深夜、都内の病院(あるいは墓地)前で若い女を乗せたタクシー。 告げられた行く先の家に着けると、持ち合わせが無いので、家人にお金を貰って来ます、と言い残し 女は家の中へ。 待てど暮らせど、女は戻らず、業を煮やした運転手は家の呼び鈴を鳴らす。 出て来た年寄りに、その旨を告げると… 「ああ、ああ、御代は今すぐお払いします。実は今日は亡くなった娘の命日で、きっと娘が戻って来てくれたのでしょう…」 怪談の定番「タクシーの幽霊」。 一つの典型的なパターンは上記の様なお話です。 興味があったので、ちょっと調べてみたのですが、このパターンのお話は、タクシーが「円タク」と呼ば れていた昭和初期、既に巷で囁かれていた怪談でした。古典ですね。 更にその類の怪異譚の雛形は、古く欧米の「乗合馬車の幽霊」に見る事が出来ます。 そして、その後、流布しだすのが、次の様なお話。 深夜、病院(もしくは墓地)前で若い女を乗せたタクシー。 暫くは、ポツポツと会話もあったが、それも途絶えがちになる。 遂には話しかけても無言のままなので、心配してルームミラーを覗くと、後部座席に女の姿が無い。 慌てて車を停め、後ろの席を見ると、無人のシートは水でぐっちゃりと濡れていた… 「水でぐっちゃりと…」と言うくだりが、タクシーの怪談に付加されだしたのは、昭和も30年代半ば頃か らの様です。 ―その背景には、あの大災害がありました。 1959年(昭和34年)9月26日潮岬の西に猛烈な勢力を保ったままに上陸し、5000人以上の死者を出した 伊勢湾台風です。 阪神・淡路大震災までは犠牲者数が戦後最大であった、この自然災害についての詳細は省きますが、 この後、タクシーの後席を濡らす幽霊が現れる様になりました。 伊勢湾台風の5年前、1954年(昭和29年)に来襲し、青函連絡船「洞爺丸」を沈め、1700人を超える犠牲 者を出した台風15号(通称洞爺丸台風)の記憶も生々しいまま、更に甚大な被害をもたらした台風は、 「タクシーに乗って、我が家に帰る死者」と言う、切ない怪談を生み出したのです。 水害で亡くなったから、シートが濡れる。―そう言う事の様です。 この類の怪談は、1968年(昭和43年)集中豪雨による土砂崩れの為、2台の観光バスが渓谷に転落し、 104人の犠牲者を出して日本のバス事故史上における最悪の事故となった、「飛騨川バス転落事故」 の折にも流布した様です。 「シートを濡らす幽霊」は、当初はあくまでそういった災害・事故の犠牲者だったのですが、 話が広く全国に流布するに連れて一般化し、何も関係の無い場所でもその様な幽霊の目撃譚が囁かれる 事になった様です。 そして、「シートを濡らす幽霊」は余りに陳腐化してしまったのか、最近めっきり現れなくなりました。 私としては、その様な幽霊譚が復活する様な災害や事故が起こらぬ様に祈るばかりです…。
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車に纏わる怪
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箱根の某スカイライン。Sさんは友人をバイクの後ろに乗せ、夜の峠を流しに来ていました。 いつもは2台で来るのですが、友人のバイクはコケて修理中なので、今日はニケツ(二人乗り)です。 腕に憶えのあるSさんは、それでも、結構なペースでコーナーを攻めて行きます。 途中の駐車場で、眼下の夜景を眺めながら一服。 週末なら、走り屋が大勢たむろする場所ですが、ウイークデーなので、他に人はいませんでした。 小一時間駄弁った後、さあ、そろそろ行こうかと、バイクに跨ったSさん。 後ろのシートに友人が座った重みを感じ、「行くよ」と声を掛けてアクセルを開けました。 ―そして、最初のコーナーに入ろうとした時、異変が起こりました。 後ろに乗る友人が、何を思ったのか、急にSさんの二の腕を強く掴む。 「お、おい!?止めろお!!こ、こける!!」 チラと見ると、ボロボロのライダー・グローブの手が自分の腕を掴んでいます。 (あいつ、こんなグローブはめてたっけ…?) 辛うじてコーナーを抜けると、今度は後ろから首を絞めてきます。 それも、冗談にならない位に強く。 「や、め、ろ…」 すると、友人は首を絞めたまま強く左右に揺さぶります。 たまらず、Sさんはそのまま転倒しました。 路肩に転がったバイクの脇で、Sさんは転がったまま、友人に向って怒鳴り散らしました。 「てめえ、何しやがんだ!!」 …ところが、上半身を起こし、見回しても、周囲に友人の姿は無い…。 (え、どこかに飛ばされた???そんなにスピード出てなかったけど…何処いったんだ、あいつ???) そうしている内、向こうから、後ろに乗っていた筈の友人が、息を切らしながら走って来ました。 