旅の怪
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同僚から仕入れたネタです。
同僚は若い頃バイクに乗っていたのですが、当時のバイク仲間の一人で良く心霊体験をしていた奴がいたと。
ある夏、その人(Fさんとしておきます)がソロでツーリングに行った時の事。
その日、泊まる予定の山奥の秘湯の宿に急いでいました。夕方には着くつもりが、もう既に陽はとっぷりと暮れて
しまい、人家もない山間の道は夜の帳に包まれています。山奥の道で、街灯すらありません。ヘッドライトの灯だ
けが目に入る唯一の人工の明かりで、他に光と言えば、晴れ渡った空に浮かぶ月が時折木陰から顔を出すだけ
です。
30分程前に通った最後の集落で道を聞いたら、この道を真っ直ぐ行けばじき着くよと言われたのですが、いけど
もいけども人家の灯すら見えてこない。道を間違えようにも、辿ってきたのは車がやっと1台通れる程の一本道
で、脇道は無かった筈です。
ちょっと路肩が広くなっている所があったので、バイクを寄せ、ヘッドライトで地図を確認していると、ドコドコとアイ
ドリングするエンジン音の中に、 チーン チーン と、澄んだ音が聞こえました。
(あれ?何か聞こえたな…何の音だ?)Fさんは、エンジンに耳を近づけ、次にエンジンを切り、しばし耳を澄ませ
ます。バイク乗りと言うのは、異音が気になるものなのです。
Fさんを静寂が包み、時折さわさわと風が木々をそよがせる音が聞こえるだけ。(気のせいか)エンジンキーに指
をかけた時、再び チーン チーン と音が。(何か、仏壇の鐘みたいな音だな…)少々気味が悪くなってきたFさ
んが、バイクに跨り、エンジンをかけ、ヘルメットを被ろうとした時。
すぐ近くから、読経の声が。
それも、老人が呻く様な、しわがれた声で…。
ヒーッ!! Fさんは慌ててバイクを出しました。
じき辿り着いた宿で、宿の人に自分の体験を語ると、宿に人はこう言ったそうです。
「そこ、小さな慰霊碑がありませんでした?ええ。随分前に、おじいさんが車で転落して亡くなって。ええ。あそこ、
すぐ脇が崖なんですよ。そんなに高い崖じゃありませんけどね。それからしばらく、おじいさんが迷って出るのを
何人も見ましてね。それで、慰霊碑作って…」
「慰霊碑、効果なし」 Fさんは思ったそうです。
(←)山の中で、お経はいやですね。
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知人から仕入れたお話を。 彼が、奥さんと二人で北陸のとある温泉宿に泊まった時の事です。 部屋は二間続きの和室だったそうですが、彼が夜ふと目を覚ますと、仕切の襖が10cm程開いている。 床に着く前に閉めた筈ですが、奥さんがトイレにでも行ってきちんと閉めなかったのかと思い、面倒なの でそのまま再び眠りにはいろうとしていました。 ところが、その襖の方から何やら気味の悪い”雰囲気”が漂ってきて、落ち着かない。 良く見ると、襖の隙間から人間の片目がこちらを覗いておりました。 暗くて顔は見えませんが、確かにギョロリとした目が覗いている。 変質者か泥棒かと思い、誰だ!!と言いかけた時、彼はぐっと息を呑みました。 目が、上下に動き出したのです。 下へすすすと動くと、目の位置は床すれすれまで行き、上にすすすと動くと、上桟まで行く。 目は音も無く、襖の隙間を上下に行ったりきたりします。 とても、人間に出来る動きではない…と思った彼は、気を取り直して「覗くなっ!!」 と大声を上げて枕を投げつけました。 バーンと枕が襖にあたり、同時に目はふっと消え、異様な気配も感じられなくなったそうです。 結構な音を立てたのに奥さんは起きる事も無く、翌朝その話をしても「寝ぼけて夢でも見たんでしょ」と とり合ってくれなかったそうです。 |
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今日、皆で踏切の幽霊の話をしていたら、一つネタが入ったので早速記事にします。 (実は今日はとっても暇で…。) 知り合いの知り合いが…と言う触れ込みの話ですが。仮にAさんとしておきます。 Aさんが、あるひなびた温泉街に行った夜でした。 外で一杯引っ掛け、ほろ酔い加減の千鳥足で宿に向かっている途中、踏切でしばらく足止め。 その踏切の傍らには監視所があり、職員が一人詰めているのが見えました。 最近めっきり監視所つきの踏切などを見なくなっていたので、「ほほう。こういう田舎だとまだ自動化さ れてない踏切も残っているんだなぁ」と、カンカン響く警報機の音の中、そこはかとなく旅愁を感じてお りました。 ふと見ると、自分の傍らに、土地の人らしき一人の老人が佇んでおりました。 真っ白な頭と顔中に深く刻まれた皺が赤いランプの点滅に照らされ、不気味な事この上ない。 頭から血を流しているのかと、一瞬錯覚してしまうほどでした。 (気味の悪い爺さんだ…) 脳裏に、どこかで聞いた「踏切の怪談」がよぎりました。 「踏切事故で死んだ人が、列車の近づく踏切に誘い込む…」 (そんな、馬鹿馬鹿しい…) ―老人の事を気にしないよう努め、監視所を心強く思う内に警報機の音が止み、遮断機があがりました。 早足がちに足を踏み出すと、突然老人が、物凄い力でAさんの腕を鷲づかみにして、ぐいと引き戻す。 「わぁっ!!な、何するんだ!!」Aさんが叫ぶのと同時に、「あんた!!しっかりせい!!」と老人も叫ぶ。 老人とは思えぬほど野太い声に我に返った次の瞬間、鳴り響く警報機の音の中、目の前を列車が轟音をた てながら通過して行きました。 列車が過ぎ去り、老人に引っ張られる様に踏切を渡りながら振り返ると、監視所の灯りは消え、そこには 人の気配はありせんでした。 混乱しながらも、踏切を渡ったAさんは兎も角老人にお礼を言おうとすると、いつの間にかその老人の姿 も消えておりました。 宿に戻り、おかえりなさいませと声をかけてきた仲居さんに今の話をすると、仲居さんは言いました。 「昔、あそこの監視所で自殺した職員がおりまして。他所から来た人に、稀にそう言う悪さをするそうで すが。その度におじいさんの幽霊が助けてくれるそうですよ。そうですか、お客さんもそんな目に…」
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