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170人失意の大みそか 日航きょう整理解雇
2010年12月31日 東京新聞 会社更生手続き中の日航が31日、パイロットと客室乗務員の計約170人を整理解雇する。対象は経験豊富なベテランや病気で休職した人たち。家のローンや子どもの教育、親の介護、誇り−。さまざまな事情から希望退職に応じず、現場に残る道を求めてきたが、期待は裏切られ、失意の大みそかを迎えた。
「断腸の思いだが、解雇通知を本日より行う」。今月九日の乗員組合との団体交渉。大西賢社長は切り出した。「なぜ私なんですか」「なぜ年齢で切るのか」。パイロットは詰め寄ったが、議論は平行線だった。
会社は十月から解雇基準案をつくり、対象者に仕事を与えず希望退職を促してきた。「えっ、なんで私が…。絶望というより、あぜんとした」。五十五歳の機長は白紙のスケジュールを渡された瞬間を振りかえる。「まさか解雇はないだろう」と応じなかったが、十二月に入り「解雇予告通知書」が届いた。
家のローンはまだ十年残る。病気の妻の治療費もかかる。退職した仲間の中には、中国やトルコの航空会社に就職した人もいる。解雇無効を求める集団訴訟に加わる一方で、年明けからアジアの航空会社への就職活動を始めるという。
心残りは安全。「社内は沈み、活気がない。職場のモチベーションは安全に直結している」。ベテランと若手の断絶がもたらす影響を懸念する。
副操縦士はさらに厳しい。コンピューター制御が導入される前の旅客機で、主に計器を監視する「航空機関士」からの職種変更者に解雇が多い。高齢のため就職口はほとんどない。「正月に風邪をひいても、健康保険が使えない。非人道的なやり方だ」(五十一歳の副操縦士)
客室乗務員は「若返りし筋肉質の会社を目指す」という理由で五十三歳以上が対象に。五十代後半の客室乗務員は「経験のある人の力は会社再生に必要」と納得いかない。ある四十二歳の客室乗務員は解雇基準をわずか二日上回る四十二日間、病気で休んだだけで解雇に。「生活もあるし、この仕事が大好きで、辞めたくない」。撤回を求め続ける覚悟だ。
<日航の整理解雇> 日航はグループ従業員の3分の1にあたる約1万6000人を2010年度中に削減する計画。9月から募った希望退職には約1470人が応募。地上職などは目標を達成したが、パイロットと客室乗務員は未達成として、整理解雇を決めた。病気欠勤や休職期間が一定以上の人や、労組によるとおおむね、機長は55歳、副操縦士は48歳、客室乗務員は53歳以上が対象。パイロットが約80人、客室乗務員が約60人、休職者ら約30人の計約170人。うち100人以上が解雇無効を求め、集団訴訟を1月に起こす。
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労働争議関係
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