街の怪

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常連客

カラン カラン コロン


日付が変わった頃、入り口のドアにつけた鐘が鳴った。


場末のスナックを切り盛りするのは、昔は相当美人だったに違いないと思われるママ。

但し、美人だったのは、相当昔に違いない。


店には、他に行くあての無さそうな常連客が二人三人。


誰もドアには見向きもしない。


ママは、常連客との他愛も無く下世話な話で笑いながら、カウンター奥の、無人の席におしぼりを置き、

申し訳程度のお通しを置き、小さなコップにビールを注いで置く。


それきりである。


一刻もすると、再びドアの鐘がカラコロと音を立て、すると、ママは手付かずのおしぼりとお通しと

ビールを片付ける。


巨人の若手選手が凄いの凄くないのと、常連客とママの論争が収束するのを見計らって、一見の客が

ママに声を掛けた。

実際、その店に一見客が入ってくる事は非常に稀な事らしく、当初は珍しがられていたその客も、

今はその店に一つだけあるボックスの席で、独りビールを煽るだけだった。

しかし、余りに不思議な光景に口を開かざるを得なかったのだ。



「さっきの…」一見客が言いかけた言葉に覆い被せる様にママは言った。

「ああ、気持ち悪かった? 毎晩来るのよ。死んだ常連さん」

夜道に呼ぶ声

例え、大都会の真ん中にも、雑踏から取り残された裏路地があります。

そんなエア・ポケットの様な場所に迷い込んでしまった人のお話です。


ある、都会の真ん中に住む人です。

そこは、真昼でも何とは無しに薄暗い感じがして、ましてや夜など、いかにも足を踏み入れ難い裏路地。

長年その街に住みながらも、その裏路地を使ったことは滅多になく、それどころか、人が通るのを見た

憶えも殆どありませんでした。


最寄の駅から、その裏路地を通れば、家までかなりの近道になる事はとうに判っています。

しかし、大抵急いでいても、そこを通る気にはなれませんでした。


別に、その裏路地に怪異譚が囁かれていた訳でもないし、元々、幽霊だの妖怪だのと言う話には、

まあそんな事がある訳が無いと、聞き流すタイプです。

しかし、何故か、その裏路地にだけは、一種異様な空気を感じて、無意識に避けていたのでした。


ところが、ある夜。

遅い電車で駅に降りて、気付くと、裏路地へ足を向けていました。


何故、そんな気分になったのか、自分でも判りません。

ただただ自然に、そうする事が当然の様に、その裏路地を目指していたのです。


裏路地に入ると、明らかに外とは違う、冷たい空気が充満しています。

そろそろ半袖で外出する人も多くなってきた季節です。

(なんでこんなに空気が冷めたいのかしら…いや、たぶん、日中でも日当たりが悪いから…)

身を震わせながら、裏路地に歩を進めていきました。


ぽつり ぽつり と、申し訳程度に街灯が灯る以外は、真っ暗です。

ほんの50m位で抜ける筈の道ですが、途中で折れ曲がっている為か、先が見通せません。

街灯と街灯の間の暗闇には、いかにも何者かが潜んで居る様な気がする。

カッ カッ カッ…

―自分の早足のヒールの音だけが狭い路地に響きます。




待って      待ちなさいよ


        待って             待ってよ



背後から、不意に、何人もの女の声がかけられました。


(何!?誰も居なかったのに!!)


思わず立ち竦みそうになるのを堪え、必死に足を進めます。

カッ カッ カッ…


待って     待ってよ…

よろめきながら、振り向かず、必死に前を見る。

カッ カッ カッ カッ カッ カッ…

待ってってば…


               待って

その角を曲がれば、いつも通りの、車の洪水と雑踏に溢れた大通りに出る筈。

カッ カッ カッ…

クルと、角を曲がると ようやくホッと…


出来ませんでした。

角の向こうには、真っ直ぐに、暗い路地が果てしも無く続いておりました。

(そんな馬鹿な…)

思わず立ち止まってしまいます。


待ってって言ってるのに

肩をぐいと掴まれ、身体ごと振り向かされると、そこには…




イメージ 1

切り裂くような自分の悲鳴を聞きながら、意識が遠のいていくのが判りました。




どの位、時間が経ったのか。

夜回りの警官に揺り起こされました。

我に返って、辺りを見回すと、そこは、大通りの一角でした。


―事情を聞かれても、自分自身何が起こったか判らない。

特に怪我も無いので、しどろもどろになりながら、そのまま逃げる様に帰宅しました。


(幻覚でも見たんだわ…最近、忙しかったし、疲れているのよ…)

