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厚生労働省は2日の労働政策審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会で、中小企業向けの退職金積立制度、中小企業退職金共済(中退共)の2008年度収支が2249億円の損失になるとの見通しを明らかにした。赤字は2年連続。会計制度が変更された03年度以降で比べると、07年度(1413億円)を超える、過去最大のマイナス幅となる。
世界的な金融危機の影響で、大幅な運用損失が発生したのが主因。08年度の運用損失は1931億円に達する見通しで、昨年4月から今年1月までの運用利回りはマイナス5.55%だった。 |
社会保障関係
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公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人は27日、2008年度第3四半期(10〜12月)の市場運用実績を発表した。 運用利回りはマイナス6・09%で、5兆7398億円の過去最大の赤字幅を記録した。利回りも過去2番目の悪さだった。08年9月の米証券大手リーマン・ブラザーズの破綻(はたん)に端を発する世界的な金融危機による株価下落や、円高の加速化が要因だ。 同法人は、国民年金と厚生年金の積立金を国内外の債券や株式などで運用し、08年12月末の運用資産額は総額116兆6299億円。市場運用分が90兆4349億円を占め、資産構成は国内債券68・91%、国内株式12・20%、外国株式8・59%、外国債券10・08%など。残りは国債の一種である財投債で運用している。 資産別運用状況は外国株式の利回りがマイナス34・05%(3兆4763億円の赤字)で最も悪く、次いで国内株式のマイナス21・11%(2兆6638億円の赤字)、外国債券のマイナス11・25%(1兆1103億円の赤字)だった。外国株式・債券はドル安やユーロ安も響いた。国内債券は1兆5105億円の黒字で損益を下支えし、利回りは2・49%のプラスだった。 08年4〜12月の市場運用実績は計8兆6738億円の赤字で、運用利回りはマイナス9・13%。1月以降も世界的に株価は低迷しており、07年度の5兆8400億円の赤字に続き、通年でも赤字になる見通しだ。市場運用による累積黒字は08年3月末で10兆円以上あったが、12月末では約1兆7000億円に減った。
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厚生労働省は23日、現役世代(働く人)の手取り収入に対する公的年金受給者への給付水準(所得代替率)が平成50(2038)年度以降も50・1%を維持できるとの試算を提示した。「所得代替率は50%を下回らない」として、年金不信の解消をはかった平成16年の年金制度改正時の政府公約を堅持できるとした。だが、今回の試算の前提条件となる経済状況や合計特殊出生率は足元の動向よりも甘く設定されており、試算を疑問視する声が出るのは確実で、制度改正からわずか5年で「100年安心」をうたった年金制度にほころびが顕在化した格好だ。 試算は、自営業者らが加入する国民年金やサラリーマンの厚生年金について、おおむね100年間の財政状況を見通す「公的年金の財政検証」として、同日の社会保障審議会に提出された。5年に1度実施されるもので、16年の年金改正後初の検証となった。 厚労省は経済と出生率の双方について、年金財政にとって良好な順に、それぞれ高位・中位・低位の3パターンを設定、その組み合わせで9通りの試算を提示。「基本ケース」(経済、出生率とも中位)では代替率が50・1%を堅持できるとした。 ただ、この場合の平成50年度の手取り収入は71万6000円(給付水準は夫婦で35万9000円)。名目賃金が毎年2・5%上昇することが前提だ。年金積立金も4・1%で運用できることが条件だ。出生率も1・26としている。ただ、過去10年の賃金はマイナス基調で推移。運用利回りも、足元の長期金利が1・2〜1・3%のなか、16年の年金改正時の3・2%から、さらに高く想定している。 こうしたなか、「基本ケース」よりも経済状況が悪化したり出生率が低下した場合には、代替率が43・1〜47・5%にまで落ち込むことも合わせて提示した。 政府は代替率が50%を下回った場合、給付と負担のあり方を改めて検討し、増税や保険料の引き上げなどによる財源の確保や、給付水準の引き下げなど、必要な措置をとることになる。
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企業年金連合会の徳永哲男理事長は19日、自民党の社会保障制度調査会年金委員会で、企業年金のうち、老後の給付額を事前に約束したタイプ(1000万人加入)の08年度分の資産運用が、金融危機の影響で過去最悪の利回りに落ち込むとの見通しを示した。08年12月末時点で推計マイナス16.24%。5年ぶりにマイナスに転じた07年度(マイナス10.58%)に続く赤字運用だ。厚生労働省は、積立金が不足して将来の給付財源をまかなえない企業の追加負担を猶予するといった財政基準の緩和に踏み切る。 同連合会の08年度分データは、厚生年金基金(626団体、480万人、資産20.9兆円)と確定給付企業年金(3101団体、506万人、同36.7兆円)を合わせた昨年末時点の推計値。これまで利回りが最も落ち込んだのは02年度(マイナス12.46%)だが、08年度はさらに4ポイント近く悪化するという。積み立てが不足する厚生年金基金は08年3月時点で6割に達しており、同年度末には一層増える見通しだ。 またこの日、厚生年金基金のうち、複数の中小企業でつくる「総合型基金」の代表者も、08年12月末時点の利回りがマイナス19.2%になっていると説明した。
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厚生労働省は、基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げが実現しなければ、2020年代に年金積立金が枯渇して基礎年金が給付できなくなるとする試算をまとめた。 試算には現在の世界的な金融危機の影響を織り込んだため、年金財政の破綻(はたん)が20年程度、早まった。こうした内容を盛り込んだ公的年金の財政検証を月内にも公表するとともに、今国会に提出している国庫負担割合を引き上げる国民年金法改正案の早期成立を目指す方針だ。 試算ではまた、3分の1から2分の1への引き上げが実現すれば、夫が平均収入の会社員、妻が専業主婦というモデル世帯の給付水準(所得代替率)が将来にわたり、現役世代の平均収入の50%台を維持できるとした。04年の年金改革の際、政府・与党は「50%」以上の水準確保を約束している。ただ、2055年の合計特殊出生率は1・26、年金積立金の運用利回りは名目で4・1%を試算の前提としており、楽観的という指摘もある。
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