「お前、何乗せてんだよ!!気付かなかったのかよ!!」 そう叫ぶ友人に助け起こされながら、Sさんは、訳が解らず呆然としていました。 「何って、お前が乗ってたじゃん…」 「俺、乗ってねえよ!!俺が乗る前に、ケツにボロボロのツナギを着た奴が乗って、お前、そのまま 行っちゃったんだよ!!」 (ボロボロのツナギ…腕を掴んでたのも、ボロボロのグローブだった…) 「アイツ、絶対生きてる人間じゃないよ!!それに…見ろよ、ここ!!」 友人に言われて改めて見回すと、そこには、ガードレールに沿って、沢山の花束が置かれていました。 「―ヤバイから、すぐ逃げよう!!」と、友人がバイクを引き起こしました。 友人に運転して貰い、何とか無事帰り着いたSさんですが、 箱根を下りるまで、ずっと、1台のバイクのヘッドライトが付いて来ていたそうです。
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その看護婦(*)さんは、慌しく動き回る他の看護婦さんやお医者さんを気にする風も無く、ただじっと 処置室の片隅に立っています。 彼は、何となく、ぼんやりと、その看護婦さんを見ていました。 ―彼が気付いた時は、病院の処置室の台上に横たえられていました。 意識ははっきりしていますが、記憶が断片的で、何故自分がここに居るのか、何をされているのかが 解りません。 お医者さんが、名前言える?歳は?この指何本?と、滑稽なくらいに真剣に聞くので、 「Yです、22歳です、3本です」と答えました。 (―原チャリで走ってて…、どうしたんだっけ?俺、事故ったのかなあ?たぶん、そうだろうなあ…) 処置室はてんやわんやで、皆一生懸命自分に手当てをしてくれていますが、痛みも何も感じません。 身体は全く動かない。触られている感触もしません。 何も出来ないので、目線は何時しか片隅に立つ看護婦さんを観察していました。 綺麗な、若い看護婦さんですが、相変わらず無表情で、何もせず突っ立っているだけ。 じっと、自分を見つめています。 おや、と思ったのは、その看護婦さんだけ、他の人と着ている服が違う事。 看護婦さんは皆薄いパステルカラーの服を着ていますが、その看護婦さんは純白の、何となく少し古いデ ザインの看護服を身に着けています。 (―あの人、何をしてるんだろう?他の人も何も言わないし…。) 暫く見ていると、その看護婦さんはぼそぼそと口を動かし始めました。 何と言っているかは聞こえませんが、同じ言葉を繰り返している様です。 そうこうする内、口に酸素マスクの様な物をはめられ、彼の意識は薄らいで行きました。 Yさんは、このブログに良く登場するOさんの前職時代の友人です。 この話も、Oさんから聞きました。 Yさんは、大学時代に、バイトの帰りに原チャリを走らせている時、信号無視の乗用車に出会い頭に跳ね飛ばされ、救急病院に搬送されたそうです。 脳に出血があり、一時は相当危なかったのですが、運ばれた病院にたまたま脳外科手術では有名な先生が居て、難手術の末に一命を取り留めたどころか、後遺症も残らなかったそうです。 Yさんは、長い入院生活の間、ずっとあの看護婦の事が気になっておりました。 (―あの看護婦さんは何て言ってたんだろう。何で一人だけ違う服で、何もせずに立ってたんだろう。) 仲良くなった看護婦さんにその話をしても「意識が朦朧として、幻覚を見たのよ。そんな人、うちの病 院に居ないし」と、まともに取り合って貰えません。 Yさんも次第に、まあ、そうだろうなあ…と思う様になって来ました。 そして、リハビリも順調に進み、いよいよ退院の日。 Yさんは、迎えに来た母親に伴われ、ナース・ステーションに今までのお礼に行きました。 あ、居た。あの人だ…。 笑顔で祝ってくれる看護婦さん達から離れた壁際に、あの日の看護婦さんが立っていました。 無表情で、じっとこちらを見ています。 口はやはり何かを呟く様に動いています。 Yさんが一瞬目を逸らした次の瞬間には、もうその看護婦さんの姿はありませんでした。 母親が運転する車の助手席で、Yさんは想いに耽っておりました。 (さっき見たのも、幻覚なんだろうか?幻覚って、あんなにはっきり見えるものなのか? 服の皺や、胸ポケットに刺したペンもはっきりと見えていた。あれが幻覚だとしたら、俺はまだ 完治していないのでは…?もし、幻覚でないとしたら、あの看護婦さんは…。いや、そんな馬鹿な…) そして、数ヶ月後、すっかり回復したYさんは、以前と変らぬ生活に戻っておりました。 ある日、家の車を借りて友達とドライブに行った帰り道。 夜の国道を、独り家路を急いでいました。 チラ、と助手席に何か白い物を見たYさんが、嫌な予感に襲われながら左をみると… あの、看護婦が、助手席に座り、Yさんを見つめていました。 その時、その看護婦が呟く言葉が、初めてYさんの耳に入りました。