自分自身を納得させようと、そう思おうとしました。


しかし、着替えをする時…

肩に、女の手跡がくっきりと残っており、自分の体験が幻覚ではない事を物語っておりました。

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遊園地の花火

今は廃園になっている某遊園地に纏わるお話です。

たまたま、友達を介して知り合ったGさんが、昔その遊園地でバイトをしていたと言う事で、

面白いお話を聞くことができました。


夏休みの時期には、その遊園地では恒例の花火大会が行われます。

その日は夕方で一旦閉園し、お客さんを外に出して安全確認をし、花火を打ち上げます。

花火が終わると夜間営業が始まり、再びお客さんを入れるのです。


さて、その安全確認の最中、同僚と一緒に巡回中のGさんが持つ園内通話用のトランシーバーに通

話が入りました。

『30歳位の女性と、小学生位の男の子が園内に残っているのを見つけたが、姿を見失った。

探して、園外に誘導するように』と言う指示でした。


Gさん達は、野外ステージの脇で、二つの人影を見つけました。


「あ、アレじゃないか?」と近づくと、しかしそれは初老の男性と、手を引かれた男の子でした。

孫を花火に連れてきたおじいちゃんと言った風情です。


(さっきの指示とは違うけど、たぶんこの人達の事だろう。最初に見た人は、暗くて見間違えたのかな)

と思いながら、「お客様、今は園内には立ち入り出来ませんので…」と声を掛けると、初老の男性は

「―ああ、すいません。今、出ます」と応えます。


二人の先に立って出口まで案内していると、トランシーバーが鳴りました。

『先程の親子連れは、園外に出ました。ご苦労様でした』

それを訊いたGさん達は、え、じゃあ、もう一組園内に残ってたのか???

と思って振り返ると、背後には二人の姿は無く…


かわりに、青白い人魂が二つ、ゆらゆらと空中を漂っておりました。


「うわああ!!」Gさん達は同時に悲鳴をあげ、一目散に事務所に逃げ込んだそうです。


ある社員が言うには、確かに、花火の夜に人魂が飛ぶのを見たスタッフは何人も居ると。

でも、その正体(?)が老人と子供だとは知らなかったそうです。

消えたおじいさん

何度か登場している、私の後輩A君から聞いたお話です。


A君は大学時代に、コンビニでバイトしていたそうで、その時の体験談です。

当時、A君のバイト仲間に、Cさんと言う人がいたそうです。


ある冬の夜、Cさんが店外に出たままなかなか戻って来ないので、A君が様子を見に行きました。


すると、店の駐車場の隅で、Cさんが一人で地面に向かって何か言っています。


「Cさん、何やってんですか?」

A君の言葉にCさんが振り向き、「ああ、丁度良かった。このおじいさん、具合が悪いみたいなんだ。

店の中に運んであげるから、肩貸して」と言います。


「へ?おじいさん?ど、どこに?」A君がとまどっていると、

「このおじいさんだよ、―あ、あれ!?何処行ったんだ????」とCさんは目を丸くして辺りを見回します。

「おじいさんなんて、居なかったじゃないですか?」と言うA君に、Cさんは真顔で、言ったそうです。


「いや、確かにここにうずくまってたんだ!!だから俺、『大丈夫ですか?』と声を掛けていたんだ…。」

ラーメン屋

この間の夜、11時頃だったかな?

車で走ってたら、腹が減ってきたんで、何となくラーメンでも食って行こうかな…と思ってさ。

そしたら、丁度ラーメン屋が開いてたんで、そこに寄った訳。

こんな所にラーメン屋があったかなぁ…とは思ったんだけど。

まあ、あんまり目立つ感じの店じゃなかったから、今まで気づかなかったんだろうと思って。


その店は、じいさんが一人でやってて、他に客は居なかったんだけど。

チャーシュー麺かなんかを食ったんだけど、結構美味くて。


で、2〜3日前、またその道を通って。その時は友達が3人乗ってて、昼飯時だったんで、何か食おうっ

て事で、俺がそのラーメン屋に誘ったんだよ。美味いラーメン屋があるよって。

他の奴等は「この辺にラーメン屋なんかあったっけ?」って言うんだよ。やっぱり。

で、この間行ったら美味かったからって、行ったらさあ…。


その店、潰れてたんだよ。廃墟みたくなっててさあ。

ありゃ、潰れてる…って言ったら、地元に住んでる友達が、「この間って、お前、いつ来たんだよ」

って言うから、いや、つい2〜3週間前だよ、って言うと、「そんな訳ないだろ」って言うの。

何で?って聞いたら、そいつ、「だって、この店潰れたの、2年位前だぞ」って…。

何言ってんの、だって、この間ここで食ったばっかりだぞ!!って言っても、みんな、そう言えばここ、

ずっと廃屋状態だったよな、って言うんだよ。


じゃあ、俺が違う店と勘違いしてるのかと思ったんだけど、場所は確かにここだし、その辺には他にラー

メン屋なんて一軒もないし。


で、話を聞くと、おじいさんがその店をやってたんだけど、事故だか病気だかで亡くなったんだと。

それで潰れたって…。


じゃあ、俺が会ったあのじいさんは…その、亡くなったじいさん…?

まさかとは思うけど、あの店でラーメン食べたのは、間違いないんだよな…。







―と、こんな感じの話を、同僚から聞きました。暮れに友人から聞いたお話だそうです。

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