海岸時間19:34であるのは確認できたのですが、そうなるとやっぱり、
日没後の撮影にしては明るすぎないか???と言う疑問は沸いてきます。
当時のカメラで、どんなに絞りを開けたって、こう明るく撮れるものなのか。しかも、ポールは「とても明るく輝いて
いた」と言っており、露出が物体に合っていたなら周囲は暗くて写らないだろうし、逆に周囲に露出が合ってたな
ら、円盤は明るすぎてとんでしまい、こんな風には写らないだろうと。
だって、ポールの使ってたカメラって、こんなんですよ?
そして、「雲の反射で影が出来た云々」とのブルース・マカビー博士の主張ですが、その後の調査で、当日マクミ
ンビルは雲ひとつない晴天だった事が判明し、論拠が崩れております。
―やっぱり、朝に撮ったのでは????と思えてきます。
コンドン・レポートでは肯定的な分析を示したハートマン博士も、シェーファーの見解を入れ、「インチキの可能性
は除外できない。(トレント写真について)大きな矛盾が見つかった。」と述べて態度を変えております。
また、建物の壁に出来た屋根のひさしの影を精密に分析すると、微妙に違っており、2枚の写真がほぼ同時に連
続して撮影されたとは考えられないと言う、まさに重箱の隅の隅のそのまた隅っこを突くような指摘もあります。
さらにまた、最近になってジョエル・カーペンターと言う人がコツコツコツコツ調べた結果、この円盤は
旧式のトラックのミラーであると突き止めてしまったのです。
おそろしや、欧米のUFO研究家…トレント写真がホントかウソかと言う事よりも、何でそこまでの執念を燃やせる
のかの方が、よっぽど興味が出てきますな…。
と言う訳で、色々な海外のサイトを拙い英語力で漁ってみましたが、今ではこの写真を「ホンモノのUFO写真」で
あると信じているのはかなり少数派のようです。 事件が有名になった後、イブリンは「過去3回UFOを見たけど、この写真を撮るまで誰も信じてくれなかった」と、
地元紙のインタビューに答えております。
また、1967年に同じ新聞から受けたインタビューでは「あの写真を撮ってからも、たびたびUFOを目撃してるけ
ど、あまりにも早く消えてしまうので、写真は撮れてないのよ」と語っております。
こういう事実を知ってしまうと、アーノルド・フィーバー以来空飛ぶ円盤にかぶれてしまった朴訥な夫婦の姿が思
い浮かんでしまったりするのですが…。
あくまで、私の想像ですが、決して悪気は無かったんだろうけど、近所の人に円盤目撃を認めさせたくて仕込ん
だちょっとした悪戯が新聞に出る羽目になり、騒ぎになって…、と。
円盤の写真を、最初はそんなに重視してなかったのも尤もで、ちょっと近所の連中に見せてやろうと言う程度の
ものだったのでは?−と。
イブリンさんは1997年、ポールさんも後を追うように1998年と相次いで鬼籍に入られておりますので、今となって
は確かめようもありませんが…。
―ところで、旧式のトラックのミラーって…
…?
……!?
(参考) The UFO Skeptic's Page 「 The Trent UFO Photos」 Dr. Bruce Maccabee's original analysis of the Trent UFO photos Dr. Maccabee's rebuttal to the Klass-Sheaffer explanation McMinnville UFO Photos 50 Years Later - Still A Mystery The Trent UFO Photos McMinnville, Oregon - May 11, 1950 Pegasus Research Consortium The UFO Files「The Trent UFO Photos McMinnville, Oregon - May 11, 1950」 UFO RESOURCE CENTER UFORC CASE STUDY McMinnville UFO Photo Analysis
『宇宙人とUFOとんでもない話』(皆神龍太郎著/日本実業出版社)
(2012年12月19日追記)
UFOの写真を撮った同じフィルムには、こんなコマもあったそうです。
空模様からして、「UFO」を撮影した当日に撮られたものと思われます。
左は、トレント夫妻の息子さん。右は子供が乗っていた脚立が倒れているところ。
息子さんも悪戯を手伝っていたのでは? と思わせる写真です。
相変らず気になるのは、「棒」の位置がショットごとに変わっているところ…。
(参考) The Bragalia Files
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