看護婦は小声でぶつぶつと、 おいでおいでおいでおいでおいで…と繰り返しておりました。 Yさんは、再び病院にかかる事になりました。 今度は、事故をしたからではありません。 あの夜、看護婦はいつの間にか助手席から消えました。 しかし、それからと言うもの、学校のサークル室やバイト先、自宅の風呂場やベッドサイド…。 所構わずあの看護婦が現れる様になったのです。 通院したのは、精神科の病院でした。 Yさんはノイローゼ寸前まで追い込まれましたが、長い治療の末、ようやく看護婦の姿に怯える事も 無くなりました。しかし、お蔭で留年してしまいましたが。 そんなある日、Yさんが帰宅すると、「今、病院から看護婦さんが来たのよ」と母親が言いました。 「でも、何か変なのよ」と。母親の話では… チャイムが鳴って出てみると、白い看護服を着た綺麗な人が立っていた。〇〇病院から来た、と言う。 以前息子が事故で入院した病院。用件を聞いても、何事かぶつぶつ言うだけで、話がかみ合わない。 電話が鳴ったので、ほんの1分位玄関から引っ込んだら、看護婦は、居なくなっていた。 真昼とは言え、芯からぞっとした…。 「あんたの見た、看護婦の幻覚、あれ、幻覚じゃなかったのかも…」母親の顔は青ざめていました。 その後、「馬鹿馬鹿しいけど、念の為…」と言いながらも、半ば本気で御払いを受けたYさん。 それからは、何事も無く過ごしているそうです。 しかし、やはり時々、あの看護婦の夢を見るそうです。 おいでおいでおいでおいでおいで… (*)今は「看護士」と呼ばれておりますが、当時はまだ「看護婦」と言う呼称が一般的だったため、 記事中の呼称も「看護婦」としました。 だらだらと長く書いてしまいましたが、平たく言えば「看護婦の幽霊に付き纏われた」と言う、良くありがちな話です…。Oさんから聞いた時はムッチャ怖かったんですが…。
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以前に、友人のお父さんがバス会社にいた、と言う話を書きましたが、その友人が色々話を聞き 出してくれましたので、せっかくだから記事にします。 どのお話も、友人のお父さんに言わせれば「バス会社では良くある事」らしいです。 まず、これはお父さんの同僚が経験した事ですが、深夜、最終バスを走らせ、終点から車庫まで 回送している時。 信号待ちをしていると、操作もしていないのに後部ドアが勝手に開き、ふわ〜っと「風」が車内に 入って来ました。ドアはまた独りでに閉まります。 故障は修理部門に報告義務があるので、余計な仕事が増えたとゲンナリしながら走っていると、 ピンポーン と降車のチャイムが鳴りました。 ぞーっとしながら、反射的にバス停につけると、自動ドアが再び勝手に開閉し、 「何か」が降りていく気配がしました。 ―偶然かもしれませんが、最初にドアが開いた所は病院の前。次は墓地の前だったそうです。
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元上司の体験談です。 終電が終わって、仕方なくタクシーで帰宅中。 運転手さんとあれこれ雑談していたのですが、運転手さんがちらちらとルームミラーを見ては 首を捻っています。 「どうしたんですか?」と聞くと「いやあ、さっきからずっと後をついて来るんですよ…」と言います。 「ついて来る?」と後ろを見ると…、サイレンを消した救急車がタクシーの後ろを走っています。 どう言う意味か、フロントに大きく「4」と書かれています。 「たまたま方角が同じなんでしょう」と言っても「いや、そうですかねえ…気味悪いや」と運転手さん。 確かに、それから何度角を曲がっても、救急車はピタリとついてきます。 信号待ちの時に良く見ると、無表情な男がハンドルを握っている。 「―ちょっと、不気味ですね…」「そうでしょう?お客さん。」 それからは、会話も途絶えて、タクシーは黙々と走ります。 「ありゃ!?き、消えた!!」不意に運転手さんが素っ頓狂な声をあげました。 びっくりして振り返ると、救急車の姿がありません。 「曲がったんでしょ?」と言うと「い、いえ、ミラーを見てたら、こう、スーッと透明になって…」 運転手さんはシドロモドロ。「で、消えちゃったんですよ!!」 「そんな、バカなぁ…幽霊だったんですか!?」「いやあ、何とも…しかし、驚きましたよ…」 会話を交わしていると、「あっ!!」と二人は同時に声をあげました。 対向車線を、さっきの救急車がスーッと走っていたのです。フロントには「4」の文字が…。 すれ違い様、運転している男が、物凄い形相でこちらを見ていたそうです。
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